自動車大手の2022年3月期の決算発表が出そろった。 

売上高、営業利益、最終利益がそれぞれ過去最高を更新したトヨタ自動車をはじめ、好業績を見せたところが目立つ。

日産は、最終損益が黒字に転換し、ホンダも増益を確保した。追い風になったのが「円安」だ。円安は、海外で稼いだ利益を円換算した金額を膨らませる。

トヨタ、日産、ホンダは、本業のもうけを示す営業利益のなかで、「為替の影響」が占めている割合が、約20~25%となった。増益のうち、トヨタは、6100億円分を為替要因が押し上げた。ホンダは1689億円、日産は634億円に上る。半導体不足やコロナ感染再拡大の影響を受けて、生産・販売台数が伸びない中、円安要因が利益を下支えした形になったが、この先、各社を取り巻く環境は厳しさを増している。

左から トヨタ:近健太副社長 日産:内田誠社長 ホンダ:竹内弘平副社長(決算会見より)
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トヨタは、2023年3月期の営業利益について、19.9%の減少としているほか、ホンダは、7.0%減を想定している。日産は、最終利益で30.4%の減少を見込んだ。

半導体不足の終焉はいまだ見えず、 ウクライナ情勢の深刻化などによる原材料費の高騰が続くほか、新型コロナの感染状況の先行きが見通せないなか、特に上海をはじめとした中国でのロックダウンの影響が広がっている。こうした不透明な状況を、織り込んだ結果だ、と各社は説明している。 

特に利益を圧迫しそうなのが原材料費の値上がりだ。車の生産に必要な鋼材やアルミ、貴金属などの価格は今後も高止まりするとみられ、経営の重荷になる。

各社は、高価な貴金属の使用量を減らすようにできないか、 より安価な代替素材を調達できないかなど取り組みを進めるとしているが、原材料高が利益を圧迫する構造の解消は難しい。

こうしたなか、競争が本格化しているのが、EV=電気自動車だ。今年に入って、トヨタ・日産は新しいEVの販売を開始し、ホンダはソニーとEV事業などで提携すると発表した。SUBARUも新たなEV専用の生産ラインを設けることを打ち出すなど、EV化への新たな動きが相次いでいる。

先行き不透明な外的要因に立ち向かいつつ、加速するEV化の流れのなかで成長路線を描き、稼ぐ力を高めることができるのか。自動車各社は、大きな課題に挑むことになる。

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記事 602 経済部

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記事 9 木沢 基

フジテレビ報道局 経済部 民間企業担当