新型コロナウイルスの感染対策が本格化して3年目、今もマスクの常時着用が続いている。その中で、頭痛に悩む人たちが増えている。いわゆる“マスク頭痛”だ。
なぜマスク着用は頭痛を引き起こすのか、そのメカニズムと対策を専門医に取材した。
コロナ禍で増える頭痛…「マスク頭痛」とは?
「マスク頭痛」という言葉を聞いたことがあるか、街の人に尋ねた。県民からは「テレビで少し聞いたことある」という声のほか、聞いたことがないという人でも「外出た時に頭痛くなりやすいかも」「頭痛いのってマスクのせいなのかな?」などの声が聞かれた。
この記事の画像(11枚)マスクと頭痛の関連性を、福井県済生会病院 脳神経外科・頭痛外来の山﨑法明医師に聞いた。
県済生会病院 脳神経外科・山﨑法明 医師:
もともと頭痛持ちの人が、マスクを着けることによって頭痛が悪化する。頭痛持ちでない人でも、マスクを着け、精神的なストレスなどで頭痛が起こることがある。それらを合わせて、マスク頭痛と考えていいのでは
マスク頭痛のメカニズム…「耳への負担」と「酸素不足」
マスク頭痛の要因は大きく2つある。まず1つは「耳への負担」だ。
県済生会病院 脳神経外科・山﨑法明 医師:
マスクひもを耳にかけるが、その圧迫感が耳への負担になる。それが肩こり、首のこりが強くなって、頭痛になる要因となる
もう1つが「酸素不足」。マスクを着けて呼吸を続けることで発症するという。
県済生会病院 脳神経外科・山﨑法明 医師:
マスク内の酸素量が減ると、血液中の酸素濃度が減る。一方、二酸化炭素の濃度は増える。そのため脳の中の血管が拡張し、頭痛が悪化するとされる
マスク内では通常と比べ、酸素量が約1割減少。一方、二酸化炭素量は約30倍に増えるという調査もある。
病院受診の目安は、頭痛持ちではなくて初めて頭痛が起こった時、日常生活に支障が出るくらいの痛みがある時、頭痛がだんだん悪化する時。これらの場合は、要注意となる。
マスク頭痛が疑われた時の対処法は、マスクを外すというのが一番の対応だ。しかし、屋内などではまだまだマスクを外しづらい。
マスクを着けたままできる対処法をご紹介!
ここで問題。マスクを着けたままでも可能な対処法は、次のうちどれか?
[1]ストレッチ [2]糖分を取る [3]水分を取る
正解は…[1][2][3]の全て。
[1] ストレッチについては、くびや肩回りのコリをほぐし、血流を改善させる。
[2] 糖分を取ることで十分なエネルギーが脳に届き、必要以上に血管が開くのを防止できる。
[3] 水分補給は、夏にかけて重要になってくる。
県済生会病院 脳神経外科・山﨑法明 医師:
マスクを着けると、マスクの中はすごく蒸し暑く、湿度が十分保たれている状況。そうすると自分が脱水症状になっても気づきにくい。水分をこまめに取って脱水を予防することも、頭痛を予防することのひとつ
マスク内に熱がこもるため、これからの時期は熱中症にも注意が必要となる。人との距離が保てる場面ではマスクを外し、深呼吸するなど、マスクとの上手な付き合い方を考えることが重要となる。
(福井テレビ)