2023年、日本のEV普及率は

2022年5月20日 日産SAKURA、三菱自ekクロスEV 発表会
2022年5月20日 日産SAKURA、三菱自ekクロスEV 発表会
この記事の画像(6枚)

2022年は、軽自動車タイプのEV(電気自動車)である日産SAKURA、三菱自動車ekクロスEVが発売から4か月で販売台数3万6000台を超え爆発的にヒット。2022年のヒット商品となり、「日本のEV元年」などとも言われた。 

明けて2023年、日本のEV販売台数を見てみると1~11月までで75,501台となっており、既に2022年の一年間の販売台数(58,813台)を上回っているが、新車販売台数に占める割合は約1.9%(PHEVなど除く)。

微増しているが、まだ1%台と低迷しており、「普及が進んでいる」とは言えない(出典:日本自動車販売連合会、全国軽自動車協会連合会の統計資料から独自に集計)。

世界に目を向けると、中国は2023年1月~11月までの累計販売台数のうち、EVが占める割合は20%を超えている(出典:マークラインズ)。

さらに2023年1~6月(上半期)におけるヨーロッパ(EU・EFTA・英国)の新車販におけるEVのシェアも約14.2%に上っていて(出典:ACEA)日本のEV普及率の低さは際立っている。 

国内の充電インフラ整備の現状  

一方、国内の充電インフラ設備を取り巻く環境は変化している。

2023年12月12日 DMM充電新サービス発表会
2023年12月12日 DMM充電新サービス発表会

2023年5月には主にネット事業を手がけていたDMMが充電インフラ事業に参入することを発表し、今年には1万口の設置を目標としている。

2023年3月23日  e-Mobility Power 国内初、都内の路上パーキングエリアにEV用急速充電器を設置 小池百合子東京都知事の視察の様子
2023年3月23日  e-Mobility Power 国内初、都内の路上パーキングエリアにEV用急速充電器を設置 小池百合子東京都知事の視察の様子

充電器メーカー大手のENECHANGEは自社の充電器だけでなく、他社の充電インフラをすべて表示するアプリを開発。また東京都でも路上パーキングに隣接する形で充電器を設置し、自家用車だけでなく商用のEV利用者に対しての利便性の向上を狙った取り組みを行っている。

経済産業省によると充電器は全国で約3万基が既に整備されていて、2030年までに30万口を設置する目標を掲げており、充電インフラの整備は民間や政府・自治体によって進められている。  

2024年国内自動車メーカーの電動化への動き 鍵となるのは  

日本のEV化を阻む3つの壁として➀「価格が高い」➁「充電インフラの不安」➂「航続距離が短い」があった。  

これらは、軽EVの発売、中国の大手EVメーカー「BYD」の上陸、国や自治体からの補助金制度が継続していることから、少しずつではあるが「手の届きやすい」価格のEVが出てきており、さらに上記のように官民連携の上でのインフラ整備が進んでいることにより、「壁の高さ」は低くなっている。  

この「壁の高さ」を下げるべく国内自動車メーカーが注力しているのが、安全性、航続距離が向上し、充電時間も短縮されるとも言われ、次世代の電池として期待される「全固体電池」だ。

2023年10月13日 トヨタ・出光共同会見 
2023年10月13日 トヨタ・出光共同会見 

トヨタは2023年10月に出光興産と組んで2027年の全固体電池の実用化を目指すことを発表。

2023年4月26日 ホンダ ビジネスアップデート
2023年4月26日 ホンダ ビジネスアップデート

ホンダも20年代後半の実用化に向け、24年春に実証実験用のラインへ430億円の投資を行い、開発を進める。

さらに日産は28年度での実用化に向け、横浜工場で実用化に向けた製造ラインの稼働を2024年度中に開始することを発表している。

3社とも2024年中に全固体電池が実用化する予定ではないが、開発競争は激化しており、他業種の企業との協業を含めた新たな動きが出てくることで、2024年を振り返った時に「全固体電池 元年」となり、日本国内の電動化が加速するか、注目される。

木沢 基
木沢 基

フジテレビ報道局経済部記者。記者歴3年。
電動化を進める自動車業界や、コロナ禍を経て変革している小売り業界などを担当した後、現在は内閣府、消費者庁を担当。

丹羽うらら
丹羽うらら

フジテレビ報道局経済部記者。自動車、通信・携帯、製薬、物流、重工など民間企業を幅広く担当。2023年のジャパンモビリティショーなどを取材。

フジテレビ
フジテレビ

フジテレビ報道局が全国、世界の重要ニュースから身近な話題まで様々な情報を速報・詳報含めて発信します。

経済部
経済部

「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
世界的な課題となっている温室効果ガス削減をはじめ、AIや自動運転などをめぐる最先端テクノロジーの取材も続け、技術革新のうねりをカバー。
生産・販売・消費の現場で、タイムリーな話題を掘り下げて取材し、映像化に知恵を絞り、わかりやすく伝えていくのが経済部の目標。

財務省や総務省、経産省などの省庁や日銀・東京証券取引所のほか、金融機関、自動車をはじめとした製造業、流通・情報通信・外食など幅広い経済分野を取材している。