医学部に通う医師の卵たちが、地域の子供たちに無料で勉強を教えている。家や学校以外の「第3の場所」を目指し、勉強以外でも子供たちとの交流を深めている。学生たちが目指す第3の場所とは。

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学生から学生へ…学力向上よりも大切な事

学生が子供たちに指導:
数字は偶数と奇数の繰り返し。それぞれを一般的に文字を使って表すとどうなる?

子供たちに勉強を教えているのは、2020年12月に発足した学生団体「Together」。
福井大学医学部医学科の学生を中心とした18人が、週に2度、福井市と永平寺町の公民館や協力する企業の一室を借りて、小学生から高校生までの16人にボランティアで勉強を教えている。

授業を受ける女子生徒:
年があまり離れていないから、友達感覚で。1対1でしゃべってくれるので、勉強のやる気が出る

学生団体「Together」は、学力向上よりも大切にしていることがある。それは子供の居場所づくり。

学生団体「Together」・三木静吏那代表:
子供が親や学校の先生に相談できない「心の貧困」という問題がある。家でも学校でもない「第3の居場所」として、大学生が子供たちと年齢が近い分、一緒に居場所をつくりたい

自身の経験を活かす “何気ない会話ができる環境”

メンバーの1人の江部朱音さんは新潟出身の大学3年生。将来の夢は小児科医。この春から活動に参加した。

学生団体「Together」・江部朱音さん:
病院でボランティアを考えていたが、ずっとコロナでできなかった。年下の子とコミュニケーションをとる機会がないので、自分の経験にもなると思って始めた

この日、江部さんが行っていたのはオンライン教室。
「Together」では、教室が遠くて通えない子供の力になりたいと、オンラインでも指導している。

授業を受けているのは、県内の中学3年生のAさん。

学生団体「Together」・江部朱音さん:
「進撃の巨人」のアニメ全部みた

中学3年生のAさん:
まじっすか?面白かった?

学生団体「Together」・江部朱音さん:
めっちゃ面白かった

Aさんが大好きな漫画やアニメの話で盛り上がる2人。
Aさんにとって、勉強だけではない何気ない会話ができる環境は「第3の居場所」だという。

学生団体「Together」のメンバー 江部朱音さん
学生団体「Together」のメンバー 江部朱音さん

中学3年生のAさん:
自分は勉強があまり得意ではないので、話す時間があると心が落ち着く。親だと話しにくかったり、学生にはよく元気づけられたりする。自分以外に共感してくれる人がいることはすごくいい

江部さんが活動に取り組む理由には、自身の経験もあった。

学生団体「Together」・江部朱音さん:
大学生が授業というと、学問が中心。子供は社会勉強・遊び・友達との関わりが重要。そういうところは、自分が苦しんでいたときもあったからサポートしてあげたい

「Together」がつくる子供の居場所。今後は大学生の居場所としても活動を広げたいという。

学生団体「Together」・三木静吏那代表:
大学生のサークルや部活動は、学校でコロナのため規制されてしまう。仲間と一緒に活動する機会が減ってしまっている。もっと学生の居場所として機能できたらいいなと考えている

(福井テレビ)

福井テレビ
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