彩り豊かで、おいしそうなお弁当。
愛媛・西条市の食堂で販売されているお弁当だが、実は味の良さもさることながら、子どもたちの笑顔を守る、ある秘密が隠されている。
弁当の販売代金の1割が「寄付金」に
正午前、西条市中心部の古びたビルに、のれんがかかる。
西条市にある旧西条藩陣屋跡前の「御殿前通り」近くに、2022年2月オープンした「ゴテンマエ食堂」。

週に3回営業して、予約を中心に弁当を販売している。弁当は、西条市内のボランティア団体「イマココ子育て支援」のスタッフ手作り。
ゴテンマエ食堂・徳永恭子店長:
きょうのメニューは、チキン南蛮弁当になります
厚切りチキンに、タルタルソースがたっぷりかかった弁当は、1食500円。

この代金のうちの約1割が、実は「寄付金」になる。
イマココ子育て支援・白石小夜代表:
お弁当を購入していただいて、その中から寄付が含まれているので、子ども食堂や子育て支援団体に寄付をするような形をとっています。皆さんにお昼を食べていただいて、それで社会貢献をしていただこうという仕組みをとっています

ボランティアが調理…理念に共感、予約客続々
代表の白石さんはコロナ禍が続く中、自身が経営する学習塾で、1人親や共働き家庭の子どもたちが食事に困っている姿を目の当たりにした。
そこで、まず子どもたちに無料で食事を提供する「子ども食堂」の運営を始めた。
しかし、その運営には「継続的な資金の工面」という大きな壁が立ちはだかった。そこで思いついたのが、寄付金付きの弁当の販売だった。

イマココ子育て支援・白石小夜代表:
あまり「寄付をしているんだ」っていう意識にとらわれず、軽い気持ちで(寄付)できるかなと、この仕組みを作った次第です
理念に共感したボランティアが、弁当の調理を担当。
野菜やお米のほとんどは、地元農家などからの寄付でまかなうことで、寄付金を含んでも購入しやすい500円という値段を実現した。

1度に販売する弁当は、60食ほど。完成した弁当の写真をSNSにアップして、注文を受け付ける。

数日前から予約する常連さんも多くなってきたそうで、この日ものれんを上げると、次々と予約客が訪れた。
お弁当を購入した人:
同じランチを買うのだったら、ここに来させてもらおうと思って、続けてきてます
お弁当を購入した人:
(寄付は)自分ができる範囲は決まっているんで、わずかでもやって、お互い気持ちよくなれるかなと思って
お弁当を購入した人:
(代金の)一部がそういった活動に使われるっていうことは、気持ち的にもさらにお弁当がおいしくなるっていう感じです
白石さんの思いは、確実に市民に浸透しているようだ。
子どもたちの笑顔守る…広がる支援の輪
6月4日、月1回の子ども食堂の日がやってきた。この日のメニューは、子どもたちが大好きなから揚げ弁当。

イマココ子育て支援・白石小夜代表:
全部で120食作ります。これをするために、ゴテンマエ食堂の運営をやっています
会場の玉津公民館には、申し込みをしていた近所の子どもたちが次々と集まり、弁当を受け取る。

イマココ子育て支援・白石小夜代表:
みなさん、「子ども食堂」というのは知ってますか?
子どもたち:
知らん
イマココ子育て支援・白石小夜代表:
子ども食堂っていうのは、子どもがいつでもただで食べれる食堂のことです。から揚げ好きな人!

子どもたち:
はーい!
ボランティアスタッフと地元の農家、そしてゴテンマエ食堂で弁当を購入した人たちの思いがつまった食事を、子どもたちは笑顔いっぱいでほおばる。
子どもたち:
おいしいです
(Q.どれが一番好き?)
子どもたち:
から揚げ。これを食べて、友達といっぱい遊びたいです

イマココ子育て支援・白石小夜代表:
もっともっと、いろんな地域に出向いて、子ども食堂を増やさないといけないと私は思っているので、(ゴテンマエ食堂を)いろんな人に利用してもらって、いろんな方に社会貢献というのを知ってもらって、いろんな人に子ども食堂に関わってもらいたいなと思っています

子どもたち:
ありがとうございました!

おいしく食べながら、子どもたちの笑顔を守る。気軽に始められる、支援の輪が広がっていく。
(テレビ愛媛)