39年前に福井市内で起きた女子中学生殺人事件で、殺人の罪で懲役7年の刑が確定し服役した前川彰司さん。
 
逮捕直後から一貫して無罪を訴えてきた前川さんの、やり直しの裁判=再審の初公判が2025年3月に名古屋高裁金沢支部で行われ、いよいよ7月18日に再審判決が言い渡されます。再審初公判を終え、判決言い渡しを待つ前川さんに密着しました。
 
≪2025年3月6日 再審初公判≫
名古屋高裁金沢支部で行われた再審初公判。
 
意見陳述で前川彰司さんは「福井事件は犯罪に証明がない。合わせて、事実無根であると、私は無実を主張し無罪を求める」と改めて主張。
  
再審公判はこの日で結審しました。判決言い渡しまで4カ月。前川さんはどのように過ごしてきたのか―
 
≪5月26日 再審法改正をめざす市民の会集会≫
この日、東京都で開かれた「再審法改正をめざす市民の会」に、冤罪事件の当事者や弁護士、支援者ら280人が集まりました。その席で前川さんは、7月の判決言い渡しを待つ心境を話しました。
   
前川彰司さん:
「7月の判決に向け、自他の共栄、精力の善用の内に、更にアクションを起こし自分で限界を設けず、どこまでもどこまでも上を向いて前進していく所存です」
 
この集会のテーマは「再審制度の改正」。現在の日本の再審制度は▼細かな手続きやルールが決まっていない▼再審開始決定に対し検察が不服を申し立てることができる、といった冤罪を訴える側にとっては極めて不十分な内容となっています。
 
再審事件の当事者の前川さんも、再審法改正に向けて自身の強い思いを訴えました。
 
前川彰司さん:
「再審事件に向けられた世情、世の気運の流れの中で我々はその動き、歩みを止めてはなりません。日本の遅れた刑事司法の在り方を先進国のレベルにまで引き上げるべきです」
  
≪6月22日 日野町事件に関する集会≫(第12回全国現地調査)
この日、前川さんは滋賀県を訪れていました。1984年に滋賀県日野町で起きた酒店店主の女性が殺害された日野町事件に関する集会に参加するためです。
 
前川彰司さん:
「きょう、何人か他にも冤罪事件の仲間も来ているが、きょうは日野町事件がメインなので、頑張れと激励したい」
 
日野町事件で強盗殺人の疑いで逮捕された阪原弘さんは、強引な取り調べで自白したと無罪を訴えましたが、一審で無期懲役に。1回目の再審請求も棄却され、2011年、服役中に亡くなりました。
 
阪原さんの遺族は2回目となる再審を請求し、2018年に再審開始が決定。検察が特別抗告を行ったため、現在、最高裁で審理が進められています。
 
前川さんは、日野町事件の当事者の遺族らにエールを送りました。「再審無罪を勝ち取って、それを確定させるまで、必ずとどめを刺して終わりたい。日野町事件、もうちょっとの辛抱。おそらくいい結果が出るでしょう。最後まで頑張りましょう」
 
日野町事件の遺族・阪原さんは「再審無罪が確定している、あるいは再審無罪になろうとしている方々の声を聴け、我々も頑張らないとと感じた」
  
冤罪を訴える仲間たちと触れ合った前川さん。励まし合い、共に歩みを進めてていきます。
 
毎朝ラジオ体操を行うことを習慣にしている前川さん。「健康に越したことはないので、心身ともに。正しい道のりを歩みたいという思いが、朝早く起きてラジオ体操に来ることにつながっている」
  
前川さんが殺人の疑いで逮捕されて38年。長い年月を経て、いよいよ再審判決が言い渡されます。

福井テレビ
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