コロナ禍の飲食店を支えた、移動販売。これに欠かせないのがキッチンカーだが、ある特殊車両の製作で全国シェア3位を誇るメーカーが、キッチンカー製作に乗り出し、注目を集めている。新しい挑戦を取材した。
床をアルミ製にリニューアル…消防車と同じパーツで快適に!
この記事の画像(10枚)6月12日、鳥取市白兎海岸には、多くの客でにぎわう1台のキッチンカーがあった。地元の名物にもなっているコーヒーショップ、「すなば珈琲」だ。キッチンカーの導入から10年以上が経ち、傷みが目立つようになったことから、2021年に改装したという。
販売スタッフ:
床は滑ることもなくなり、水、油をこぼしても、すぐ拭き取らなくてもそのままの状態でも営業を続けられるようになった
以前は厨房の床がフローリングで、食材や水がこぼれたとき、汚れがなかなか拭き取れずメンテナンスが大変だったという。今回、アルミ製の床にリニューアルし、水を使って掃除できるようになった。衛生的で管理も楽になったと、販売スタッフも喜ぶ。
実はこのアルミ製の床板、ある特殊な車と同じパーツを使っている。
それが、消防車だ。車を製作した企業の担当者は、「消防車に使っている部材を、キッチンカーにも使っている。サビに強く耐久性がある」と明かす。
消防車製作のノウハウを生かす…老舗メーカーの挑戦
キッチンカーを製作したのは、消防ポンプや消防車を作り続けて95年の老舗企業、鳥取市の「吉谷機械製作所」だ。今も年間約100台の消防車を全国の消防署に納入していて、国内3位のシェアを誇る。
そんなニッチなニーズに応えるメーカーが、新たに手掛けているのが、キッチンカーの製作だ。
吉谷機械製作所・谷口真佐行 資材課長:
消防車の販売台数が全国的に落ち込んでいて、新しい分野にチャレンジしていこうと今回の事業をスタートさせた。(コロナ禍で)キッチンカーの需要が高まっているのもあって、事業化を進めることになった
1.5トントラックをベースに、車内をシンクやテーブルを備えた厨房に改造。様々な装備を効率よく配置する設計や、耐久性の高いパーツの使用など、消防車で培われたノウハウが随所に生かされている。すなば珈琲のキッチンカーのアルミの床材もその一つだった。
吉谷機械製作所・谷口真佐行 資材課長:
消防車製作にまじめに取り組んできたので、(ノウハウを)キッチンカーにも取り入れ、耐久性を上げて、お客様に長く使っていただきたい
消防の現場を支えたノウハウを生かし、コロナ禍後の食の現場を支える。
(TSKさんいん中央テレビ)