長野市のレトロ横丁・西鶴賀商店街で、懐かしさやノスタルジーをテーマに魅力を再発見するイベントが開かれた。新たなにぎわいや交流を生み出そうという狙いだ。
かつては100超の店が軒を連ねた商店街
ちょうちんが灯る通りに流れる昭和歌謡。温かく懐かしい雰囲気が漂う。繁華街・権堂の長野大通りを挟んで東側にある「西鶴賀商店街」で、5月13日から15日の3日間、街の魅力を再発見するイベント「ノスタルジック・ストリート西鶴賀」が開かれた。

訪れた人:
ちょっと昭和っぽい雰囲気があって、こういう街も大事だなと
西鶴賀の食堂「苗場」・広瀬正夫さん:
なかなか、いい感じじゃないですか。西鶴賀町の感じがよく出ていて、長野市の下町風な感じで
商店街に久しぶりのにぎわいが戻った。

古い店が連なる西鶴賀商店街。権堂に近いこともあって飲食店が多いものの、理髪店やパン店などもあり、下町の風情を醸し出している。
今は若者を中心に昭和レトロが人気。イベントは「活性化につなげるチャンス」と見て、青年会議所が企画した。
長野青年会議所・まち創生委員会・唐木沢正晃委員長:
街に新しい人の流れをつくろうとスタートした企画。商店街には古くてレトロでノスタルジックな建物が残っている。これが一つの街の大きな財産かなと

商店街の一角にある創業42年の食堂「苗場」。店主の広瀬正夫さん(66)はイベントに期待を寄せる一人だ。
西鶴賀の食堂「苗場」・広瀬正夫さん:
なかなか自分たちでは気づかないんですけど、レトロ的なところが魅力があるのかなと
かつては100を超える店が軒を連ねた商店街。住民の高齢化や減少に加え新型コロナの影響もあり、今は60店舗ほどとなっている。

活気を取り戻すことは地域全体の課題でもある。広瀬さんはイベントに賛同し、テイクアウトメニューを提供することにした。
西鶴賀の食堂「苗場」・広瀬正夫さん:
街自体が静かになってきたというのが一番の問題。(イベントで)だんだん若い人たちに来てもらえる街になるんじゃないかと期待している
裏路地、古い店舗の活用、変わらぬ味…魅力いろいろ
迎えたイベント当日。通りでは空き店舗を活用した物販やアートの展示などが行われていた。

ガイド:
この通りを歩くときに気にしながら歩いてほしいのが、いろんなところに裏路地がある
住民の案内による街歩きも。商店街の東側のエリアは今、新たな街づくりが進められている。県建築士会などが空き家・空き店舗をリノベーションして、シェアオフィスなどにする取り組みを進めているのだ。

ガイド:
(この辺りは)二次会の飲み屋街だった。二次会の飲み屋街は(窓がなく)通りから見えないお店が多い。やっている商売がわかるリノベーションをしている
続いてやって来たのは…。
ガイド:
エビスパン、知らない方いますか?皆さん、知っていますよね

商店街の中ほどにある1954年創業の「エビスパン」。さまざまな総菜パンが人気で、中でも半世紀以上変わらぬ味の「野菜サラダ」はキャベツ、きゅうり、魚肉ソーセージをあえた具がパンとマッチした逸品だ。

エビスパン・田中雄次さん:
主食でありながら副食であったり、食事パンですよね。安くておいしいものを届けようと毎日、頑張っている
変化を遂げる場所もあれば、昔ながらの場所もある。それが今の西鶴賀だ。
「街あるき」の参加者:
古い建物をどう使っていくかというのを、住民も含めて活動されているのがおもしろい
訪れた人も出店者も楽しく 久しぶりのにぎわい
夕方、通りの一部にテーブルやいすが置かれ、オープンテラスになった。歓楽街のイメージが強く、それまで足を運んだことがなかったという人は…。

訪れた人:
古いお店もいっぱいあった中で、新しいものもできているんだなと新鮮に感じた
イベントの出店者:
すてきな街があったんだなって。全然、知らなかったので。時間がゆっくり流れている感じがします
「苗場」の広瀬さんは、カレー30食分を用意。会場の販売ブースに届けた。通りのにぎわいを見て…。
西鶴賀の食堂「苗場」・広瀬正夫さん:
いいもんじゃないですか。普段は車の通りも少ないし、人の通りも少ないので。にぎやかになっていくんじゃないかと期待している

訪れた人も、地元の人も、改めて感じた西鶴賀のノスタルジー。商店街に新たな風が吹き始めたようだ。
(長野放送)