大賞を受賞した『こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ』は12巻で完結した『こそあどの森の物語』の番外編で、物語に登場した大人たちが自らの子ども時代について語るお話だ。贈賞式の後、受賞した作家などとの懇談の場で、佳子さまは作家の岡田淳さんに、こんな意外な言葉を贈られたそうだ。
シリーズ全作を“大人買い”
「読んでいくと登場人物の子どもの頃の様子が鮮明に分かってくるのが面白かったです。12巻が気になって全部注文しました」シリーズ12冊を“大人買い”されたというのだ。側近から、時間をかけて読み込んで丁寧に準備されると聞いていたが、面白くてどんどん読み進み、作品の世界にどっぷりと浸かられたことが分かる。
「本当に作品を読んでくださったことがとても伝わってきました」と岡田さんは作家冥利に尽きる様子で喜んでいた。まさに、最初に紹介した「読書の楽しみのひとつは、自分自身の感想を持てること」というフレーズにあったように、佳子さまはご自分ならではの思いを、式典でのおことばや懇談の場でご自分の言葉で伝えられていたのだ。
そして、佳子さまのおことばに導かれるように、記者も受賞作品を図書館でまとめて借り、小学5年生の娘に勧めてみた。最初は反応の薄かった娘も、『こそあどの森の物語』の世界に徐々に引き込まれ、「これ面白い」とシリーズを一気に読破していた。
「幼少期に始まり、生涯にわたって多様な本に接する経験は、大切な宝物になるのではないでしょうか」幼い頃に知った読書の喜びを、佳子さまは大人になった今も大切にされているのだろう。
活動も表現も幅を広げられ
社会がwithコロナへと進む中、皇室の方が行事にリアルに出席される機会も増え始め、佳子さまのご活動も回数や幅が広がってきている。今月、姉の眞子さんが務めていた日本工芸会の名誉総裁に就任された。
佳子さまにとって常設団体の名誉総裁への就任は初めてで、伝統工芸についての専門的な説明を受け始められている。来月7月にはコロナ禍以降初めての地方での公式行事として、北海道への訪問も決まっているほか、今週29日には乳がん学会の式典への出席が予定されている。
佳子さまにとって、医療に関する行事への出席は今回が初めて。上皇后美智子さまは2019年、初期の乳がんが見つかり切除手術を受けられている。祖母が経験された乳がんという病について、佳子さまが20代の女性の視点でどんなおことばを述べられるのか、注目したい。(眞子さま当時の画像を含みます)
(フジテレビ社会部・宮内庁担当兼解説委員 宮﨑千歳)