5月30日には全国の97地点で、最高気温30度以上の真夏日になるなど本格的な夏が近づいてきた。
暑くなる日が増えてくると、毎年気になるのがエアコンの使い方ではないだろうか。
室内での熱中症対策として有効な一方で、特に今年の夏は、老朽化した火力発電所の相次ぐ休止などで、電力需給が厳しくなると見込まれている。
みなさんは正しいエアコンの節電法はご存知だろうか?
エアコンメーカーのダイキン工業が公開している、家庭でできるエアコンの節電方法の中から「夏の冷房編」のいくつかを紹介する。
エアコンを効率よく使う
・帰宅したら、まず部屋を換気して熱を逃がす
窓を開けて部屋の熱気を外気と入れ替えてからエアコンをつけると無駄な電力を使わず、すばやく効率的に部屋を冷やすことができるという。

・エアコンと扇風機やサーキュレーターを併用
換気してエアコンをつけたあとは、離れた場所が暑いからと言ってすぐ設定温度を下げず、扇風機などで冷えた空気を部屋中に送ることを勧めている。

・風をつくって体感温度を下げる
扇風機などの風があると体感温度が下がるという。またエアコンの設定温度を下げるより、風量を強くする方が電気代が少ないそうだ。
ただし体が冷える人や寝室では、風を壁や天井などに当てて、跳ね返ってきた間接気流を利用するなどの工夫をしたほうがよいという。

・2週間に1度、フィルターを定期的に掃除
エアコンのフィルターが詰まると、冷やす力が小さくなり、多くの電力が必要になるので、こまめな掃除が必要だという。

・フィルターの奥にある冷却フィンの汚れを確認
フィルターと同じ理由で冷却フィンの掃除も重要だが、こちらは汚れが酷いようなら業者に相談することを勧めている。
リモコンを上手に使う…「風向きを水平」で節電
・風量は自動設定で、余分な電力を使わない
手動で細かく調節するのではなく、自動に設定しておけば、最も効率よく快適に冷えるよう風量調整を行ってくれるそうだ。

・設定温度を下げる前に、風量を強く
エアコンで風量を強にしても、温度を下げる時の消費電力と比べると、比較にならないくらい少ないのだという。風量を強くすることで体感温度が下がり、同じ温度でも涼しく感じるそうだ。

・スイッチの入切で温度調節はしない
エアコンは急に部屋を冷やすときに多くの電気を使うので、オン・オフを繰り返して温度調節を行うと、急に部屋を冷やす運転が増えて消費電力も増える場合があるという。

・温度むらを解消して効率的に室内を冷やす
部屋の上部が熱く下部が冷たい温度むらがあると、エアコンが「設定温度になっていない」と勘違いして必要以上に部屋を冷やす場合があるという。
そこでエアコンの風向きを水平か上向きに調節すれば、空気が循環して温度むらが無くなり、効率的に冷やせるそうだ。

室外機の周囲を点検
・室外機は日陰に設置するか、日除けで直射日光を防ぐ
室外機の周辺の温度が高くなると熱を外に出す効率が悪くなり、電力を余分に消費するので、直射日光が室外機に当たらないような工夫を勧めている。

・室外機の吹き出し口をふさがない
吹き出し口がふさがれると放出した熱風を再び吸い込んで冷却効率が著しく低下するのでスペースをあけたほうがいいそうだ。

さらにダイキン工業では、窓の外に緑のカーテンを作ったり、庭やベランダに打ち水をして涼をとる工夫など、家全体で出来る節電対策も紹介している。
また同社が、実際の居住空間を使って実験したところ、日中9:00~18:00の時間帯に30分程度の外出や換気をする時は、エアコンは「つけっぱなし」のほうが消費電力量は少ないという結果が出たそうだ。
実験では1日の消費電力を20%以上削減
では実際、これらエアコンの節電をすることで効果はどれくらいあるのだろうか? また夏のエアコンが使う電力はどれくらいなのか? ダイキン工業の担当者に聞いてみた。
――このような節電をしないと、これから夏の季節は電力は足りなくなるの?
5月29日に東京・大阪等で今年初めて最高気温が30度を超える真夏日が記録されるなど、いよいよ本格的な夏を迎えつつあります。資源エネルギー庁の調査によると、夏の日中(14時頃)の一般家庭における電力消費は照明や冷蔵庫を抑え、エアコンが最大(58%)であると言われています。
電力会社の状況にもよるかとは思いますが、各家庭や職場においてエアコンの省エネ運転に取り組んで頂くことが、電力ひっ迫を回避する一助になれば幸いと考えています。
――エアコンの節電は、どれほどの効果がある?
あくまでも当社の実験によるものですが、夏場の一般家庭において、部屋の日よけ、室内機のフィルター掃除、室外機周りの整理整頓といった基本的な節電術を行っていただくだけでも1日の消費電力を20%以上削減することができました。より多くの方に取り組んで頂ければ大きな節電効果が得られると考えております。
――ちなみに「冷却フィン」の掃除は素人にはできないの?
ご自分でお手入れすることは、メーカーとしてはおすすめできません。室内機のフィルターの奥にある熱交換器は、金属製の薄い板が並んだ非常に繊細な造りをしています。お手入れの際に傷つけてしまったり板が曲がってしまうと運転効率の低下につながります。またエアコン内部に洗浄用スプレーや除菌スプレーなどを直接吹き込むことで故障や思わぬ事故につながる可能性があります。そのため、専門家に相談されることをお勧めしています。

この夏は、これらの方法を参考に無駄な電力をカットしながら熱中症対策も忘れずにしてほしい。