日帰り登山の魅力を発見すべく、標高は低いながらも歴史ロマンあふれる富山県高岡市の里山へ。富山県警山岳警備隊の元隊長で、登山グループ・山凱会の谷口凱夫さんらと訪ねた。
標高195.7メートル 山の植物に触れ
矢野美沙アナウンサー:
地元の方に親しまれている里山ということなんですが、どんな特徴があるんでしょう?
山凱会・谷口凱夫さん:
低い山ですけど、色んな遺跡、横穴式のお墓の跡とか城跡があって。小矢部川の河口から源頭まで一望できる、良い眺めの山なんです
高岡市西部の西山丘陵と呼ばれる一帯にある、元取山(もとどりやま)。195.7メートル。
今回の登山口は福岡町加茂地区、岸谷川砂防堰堤の左岸側にある。山頂まではゆっくり登っても1時間ほど。
山凱会・谷口凱夫さん:
(赤い実を見つけて)何の実だろう?
矢野美沙アナウンサー:
何でしょう。秋にこういう赤い実がなっているのは、よく見たことがあるのですが。この時期に珍しいですね
日本海側の雪の多い地域に分布する、「オオニワトコ(レンプクソウ科)」の実。ニワトコは、児童文学「ハリー・ポッター」シリーズで“最強の杖”として登場する樹木だ。
さまざまな植物に触れるのも、山歩きの魅力。
山の斜面に横穴墓26基 状態は良好
矢野美沙アナウンサー:
あ、これが横穴式の。横穴墓という
山の東側の斜面には、6世紀末から7世紀前半ごろ、古墳時代につくられたお墓の一種「横穴墓(よこあなぼ)」が26基確認されている。
山凱会・谷口凱夫さん:
自然に任せとる
矢野美沙アナウンサー:
自然に任せて、この状態がずっと保たれてるって…
山凱会・谷口凱夫さん:
すばらしい
矢野美沙アナウンサー:
ええ、ちょっとロマンを感じます
山凱会・谷口凱夫さん:
ここの登りが急
矢野美沙アナウンサー:
逆にこれを上がってしまえば?
山凱会・谷口凱夫さん:
楽になる
砺波平野を一望 「鴨城」の二の丸跡
横穴墓が連なる場所を過ぎると登山道はなだらかになり、ここからはまた違った時代の歴史散策が楽しめる。
矢野美沙アナウンサー:
ここが城跡ですか!本当だ、二の丸って書いてある
南北朝時代の武将、桃井直常(南朝の有力者で越中守護)討伐のため、この山に築かれた「鴨城」の二の丸跡。
矢野美沙アナウンサー:
あ~確かにここは、よく見えますね。ここから見張ってたんだ
山の尾根沿いにはいくつか砦の跡もあり、鴨城は「詰め所」の役割を果たしていたと考えられている。
矢野美沙アナウンサー:
ああ、葉がこすれる音が、すっごく清々しいですね。いくら標高が低いとはいえ、森の中に入ると静かですね
山凱会・谷口凱夫さん:
やっぱり出城があるところだから。攻められにくい場所にある
矢野美沙アナウンサー:
なるほど。ひっそりと相手の様子を伺うのに、ちょうどいいのかもしれないですね
そして195.7メートル、元取山の山頂へ。
矢野美沙アナウンサー:
着きましたね!ここが山頂です。おお~また一段と良い眺め、爽快感!
ゆるやかに蛇行する小矢部川の流れ、砺波平野が一望できる。
かつては鴨城の物見台だったというこの山頂。条件が良ければ、立山連峰を望むこともできる。
薬味たっぷりのそうめん デザートに蒸しパン
山頂での楽しみのひとつは「山ごはん」。
矢野美沙アナウンサー:
大量のそうめん!そして…薬味もたっぷり~。ぜいたくなそうめんです!
デザートにもう一品。ホットケーキミックスをカップに流し込み、メスティンを使って蒸す。
矢野美沙アナウンサー:
蒸しパンです。良い香り!
高岡市西部の西山丘陵にある、標高195.7メートルの元取山。
これからの時期、山歩きに限らず、アウトドアは熱中症や脱水症状に注意が必要。水分補給をしっかり、そして自分の体力や技術に見合った山を選んでほしい。
(富山テレビ)