教育にバクチの金は使わない?

萩生田光一経産相は6/7の会見で「スポーツベッティング(賭博)の解禁に向けた議論を進めている」との一部報道を否定し「私の知る限り経産省で主導して直ちに実現したいという動きは全くない」と強調した。

「私の知る限り経産省で主導して直ちに実現したいという動きは全くない」と語った萩生田光一経産相(7日)
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この前日にスポーツ庁の有識者会議が公立中学の「部活」の活動主体を学校から民間クラブなど地域社会に移すことを提言していた。

「部活」は顧問の教師の負担が大きく「ブラック部活」などと問題にされてきた。ただ地域移行すると活動費は家庭負担が原則となるなど保護者から不安の声も上がっている。今回スポーツ賭博で得た収益の一部を部活の活動費に充てるという構想もあったそうだ。

萩生田氏はこれについても「部活動は教育の場。特別な予算を設けず堂々と国に教育費として主張すべき」と語った。正論である。子供の「健全」な教育のために「不健全」なバクチの金は使わないということか。

競馬や宝くじはOKだが…

日本では賭博は違法だが、競馬、競輪、競艇、オートレースという4つについては「公営競技」として認められており、売り上げは地方自治体等に納付されて、教育や福祉など公共性の高いことに使われる。宝くじやTOTOも同様だ。

ギャンブルがダメなら酒も売るな

つまりバクチは基本的にやっちゃいけないが、国や自治体がきちんと管理して、「あがり」を公共の目的に使うならいいよ、ということらしい。だったらスポーツ賭博の「あがり」を「部活」に使うことのどこが悪いのか。

スポーツ賭博への反対の理由として、八百長とギャンブル依存症の増加を心配する声があるがどちらもピンとこない。まず八百長については、いい大人が大勢集まって「八百長の防止」くらいできないのか?そんなに難しいことではないと思う。依存症については、これはカジノの時もいつも出てくる話なのだが、依存症が怖いのなら競馬もパチンコも全部やめないといけない。ついでに酒や煙草も禁止にしたら、依存症のない健全な社会になるのだろうか。

別にギャンブルを好きなわけでもないし、嫌いでもない。やりたい人が楽しみでやる分にはいいと思うだけだ。これは大人が自分の責任で決めることだ。だからスポーツ賭博がダメだったら競馬や宝くじも全部やめろと言う気は全くない。もちろん酒も煙草もだ。

9番セカンドで下手くそ

僕の住んでいる自治体では子供のためのスポーツをいろいろ主催している。サッカーやテニス、水泳、バスケットボールなど様々だが、自治体が丸抱えでやっているものもあれば、地域の人達が自治体などの助けを受けながらボランティアでやっているのもある。民間企業やNPOも入っている。昔に比べると「部活」はすでに学校から地域に移行しつつある。

「部活」はなくならないでほしい…

これに子供を参加させていつも感心するのは、指導者の人達の「地域で子供を育てよう」という熱意である。また誰でも気軽に参加できる費用の安さも魅力だ。ただ練習場所、用具、人件費など相当の公的援助がないと無理だろう。

中学生の時に「部活」をやっていた。野球部の「9番セカンド」で下手くそだったし、練習はきつかったが、試合で打った数少ないヒットの嬉しさを50年前のことなのに今でもよく覚えている。「部活」はなくならないでほしい。だが学校で存続させるのが無理なので今後は地域社会に出てくることになる。それをうまく育てていくためには人材と共に財源が必要で、スポーツ賭博も含めて柔軟に考えないとうまくいかないのではないだろうか。

【執筆:フジテレビ 上席解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫


フジテレビ報道局上席解説委員。2020年4月から立命館大学客員教授。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。

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