田舎暮らしへの憧れやコロナ禍でテレワークが普及した影響で、都市圏から鹿児島へ移住する人は年々増え続けている。
都会から県内へ移住した人。今まさに、県内で別の自治体への移住を検討している人。イマドキの移住事情を取材した。

都会から指宿市に…自然とふれあいながら暮らす毎日

開聞岳の麓でサツマイモの苗を植えるのは、有機栽培にこだわり農業を営む浦野敦さん・良美さん夫婦。

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指宿市に移住 浦野敦さん:
東京にいた頃は満員電車で通勤して、ギスギスした感じで仕事をスタートさせるよりは

東京で大手商社に勤めていた夫の敦さん。「幼い頃、夏休みを過ごした場所で新たな一歩を踏み出したい」と、母親のふるさと・指宿に移住したのは2016年のことだった。

移住後に長男の太一くんにも恵まれ、自然とふれあいながら暮らす毎日は充実しているという。

指宿市に移住 浦野敦さん:
自分で物を作るのは楽しい。ちょっとお金の面は都会と比べると減るが、生活の質はすごく上がっている

浦野さんの妻・良美さん:
20代(での移住)ではきつかったと思う。年齢が落ち着いてからというのが良かった

2020年の夏には、海沿いに1棟貸し切りの宿もオープンさせた2人。都会で暮らす人たちのリフレッシュの場になればと、新たな目標を持ち、この地に根を張る。

お試し住宅を移住へのステップに

過去5年間に、県外から鹿児島へ移り住んだ人の数をグラフにした。
その数は年々増加していて、特に500人以上増えた2019年度から2020年度の伸びについて、県は「新型コロナの感染リスクを避けたり、テレワークが普及して都市部から地方に移る人が増えたのではないか」と推測している。

移住熱が県内でも高まる中、日置市ではユニークな取り組みを進めている。

「ちょうどいい田舎」…鹿児島市の隣町という地の利を強調したキャッチコピーで推し進めるのは…

大城哲也記者:
大正11年に建てられた築100年の空き家をリフォームして、新しく生まれ変わったお試し住宅。まずはここを拠点に、日置での暮らしを体験してほしいとの願いが込められいます

伊集院地区に整備されたお試し住宅「狐火ハウス」。

日置市は、市内4カ所の空き家をこのようなお試し住宅に整備。日置市の公式ファンクラブに登録した人なら、1泊3,000円の利用料などで最大1カ月間過ごすことができる。

日置市地域づくり課・重水憲朗定住促進係長:
日置市に興味ある人とゆる~くつながる。そこからお試し住宅を使って、日置市を肌で感じてもらう。そういう中で、その先の移住を考えてほしい

「日置市に移住する一つのステップにしてほしい」
ファンクラブには現在、県内外の49人が登録している。

決断急がず…仕事と生活のバランス見極めに活用も

その狐火ハウスを、鹿児島市の吉川文恵さんと娘のこふ美ちゃん親子が訪れた。

吉川文恵さん:
自分の家より快適に過ごせそう

吉川さんは、タイ古式マッサージなどを手がけるボディセラピスト。この日は地域の人が訪れていた。

資格を取り首都圏も仕事の場としていたが、その後、新型コロナの影響で地元・鹿児島市に拠点を移した吉川さん。中学生時代を過ごした日置市の環境や人とのつながりに引かれ、狐火ハウスを利用するようになったという。

娘のこふ美ちゃんもカウンター越しにママとおしゃべりして、リラックスした様子。親子で日置での、お試し生活を満喫していた。

吉川文恵さん
親としては子どもが過ごしやすい環境が一番いい

吉川さんは移住の決断は急がず、これからも定期的に狐火ハウスを利用して、仕事と生活のバランスを見極めたいと話す。

吉川文恵さん:
日々暮らす中で、心地よい方向へ行くのでは

日置市地域づくり課・重水憲朗定住促進係長:
公式ファンクラブへの登録は半年ちょっとで100件(宿泊用以外も含む)を超えている。お試し住宅の利用を100件とは言わず、2倍の200件へガンガン増やしたい

人生の大きなターニングポイント、移住。
そのタイミングやきっかけは人それぞれだが、一人一人のニーズを見つめた取り組みが今、鹿児島で進められている。

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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