大型連休前の4月24日、長崎・諫早市では全国でも珍しい河川敷での流鏑馬の奉納が行われた。
五穀豊穣などを願う地域の一大行事で、2022年は小学生の女の子がデビューを果たした。その奮闘ぶりは?

満を持して…ついに奉納デビュー「緊張はしない」

会場アナウンス:
二の的、的中!三の的、的中!

馬を走らせながら的を射る流鏑馬。 諫早神社では鎌倉時代から「射手馬」と呼ばれる独自の流鏑馬行事が行われていた。

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昭和初期にいったん途絶えてしまったが、2019年に諫早神社と「長崎流鏑馬保存会」によって復活された。
2022年も多くの見物人が訪れる中、今回初めて挑戦したのが長崎市の小学2年生、中村成美ちゃん(7)だ。

中村成美ちゃん:
(弓矢は)じいじの手作り。じいじが竹で作った

馬が大好きな成美ちゃんは、3歳のころに乗馬体験をした時に流鏑馬の稽古を見たことがきっかけでメンバーに加わった。

2021年までは、神事の際に弓矢の受け渡し役などを務めていたが、今回はお手伝いだけでなく、ついに「子供射手」として奉納デビューした。

中村成美ちゃん:
まだ(馬で)走りながら弓を打つことはできないけど、歩きながら、止まらずにはできる。緊張はしない。本番に強い

現在、身長は116cm。3歳のころに作ってもらった弓矢は少し小さくなり、四半弓=小学生でも使いやすい小型の弓の稽古も始めている。

女性メンバー:
こうして…もうちょっと手の指、そうそう、上からグっとひいて。パッて放すよ。せーの!そうそう!

自分より大きい弓は、まだなかなか扱いになれない。

自分より大きい弓の扱いはまだ難しいそう
自分より大きい弓の扱いはまだ難しいそう

大切なデビュー戦で 成美ちゃんの決断は…?

女性メンバー:
小さい方で。慣れてるので

中村成美ちゃん:
そっちじゃないと、いっぱいお客さん来るし、外したらダメだから

射手の先輩と一緒に本番前の参拝も済ませ、心の準備は万端。 着付けも済ませた。

男性メンバー:
大丈夫?痛くない?

中村成美ちゃん:
はい

初めて身にまとう稚児武者の衣装。自然と凛とした表情に切り替わった。

祖父母や担任の先生など多くの人が見守る中、白馬にまたがり、流鏑馬の奉納が始まった。

成美ちゃん:
い、よ~!

お見事!
お見事!

見事、的に命中!成美ちゃんの笑顔が弾けた。

年長者多く「たくさん学ぶ機会が多い」

大役を終えたあとに成美ちゃんが取りかかったのは、流鏑馬の的を使った合格祈願グッズや、手拭いなどを販売するお手伝いだ。お薦めを聞いてみると…

中村成美ちゃん:
え~…どっちかというと、大人とか妊娠している人だったら、こっちの手拭いなんですけど、こっちは子どもがキーホルダー。バッグにつけたりランドセルにつけたり、勉強用に鉛筆に使ったりもできます

大人顔負けのトークは、お母さんたちの姿を見て覚えたそうだ。
ちょっとおませな流鏑馬ガール。仲間たちからは「仙人」と呼ばれ、可愛がられている。

NPO法人長崎流鏑馬保存会・代表 本田殖也さん:
普段から堂々として肝が据わっていますし、大人たちと対等に渡り合えるぐらいの頭脳明晰で、言葉も巧みで、いつも感心しています

母親・中村希美さん:
このくらいの子どもたちよりも上の子たちが多いので、普段の話し方とか勉強のこととかも普段入ってこないこととか入ってくるし、上下関係とかとてもいい環境だと思うし、伝統に触れる機会があるのがありがたいと思います

中村成美ちゃん:
自分の予想以上にめっちゃやばい。結構人が来てたから。もうちょっと硬い弓矢の練習をしたいなと思います

2023年の奉納は大きな弓矢で、そしていつの日か走る馬の上から的に矢を当てたい。成美ちゃんは大きな目標に向かってこれからも稽古に励む。

(テレビ長崎)

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