サントリーが新ブランドで日本ワインの市場拡大を狙う。

「ワイナリーに来ていただくのが一番」

サントリーグループは日本ワインの新ブランド「SUNTORY FROM FARM」を立ち上げ、9月から全国で発売すると発表した。

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日本ワインの市場はここ10年間で約1.5倍まで拡大しているが、日本で消費される輸入品を含んだワイン市場全体に占める割合は5%未満にとどまっている。

今回、山梨県にある自社のワイナリーのリニューアルも行い、日本ワインの認知度を高めたい考えだ。

サントリーワインインターナショナル・吉雄敬子社長:
リーディングカンパニーとして、私どもが伸ばしていくことで市場を伸ばす。作り手の思いや技術をどう伝えるかに関しては、一番大きいのはワイナリーだと思います。やはりワイナリーに来ていただくのが一番だと思っています。

サントリーワインインターナショナル・吉雄敬子社長
サントリーワインインターナショナル・吉雄敬子社長

サントリーは、日本ワインの販売を2030年には約2倍まで増やしたいとしている。

日本ワインを「耳で楽しむ」

三田友梨佳キャスター:
一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。消費者行動やマーケティングを研究されている鈴木さんの目にはどう映りましたか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
最近、輸入ワインの国内消費が伸び悩む一方、日本ワインの市場は10年で1.5倍に伸びています。国産のブドウを100%使用して、国内で製造したものを日本ワインといいます。 これは輸入した濃縮果汁などを使っている国内製造ワインとは区別されます。

名だたる国際コンクールで数多く入賞するなど、日本ワインの世界的な評価の高まりを追い風に今後は足元の国内で、さらに知名度と理解を深めていく必要があります。

三田キャスター:
日本ワインの人気を高めるために、どんなアプローチが考えられるのでしょうか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
日本ワインは和食との相性がとても良く、世界的なワイン評論家であるロバート・パーカー氏もお寿司に合わせて甲州ワインを飲みたいと高く評価しています。
例えば、お寿司屋さんや和食のお店に積極的にアプローチして日本ワインを置いてもらう。そして口で味わうだけではなく、耳で日本ワインを楽しんでもらうことも大切です。

三田キャスター:
日本ワインを耳で楽しむとはどういうことですか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
日本ワインのブランド価値とイメージを高めるためには、その味を育んだテロワールと呼ばれる土地の風土や醸造家のこだわりなどを知ってもらうことも大切です。こうしたストーリーこそ、お酒の味を引き立てるのです。

実は日本には300を超えるワイナリーがあり、北から南まで全国でワインがつくられています。 そして、それぞれのワイナリーが自慢の個性をアピールすることが求められています。

三田キャスター:
確かにワインを楽しむことは、その土地の物語に触れることなのかもしれませんね。

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
ワインの楽しみのひとつに地産地消があります。ぶどう畑が広がるワインのふるさとを訪れ、土地の美味しいものと一緒にワインを味わう、ツーリズムとのコラボレーションもブランドの確立のためには有効です。

こうした地域に根ざした活動とともに、広く世界に目を向ける必要があります。つまり日本ワインの輸出です。先程、日本ワインは和食に合うとお話ししましたが、海外でブームになっている日本食レストランなどに日本ワインを売り込む努力も必要になると思います。

三田キャスター:
日本ワインの魅力を知ることでワインの楽しみの幅も広がりそうです。

(「Live News α」6月8日放送分)