広島出身のデュオ「Mebius」が広島県庄原市を訪れ、昔ながらの行事を体験。地元の人たちとの心暖まる交流を取材した。

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広島県北東部庄原市東城町、自然美あふれる中国山地の山々と清らかな水に恵まれ、県内屈指の米どころとして知られるこの町で、一体どんな行事が行われているのか。

手作業で田植えをしていた時代の”応援歌“

彼女たちを待っていたのは、お揃いのハッピをまとったお三方。大仙登りのうた保存会のメンバーだ。

Mebius Mami:
「大仙登りのうた」というのは?

大仙登りのうた保存会・本郷恵美子さん:
田植え歌。昔から代々、戦前から伝わっている

Mami:
田植え歌とはどのような?

本郷恵美子さん:
今は機械だけど、田植えは昔は手作業で大変だったので、少しでも楽しく田植えができるように、みんなを元気づけるための歌なんです

大仙登りのうた保存会・大倉千之さん:
地区によってリズムが違うし、歌も違うんです

東城町田森地区で古来から守り継がれる田植え歌「大仙登りのうた」。

保存会の方々に歌を披露してもらった。

大仙登りのうた保存会メンバー:
♪ あれ見さい ヤンハーレナ 米子が沖で 

♪ まう舟は ヤンハーレナ まう舟は ヤンハレー

手植えで作業する人たちに向けたエールとして、地域で歌い継がれる「大仙登りのうた」。しかし、田植えの機械化が進む現代においてその存在は影を潜めつつある。

機械がなかった時代の田植えを受け継ぐ

本郷恵美子さん:
昔の人がこれをやってきて、今の自分たちが生かされている。後世にずっと残せるものなら残したい

大倉千之さん:
大変苦労して田植えをしていたという事を残したい

本郷恵美子さん:
今の子どもたちは、お米は機械で植えて機械で刈ると思っているけど、こうして田植えをしていたことを歴史として残しておけばいいかなと

「ふるさとに伝わる貴重な文化を次の世代へ」という保存会の思いを知ったMebiusの2人も、大仙登りのうたを盛り上げるため練習をスタート。実はこの日、地元小学校の田植え会で保存会による田植え歌の披露が予定されていた。

この日、集まったのは粟田小学校の児童15人。保存会のメンバーでもあり、東城町で合鴨農法によるこだわりのお米を生産する藤本農園の藤本社長指導のもと、子供たちが田植え歌に合わせた手植えに挑戦した。

児童たち:
♪ あれ見さい ヤンハーレナ 米子が沖で  

♪ 尋ね来る ヤンハーレナ 大仙お山と たずねくる

田植え歌のリズムに合わせて、テンポ良く作業を進めていく子供たち。その様子を見たメビウスの2人もたまらず田植えに参加することに。

2人にとって小学生の時以来、人生二度目の田植え。ぎこちないながらも子供たちに教わりながら、昔ながらの手植えを体験させてもらった。

田植えをした小学生:
楽しかった

Mebius:
田植えは初めて?

小学生:
1年生の時と保育所の時にやった

歌のリズムに乗り、楽しく田植えを体験

Mebius:
登りうたを歌ってもらってどうだった?

小学生:
リズムに乗ってできるなと思った

小学生:
今日は、あぜを崩しちゃったから。今度は崩さないようにします

Mebius:
私たちちゃんとできてた?ちょっとうるさかったかね?

小学生:
だいじょうぶ

毎日の”ごはん”のありがたさを実感

Mami:
田植えの大変さを始めて知りましたけど、登りうたがあることでこんなに気持ちが楽というか。テンポ感だったり、植える人も太鼓をたたく人も歌う人も、美味しいお米ができることを願って力を合わせてやられていたんですね

藤本農園・藤本聡さん:
技術が発達して機械になって、こういう事がだんだんとなくなってしまったんですけど、この地域の食べ物をみんなで作ってるんだよという事を知ってもらうには、すごくいい文化なので、これからも保存していこうと思います

Norie:
こうして実際に参加させてもらって、さらに「いただきます」をちゃんと言わなきゃなと感じました

Mami:
ちなみに私たちの田植えは何点だったでしょうか?

藤本聡さん:
田植えですか?点数をつけるのはあまり好きではない…

Mami:
すごい気をつかわれた感じ(笑)

地域に根付いたこうした文化は、探せばまだまだ見つけることができそうだ。

(テレビ新広島)

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