「赤ちゃんはどうやってできるの?」こんな質問を子供にされて、困った経験がある人も多いのでは?
子供に「性」をどう教えるか、親にとって大きな悩みの種だ。そんな、家庭での性教育について考える。
家庭での性教育…どうしたらいいの?
金沢市内の書店。特設コーナーに並んでいるのは、性教育に関する本だ。インターネットなどを通じて、子供が危うい情報を簡単に得られるようになっている今、幼い頃から「性」について、家庭で教えることへの関心が高まっている。

金沢市に住む杉野乃優心(すぎの・あゆみ)さん。息子が2歳の頃から、女性の生理や赤ちゃんが出来る過程などについて、日常会話の中で触れてきた。

杉野乃優心さん:
自然な流れかな。生理だったら「お母さん、生理来たから、なんかお惣菜でいい?」みたいな…
杉野さんの息子(小学校5年生):
不思議に思った時に教えてくれたり。そういうお母さんってあんまりいないから、いいなと思う
杉野さんは性教育アドバイザーとして、親向けに家庭での性教育のポイントを伝えている。この日教室に集まったのは、0歳から4歳の子供を育てる母親たち。

性教育アドバイザー 杉野乃優心さん:
知ってました?学校では「赤ちゃんは膣から生まれる」って習ってないんですよ

実は、文部科学省は学習指導要領で「受精に至る過程や妊娠の経過については扱わない」という「はどめ規定」を設けている。このため、学校の授業では、性について積極的に教えることはできない。杉野さんは、これが性教育の問題点だと指摘する。

性教育アドバイザー 杉野乃優心さん:
昔は男女分けられて、女子だけ生理について説明をされる。で、終わったら何の話だったの?って、何か気まずい。そこで既にタブー視する概念が植え付けられてしまっていると思いません?

無意識に植え付けられた抵抗感に加え、自分自身が性教育を受けていないため、子供に何を教えればよいか戸惑う親が多いのだという。杉野さんは集まった親たちに、息子が2才の頃に出産のときのエピソードを伝えたときのことを話した。

性教育アドバイザー 杉野乃優心さん:
帝王切開で、ここに傷があるので「ここから切って出た」って。「おなかに入るくらい、小さかったのに、ここまで大きくなるなんてすごいよね」って話をしたんですよ。そしたらすごく嬉しそうな顔をしたんです
親が子供に「あなたは特別な存在」だと伝える。そうすることで、子供は自分を大切にするようになり、周りの人のことも大事にできるようになる。それが性教育の一歩だと、杉野さんは考える。
性教育アドバイザー 杉野乃優心さん:
あなたは唯一無二の存在で、あなたの体はあなただけのもの、自分で決めていい、その権利があるんだよって伝えるのが性教育だと思います

参加した母親:
産まれた時の体験だけじゃなくて、どれだけ愛されて産まれてきたのかも伝えようと思った
まず「プライベートゾーン」を教える
杉野さんによると、性教育で何から始めたらよいのか分からないという人は、プライベートゾーンを教えるのがおすすめだそうだ。プライベートゾーンとは、「口、胸、おしり、性器」のこと。

「ここは、見るのも、触るのも、自分だけの大切な場所」だと伝えて欲しいという。ポイントは、大切な場所だと伝えるだけではなく、親であっても触れるときには声をかけることだという。そうすることで「自分の体は大事」、そして「他の人には許可なく、触らせない」という意識が生まれるという。

子供に「赤ちゃんはどうやってできるの?」と聞かれたら、どう答えればいいのか?
杉野さんによると、子供の年齢によって伝え方は変わってくるが、3歳から5歳くらいの場合、「お父さんとお母さんは、精子と卵子という赤ちゃんの素を持っていて、それがくっついて赤ちゃんになるんだよ」と答えるのが良いという。
「赤ちゃんの素は、どうやってくっつくの?」など、深堀りしてきたら…と不安になりそうだが、子供は知らないので案外聞いてこないそうだ。

伝えるときに大切なのは、質問にうまく答えられなくても、ウソをついたりするのではなく、しっかり向き合うこと。杉野さんは、知りたいと思った子供の気持ちを肯定して、一緒に答えを探していくのが大切だと話している。
(石川テレビ)