ウクライナ情勢などで小麦粉の国際価格が上昇し、その代替品として「米粉」の需要が高まっている。実はヘルシーな一面もある米粉。おすすめの料理レシピも紹介する。
コロナ禍に需要高まる
長野・辰野町の「瀬戸ライスファーム」。水田約42ヘクタールで、コシヒカリなどを年間200トン余り、生産・販売している。
加工品も手掛けていて今、売上げを伸ばしているのが…
瀬戸ライスファーム・瀬戸真由美さん：
コメが鉄うすでひかれて、粉になって出てくる
自家製の「米粉」だ。粒が欠けていたり、未熟だったりして販売できないコメを無駄にしないよう、10年ほど前から製粉を始め、直売所などで販売。コロナ禍に入ってから売り上げが好調で、4月の販売量は前年の1.5倍となった。（2021年4月は80kg→2022年4月は125kg）
瀬戸ライスファーム・瀬戸真由美さん：
ここ2、3年はコロナ禍で需要が増えてます。家庭でお菓子作りとか料理をする方が増えたり、輸入小麦の値段が上がってるのが要因かなと
小麦は主要産国の不作に加え、ウクライナ情勢もあって国際価格が上昇。2022年4月期の政府の輸入小麦の売渡価格は、2021年10月期の価格から17.3%引き上げられた。
小麦粉の代わりとして米粉が注目される状況に生産者は…
瀬戸ライスファーム・瀬戸真由美さん：
コメの消費量が減ってる分、米粉の需要が増えてありがたい
米粉スイーツも販売好調 各地から開発依頼
歓迎の声は北信濃でも。JR飯山駅構内の売店「NKマート」に並ぶロールケーキやシフォンケーキ。いずれも米粉スイーツだ。作っているのは、弁当や米の加工品などを販売する木島平村の「農村木島平」。
農村木島平・瀧沢豊美社長：
これがシフォンケーキ。小麦粉は使わず、すべて100%米粉で
コメの消費が落ち込む中、2016年から地元・木島平の米粉を使ったスイーツづくりに力を入れている。
国産米の安心感や、アレルギー反応の一因となる場合があるグルテンが含まれていないこと、さらに研究を重ねた「しっとりふわふわ」の食感が評価され、売り上げは右肩上がりだ。
現在は、タルトやガトーショコラ、シュークリームなど12種類30品目を扱っている。
最近は、淡路島や山形など県外から米粉スイーツの開発依頼が舞い込んでいると言う。
農村木島平・瀧沢豊美社長：
国内でコメを作れる土地はまだまだたくさん残っていますし、コメを使ったスイーツを増やすチャンスが来ている
家庭でできる米粉料理…おかずからデザートまで
注目度上昇中の米粉。家庭でも手軽に、しかもヘルシーに取り入れることができる。作り方を、クッキングコーディネーターの浜このみさんに教えてもらった。
浜このみさん：
おかずからデザートまで全部、網羅したいと思います。とても簡単なので、チャレンジするにはとてもいいレシピ
紹介するレシピは3品。最初は…
浜このみさん：
今が旬の山菜の天ぷらを作っていきたいと思います。タラの芽とコゴミを用意して、あとはアスパラも旬ですよね。アスパラはウインナーと一緒にかき揚げにしたいと思います
よりサクサクにするため、今回は卵の代わりにマヨネーズを使用。まず、水とマヨネーズを先に混ぜ合わせる。
そして、主役の「米粉」を投入。小麦粉ほど粘り気がないため、よく混ぜ合わせるのがコツだ。
浜このみさん：
小麦粉だと、このくらいでやめてしまうところ。でも、米粉はちゃんと混ぜます。粉気がなくなるまできれいに混ぜてしまいます。そこが違いですね
揚げるときにも、小麦粉との違いが…
浜このみさん：
米粉の場合はどちらかというと、このようにちゃんとつけてしまっても大丈夫です。たっぷりついていても油の吸収が少ないので、意外とカラッと揚がるんです。結果的に、油をあまり摂取しないで揚げ物が食べられるので、ヘルシー
米粉は油の吸収が少なく、天ぷらもヘルシーに仕上がると言う。
かき揚げのアスパラとウインナーは細かく5ミリほどに切り、衣の中へ。油に入れる際はスプーンを使うと便利だ。
周りが硬くなってきたら完成だ。
浜このみさん：
米粉の山菜天ぷらの完成です
かきあげを試食…
アナウンサー：
普段、食べている天ぷらと味はほぼ変わりないです。ただ、サクっと感、カリっと感が増していますね
続いては、信州の郷土食「ニラせんべい」に挑戦。
浜このみさん：
ポイントの食材なんですけど、「なめ茸」です。米粉の場合は少し粘り気が少ないので、粘り気を補うという意味で、それから味付けにもなっています。ちょうど今、ニラが旬なんです。なので、ニラたっぷり入れて食べてもらえれば、栄養的にも優れています
米粉となめ茸の他に卵と牛乳、さらに浜さんは、固形のチーズも入れて混ぜていく。
浜このみさん：
ところどころチーズの味がして、おいしいんですよね
フライパンにごま油を敷き、生地を10センチほどの小判型に伸ばす。
浜このみさん：
あまり大きいと、これひっくり返すのが大変なんですよね。特に、米粉の場合はつながりが全体的に弱いので、小さくしておいてほうが扱いやすいと思います
両面をこんがり焼いたら、ニラせんべいの完成。
アナウンサー：
米粉だからか、生地がもっちりしてますね。しっかり味が付いていて、ニラの風味もまた最高です
最後はスイーツ。混ぜて焼くだけの簡単どら焼きだ。まずは、米粉、卵を加え、生地をしっかり混ぜる。
浜このみさん：
生地の目安は、大さじですくったときに、たらーんと自然に落ちてくるくらいがいいと思います
フライパンを温めて油を薄く塗ったら、濡れ布巾の上で粗熱を取り、直径5センチくらいになるように生地を落としていく。
浜このみさん：
ぽとーんと落としますね
両面がきつね色になったら生地の出来上がり。間にあんこやジャム、生クリームを挟めば、見た目もキュートなどら焼きの完成だ。
アナウンサー：
あんこを挟んだどら焼きをいただきます。生地自体がすごく弾力があって、ふわっとしています。生地にあんこと生クリームの相性抜群
小麦粉の代わりになり、しかもヘルシーな米粉。最近のものはきめが細かくて扱いやすく、家庭での出番はますます増えそうだ。
（長野放送）
