若い世代の人口流出は地方都市の抱える大きな課題だが、長崎県も例外ではない。自治体などが対策に知恵を絞る中、「地方創生型インフルエンサー」を名乗り、手弁当で活動する27歳の女性がいる。

県内のオススメグルメやスポットをSNSで発信し、同世代の若者に長崎の良さを知ってもらおうと日々、奮闘している。活動を始めたきっかけは友人のある一言だった。

「長崎は何もない」に奮起 店側から依頼も

長崎市出身の美咲さん(27)。平日は長崎市で会社員として働きながら、週末には県内の店や観光スポットなどを訪れ、SNSでその魅力を発信している。

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この日、美咲さんが訪れたのは南島原市の結婚式場。担当者と細かく打ち合わせをして、投稿する写真をどんな構図で撮影するかを決める。

美咲さん:
ドリンクを持ってきてという利用方法があるのなら、イメージしやすい写真の方がいいかも。お客さんがするようなことを撮ったほうがイメージがつく

当初は観光スポットを紹介するだけだったが、最近は店側などから紹介してほしいと依頼が来ることが多くなった。カフェなどを紹介する場合は、飲食代だけ店に負担してもらっている。

美咲さんの活動のきっかけとなったのは、若い世代の県外流出だ。

美咲さん:
一番大きいのは、同年代の友人が「長崎は何もない」と聞くことが多くて。それを聞いた時、寂しいなと思った

インスタグラムの投稿を通して、若い世代に県内の魅力を再認識してほしいというのが美咲さんの願いだ。

”利用者目線”で写真や言葉を工夫

長崎県の人口は年々、減少傾向にある。1960年は176万421人だったが、2020年には131万103人と、50万人近く減っている。

さらに2021年を見ると、県外に転出した人は約2万7000人。このうち6000人を20歳から24歳までの若い世代が占めていて、どうやって食い止めるかが課題になっている。

美咲さんは、若者が県外に出るのを思いとどまるきっかけになればと、原則、無償で活動を続けている。写真を撮る上で大切にしているのは「利用者目線」だ。

美咲さん:
そこに行きたくなる写真をあげたいと思っているので、なるべく、その場所の全体図が写るものを選んでいる

取材先で体験できる内容が分かりやすい写真を選ぶようにしていて、文章は若者にも伝わりやすい言葉を選んでいる。

美咲さん:
これを見ながら出かけてくれる人がどんな情報を欲しいかを考えているので、営業時間であったり、自分で調べて情報を載せるようにしている。自分自身が県内に目を向けた時、こんなところもあるんだと発見があって。長崎のいいところを発信できて、同年代の人たちも長崎いいなと少しでも思ってくれたら

イベント開催も「挑戦し続けることは大切」

美咲さんは大学時代、発信力を身に付けようと長崎市の観光親善大使に応募したことがある。実現はしなかったが、自分らしい発信の形を考えるきっかけになった。

美咲さん:
(観光大使に)なれなかったからといって諦めるのではなくて。色々な発信する形があるので、挑戦し続けるのは大切

2021年2月から始めたインスタグラムの投稿は、現在400を超えている。美咲さんの思いに共感する人も徐々に増えていて、2021年11月には、取材を通して知り合ったお店など20店舗が出店するイベントを初めて開いた。

今後もインスタグラムを投稿したり、イベントを開催しながら、多くの人に故郷を誇りに思ってもらいたいと話す。

美咲さん:
長崎って刺激が足りないとか、何もないと、一種の諦めというところもあると思うんですけど、自分たちの力でどうにでも変えていくことはできる。挑戦し続けることを私自身、大切にしていきたい

(テレビ長崎)

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