岸防衛相は11日、アジアや欧米の国防相らが参加するアジア安全保障会議(通称:「シャングリラ会合」)でスピーチを行い、日本の防衛力の強化が「インド太平洋地域でルールを無視しようとする意志を砕くことにつながる」と述べた。
この中で岸防衛相は、ロシアによるウクライナ侵攻に触れ、「世界は今、ルールに基づく国際秩序を守ろうとする国と、ルールを無視し、力により国際秩序を変更しようとする国の競争の最中にある」と指摘した。
また、岸防衛相は「核兵器による威嚇を行い、一方的な現状変更を試みる暴挙を実際に行う国家が、この地球上に存在しているという恐ろしい事実を強く再認識している」と述べた上で、「国際社会の協力により、侵略の勢いを減退させることができる」として、国際社会の一致団結した対応を求めた。
さらに、岸防衛相は、「ロシアは極東・太平洋でも軍事活動を活発化させている。ロシアと中国の関係がさらに深まる可能性がある。中露両国の共同軍事活動が、各国の懸念を深めているのは間違いない」と警戒感を示した。
こうした現状を紹介した上で、岸防衛相は、「ルールを無視する行動に最前線で対峙している日本が防衛力を抜本的に強化することは、インド太平洋地域でルールを無視しようとする意志を砕くことにもつながる」として、国内の防衛力を強化していく必要性を訴えた。
5月24日には、日米豪印4カ国の枠組み=クアッドが開催された日本の周辺を中国とロシアの爆撃機6機が共同飛行し、岸防衛相は「開催国の我が国に対する示威行動を意図したもの」と両国を非難していた。