“NO WAR”抗議の女性・単独インタビュー

「戦争をやめてください。戦争反対」

2022年3月、ロシアの国営テレビの生放送中に突如、キャスターの背後に乱入し「反戦」を訴えた女性。マリーナ・オフシャンニコワさん(43)。

マリーナさん:
ご招待ありがとうございます

騒動から2カ月がたった今、関西テレビの単独インタビューに応じた。

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(Q.今はどこにいますか)
マリーナさん:
もう2週間ベルリンにいます。その前はモルドバにいました。ウクライナの避難者を撮影しました

騒動の後、国営放送での仕事を辞め、今はドイツの新聞社で記者をしている。
当時なぜ、あのような行動に出たのか、聞いた。

乱入騒動の真相は…

マリーナさん:
もう黙ることができなかったんです。非常に長い間、恨みが蓄積されてきました。戦争は後戻りできないポイントになりました。もう戻れない、それ以上黙っていることができなかったのです

モスクワで、2人の子どもと暮らしていたマリーナさん。
あの行動は、家族にも相談せず1人で決めたことだった。

マリーナさんは仕事の中で、海外メディアの報道が見られる環境にあったが、国営メディアである「第1チャンネル」では、政府の意向に沿った内容が放送されていた。

マリーナさん:
私たちは、国防省や同僚記者からのみ映像をもらいました。大惨事の全体的な規模や、ポーランド、モルドバ、ルーマニアにいる数百万人の避難者のことを放送しなかったのです。キーウ、ハルキウなどで破壊された住宅も放送しませんでした。私たちは勇敢なロシア軍隊だけを放送したのです

子どものころ経験したロシアの紛争で自宅や財産を失い、母親と2人、貧しい生活を余儀なくされた記憶がよみがえった。

マリーナさん:
今、人々が私と同じ苦しみに運命づけられていることに気付きました。そして、もう黙っていることができませんでした

ウクライナの現実を知りながら、“プロパガンダ”に加担させられる日々に、我慢は限界だった。

乱入騒動の前、事前に「テレビで嘘を報道したことを恥ずかしく思う」という動画を収録していたマリーナさん。
乱入騒動が報じられると、「キャスターが全く反応しないのは不自然だ」などという懐疑的な見方も上がったが、同僚はマリーナさんの行動を知っていたのか。

マリーナさん:
誰も知らなかったです。もし私が誰かに言っていたら、失敗したでしょう。このポスターはしばらくの間、私の車の中に置いてありました。そして、ジャケットの袖に入れて自分のオフィスに入りました

キャスターが反応しなかったことについては、「彼女は長年働いていて、ロボットのようにニュースを読む。プロとして何があっても反応しなかったからだ」と答えた。

反旗を翻した今、ロシア世論に思うこと

軍事侵攻から3カ月がたった今、ロシア世論についてはどう見ているのだろうか。

マリーナさん:
ロシア人はますます考えを変えると思います。制裁の影響に直面しているからです。物価が2倍、3倍になるのに、賃金は前と同じです。多くの企業がロシアを去り、失業率は高いです

しかし独立系世論調査機関の調査では、軍事侵攻前の2022年2月に71パーセントだったプーチン大統領の支持率は、5月に82パーセントにまで上昇。
高い支持率を背景に、反対意見は押しつぶされ取り締まりが強まる中、世論の力でこの戦争を止めることはできるのだろうか?

マリーナさん:
調査は信頼できません。軍事独裁政権のもとで行われるからです。人々は質問に答えることを恐れています。国民は今、戦場でロシアがうまくいかない、行き詰まっていることに気付きました。ロシアは大きな損失があります。軍の入隊事務所が発砲されたケースが多くあります。軍に仕えたくない一般市民によって発砲されたのです

経済制裁の影響に加え、相次ぐロシア兵の犠牲。
海外に行くことができないエリート層の不満も着実に増していて、「世論の変化に期待が持てる」と話す。

マリーナさん:
今はターニングポイントだと思います。プーチンがこの戦争で不利になるほど、より多くの人々が反対に傾き、戦争とプーチンに反対するでしょう

犠牲になった家族との生活

今、マリーナさんは、モスクワに残してきた家族のことが一番の気がかりだ。
マリーナさんの17歳の長男と11歳の長女はパスポートの期限が切れているが、別の放送局に勤務する元夫はマリーナさんの行動を非難し、子どもたちをマリーナさんのもとに行かせたがらないのだ。
子どもたち自身も、マリーナさんの行動が正しかったのか、判断ができないという。

マリーナさん:
息子はもうすぐ高校を卒業し、大学に入学します。お祝いするために卒業パーティーに出席したいです。とても会いたいです

1人の女性が起こした決死の行動は、果たしてロシア社会に何を残したのだろうか。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年5月26日放送)

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