ツアー客の目的は、30年以上前に製造されて今も岡山県の北西部を現役で走る、レトロな路線バス。
大手旅行会社が、その存続を支援するツアー商品を企画し、全国からファンが訪れている。

「今の時代にないデザイン」すでに製造は終了

大勢の人がカメラを向ける先に現れたのは、昭和の雰囲気が漂う路線バス。

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東京からの参加者:
面白い、迫力がある。懐かしい

行き先を告げる、今では珍しい方向幕に、木製の床。

1987年に製造された「富士重工6E型」。高梁市の備北バスが所有し、現在も稼働している現役の車両がある。

東京からの参加者:
今の時代にないデザイン。古い車を大事に使っていて、ワクワクする

すでに製造は終了しているが、老朽化が進み、修理が必要となっている。
大手旅行会社の日本旅行が、バスを支援する大阪発のツアーを企画し、6月6日、全国から25人が参加した。

日本旅行・山中章雄課長:
なかなか部品もなくて、どこも(古いバスの)維持に苦労しているので、旅行会社の立場でも助けになりたい

過疎化、コロナ禍で追い打ち…支援で“命”つなぐ

ピークだった昭和40年代には、年間700万人以上が利用していた備北バス。

しかし、沿線の過疎化やマイカーの普及などで、バスの利用者は減少。さらに新型コロナが追い打ちをかけ、2021年度は約60万人に落ち込んだ。

しかし、バス会社は地域の足を残すため、少しでも車両の寿命を延ばそうと、2022年4月からクラウドファンディングで修理費用を集め、目標金額400万円を大きく上回る約650万円が集まった。

ツアーでは、修繕費用を1人1,000円以上寄付することが求められていて、この日は2万5,000円が集まった。

千葉からの参加者:
全国でも残り数台で、部品が無くなったら走れなくなる。少しでも寄付して、長く走ってほしい

備北バス政森毅社長:
ありがたい。言葉になりません。コロナ禍で経営もかなり厳しい。募金を使わせてもらって、1年でも長く運行したい

全国から熱い支援を受け、命をつなぐ昭和のバス。
このツアーは6月10日も行われたが、予約で満席になったという。

(岡山放送)

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