石油元売り最大手のENEOSがNECから電気自動車充電器事業の譲渡を受け、充電ビジネスに本格参入した。

化石燃料中心のビジネスから転換

ENEOSホールディングスは、NECが全国のショッピングセンターなどに設置した電気自動車用の充電器の事業運営権を取得し、およそ4,600基の充電器の運用を開始したと発表した。

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業界最大手のENEOSは、脱炭素の流れを受け、化石燃料を中心としたビジネスからの転換を急いでいる。

今後は、全国に展開する1万3,000カ所の系列ガソリンスタンドにも充電ネットワークを広げ、2030年度までに急速充電器を最大1万基設置する方針。

EV・水素・ハイブリッド…用途で選択

三田友梨佳キャスター:
早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。ENEOSによるEVの充電網の拡充、どうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
世界的な脱炭素への流れがある中、ENEOSはこれまでの主軸だったガソリンの需要減少が見込まれているため、新たな事業の柱を育てる必要に迫られています。

今回、ENEOSがNECから取得したEVの充電網は、スーパーやショッピングモールなどが多く含まれています。EVは急速充電でも30分以上かかるとされるので、外出先で充電する場合は買い物や食事の間に充電するといった使われ方が多いと思います。

今後は系列のガソリンスタンドを含めて、EVの充電ネットワークの拡充を進めて行くと思われます。

三田キャスター:
EVの課題とされていた充電インフラの拡充が進むと、私たちユーザーの選択肢も広がりますよね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
充電スタンドが広がっても充電時間の問題がクリアできないと、30分充電しても満充電ではないので長い距離を走ることができません。そうなると、完全にガソリン車の代替にはならないと思います。

これからはEVなのか水素なのかハイブリッドなのか、ユーザーが用途や好みに合わせて車を選ぶ時代になってくると思います。

例えば、国内メーカーが相次いで新しいEVを発表しましたが、国内市場におけるEVの普及は軽自動車サイズから本格化しそうです。というのも、軽自動車の使われ方は“街乗り”や短距離の移動など、航続距離の短いEVにぴったりだからです。

一方、欧州では脱炭素への現実的な取り組みとして、日本が得意なプラグイン・ハイブリッド車もEVにカウントしようという動きがあります。

三田キャスター:
水素自動車に関してはいかがですか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
水素自動車に関しても、ENEOSなどは水素ステーションの整備を進めているところで、投資も十分やっています。なので今回の流れを受けてENEOSは、トヨタが進めているようにEVも水素も燃料自動車もいろいろなものでカーボンニュートラルを広げていこうという流れの一部と見た方が良いと思います。

三田キャスター:
地域によってエネルギー事情もインフラの状況も異なりますし、自動車の利用の仕方も人それぞれです。EVや水素自動車、選択肢が広がることでカーボンニュートラルの実現に向けて可能性も広がりそうです。

(「Live News α」6月6日放送)