総務省が偽・誤情報に関する啓発教育教材を公開

ネット上には、人を混乱させるためにわざと流されたデマ情報や間違った情報があふれている。こうした中、総務省は6月17日、偽・誤情報に関する啓発教育教材「インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報に騙されないために~」を公開した。

「インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報に騙されないために~」(画像提供:総務省)
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この教材はパワーポイントで65ページに渡り、ニセ・誤情報に騙されないためにどうすべきか?がまとめられている。
主に、若年層~成年層の幅広い層を対象に、ニセ・誤情報について知ってもらい、それに備えるために作られたものだ。この教材を使って、講師が講義を行うことを想定し、啓発教育教材と併せて講師用ガイドラインも公表し、講師がガイドラインを読み上げるだけで講義を実施できるようになっている。
わかりやすくまとめられているので、具体的にどんなことが書かれているのか紹介していく。

ニセ情報、誤情報とは?

そもそもニセ情報、誤情報とは何か?
「ニセ情報」は意図的・意識的に作られたウソ、虚偽の情報のこと。

「ニセ情報」とは?(画像提供:総務省)

このニセ情報がきっかけとなって、アメリカでは「ピザゲート事件」と呼ばれる銃撃事件が起きている。
2016年、ワシントンD.C.のピザ店に男が押し入り、ライフル銃を発射する事件があった。この男は「ピザ店で人身売買と児童買春が起きている」というネットの投稿をもとに、「囚われた子供たちを救うためにやった」と供述したが、ネットの投稿はすべてニセ情報だった。
当時は大統領選挙の期間中で、ある共和党支持者が「民主党議員と支持者がピザ店で人身売買をしている」というデマを意図的に流し、それが広まったのだ。

一方、「誤情報」は、勘違い・誤解により拡散した間違い情報だ。

「誤情報」とは?(画像提供:総務省)

例えば、コロナ禍の2020年4月に「深く息を吸って10秒我慢できれば新型コロナに感染していない」という誤ったセルフチェックがメッセージアプリでチェーンメール形式で広まった。この誤情報は世界で拡散したという。

このニセ・誤情報になぜ我々はだまされてしまうのか?その理由を6つ挙げている。

「私たちが騙されてしまう理由」(画像提供:総務省)

理由1「人は信じたいものを選んでしまう」
理由2「ニセ・誤情報には信じたくなる要素がたくさんある」
理由3「ニセ・誤情報には人に教えたくなる要素がある」
理由4「ニセ・誤情報には誰でも騙される」
理由5「ニセ・誤情報はすばやく拡散してしまう」
理由6「ネットのアルゴリズムやディープフェイクがニセ・誤情報を加速させている」


そして、騙されたらどんなことが起こるのか?
「社会や経済が混乱する」「消費活動に影響する」「損害賠償責任を負う」「世の中があらぬ方向に進む」の4つの可能性を挙げている。

騙されないためにどうすればよい?

続いて、我々が騙されないためにどうすればよいのか?
基本として4つのチェックポイントを挙げている。

騙されないためには?(画像提供:総務省)

チェック1〈情報源はある?〉
その情報はどこから、いつ発信されたものか?信用できるのか?根拠となるモノは今も存在しているのか?消えていないか?
情報源が海外のニュースや論文の場合、あなたはその情報源を確認、理解しているのか?

チェック2〈その分野の専門家?〉
その情報は専門知識や必要な資格を持った人が責任を持って発信しているものか?その人は過去、ニセ・誤情報を発信して批判されてないか?その人は関連する情報や商品を売っていないか?

チェック3〈他ではどういわれている?〉
その情報について他の人や他のメディアはどう言っているのか?その人の意見に反論している人はいないか?
別の内容で報じているメディアや、誤りであることを指摘しているメディアはないか?

チェック4〈その画像は本物?〉
臨場感のある画像が添えられているから、それだけで「本当」だと判断して大丈夫か?その画像を画像検索したら全く同じ画像がヒットしないか?その画像は過去に撮影された、全く無関係のものではないか?

さらに応用編として、「知り合いだからという理由だけで信じているのでは?」「表やグラフも疑ってみた?」「その情報に動機はある?」「ファクトチェック結果は?」の4点のチェックポイントを挙げている。

騙されないためには?応用(画像提供:総務省)

しかし、基本、応用を押さえたとしても、それでも騙されるという。
だからこそ大事なことが、「わからなければ拡散しない」「誰かを傷つけるなら拡散しない」「医療・健康情報は安易に拡散しない」「リツイート前にひと呼吸」「間違いでは?と手を止めてみる」「異なる情報が出ていないかチェックする」だという。

そして最後に、「騙されやすいのは『自分は騙されない』と安心している人」とまとめている。

このように非常にわかりやすくまとめられており、ニセ・誤情報に騙されないために参考にできそうだ。
では、なぜ今回、この教材を作成したのか?特に伝えたい部分はどんなところなのか?総務省情報流通行政局情報流通振興課の担当者に詳しく話を聞いてみた。

偽・誤情報への対処法をぜひ実践して欲しい

――なぜ偽情報・誤情報の資料を作ることにした?

偽・誤情報の流通の問題の顕在化をはじめとする、インターネット上で流通する違法有害情報の問題については、こうした情報を発信する側に対する対応のみでは十分ではなく、受信するユーザー側のメディア情報リテラシーの向上を促すことが必須とされています。
そのため、総務省では、令和3年度に、ユーザーのメディア情報リテラシー向上のための取組として、偽・誤情報に関する啓発教育教材等を開発しました。


――実際、偽・誤情報は増えている?

総務省では、令和3年度に「国内外における偽情報に関する意識調査」を実施しており、「インターネット上のメディア(SNSやブログなど)」において偽情報を見かける頻度(週1回以上)は31.1%(前年比10.1ポイント増)、「インターネット以外のメディア(テレビや新聞など)」においては26.9%(前年比6.9ポイント増)、「まとめサイト(例:2ちゃんねる・5ちゃんねるまとめブログ、〇〇速報など)」においては39%(前年調査なし)との回答結果となっています。日本国内において、偽・誤情報に接する機会は少なくないものとみており、引き続き、対策を講じていくことが必要な状況にあると考えています。


――資料の中で特に訴えたい部分は?

本教材では、偽・誤情報の定義や騙されてしまう仕組み、そして対処法まで基礎的な知識を幅広く学べるようにしています。特に、偽・誤情報への対処法をチェック形式で掲載しているので、情報に接する際にぜひ実践していただきたいと考えています。
また、本教材での学びを通して、誰にでも偽・誤情報を信じてしまう可能性があり、だからこそ日頃から偽・誤情報に対処するためのリテラシーを身につける必要があることを知る機会としていただきたいと考えます。


――まだまだ偽・誤情報の向き合い方が認知されていない現状、どう思う?

若年層から高齢層まで、各世代でインターネットの利用が進んでおり、偽・誤情報に接する機会も増えてくるものとみています。また、青少年だけでなく大人であっても偽・誤情報を拡散しているケースが見られるという分析結果も出ており、全世代においてリテラシーの向上に向けた取組が必要になっていると認識しています。引き続き、官民で、リテラシー向上の取組を進めていくことが必要と考えています。

 

教材は総務省のHPから誰でも閲覧することができる。65ページあるが、わかりやくまとまっており、あっという間に読めてしまう。自身の情報リテラシーを高めるためにぜひとも参考にしていただきたい。

記事 4307 プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。