私がお伝えしたいのは「紳士服業界がこぞって多角化その狙いは?」です。

コロナ禍でスーツ需要の落ち込みに歯止めがかからないなか、紳士服大手のAOKIホールディングスや青山商事が始めたシェアオフィス事業。
鍵付きの個室や、映える背景に顔写りが良くなるリングライト、さらにはヘアアイロンなどを完備した部屋もあり、女性客に好評だそうです。

ポイントはこちら、「女性客の取り込みが生き残りの鍵?」

紳士服業界は不採算店舗の閉鎖を進めるとともに、飲食店にフィットネスジムなど事業の多角化を進めています。
「スーツ=男性」というイメージが強く、いまだ男性客の売上げが多くを占めているといいます。

そこで多角化を進め、女性客や家族連れの獲得に乗り出しているのです。
こうしたなか、大手2社がこぞって注力するのが『シェアオフィス事業』です。

AOKIホールディングスは、入口がオートロックの鍵付き完全個室を導入すると、「安心」を求める女性客の利用が増えました。
それでも、男女比率は8:2ほどで、女性客をさらに呼び込むため、気軽に入りやすいよう建物内が見える仕様に変更していくそうです。

一方、青山商事は、“映える”背景やヘアアイロンなどを完備した部屋で差別化を図っています。
リモート映えする、髪を整えてオンライン会議に出られるなどと好評で、女性客を増やしています。
シェアオフィスの利用客が隣接する本業「洋服の青山」にも足を運ぶ、そんな相乗効果に期待します。

クールビズの推奨などで、そもそも縮小傾向だった紳士服市場を襲った「新型コロナ」。
止まらないスーツ離れに各社は生き残りをかけて、
スーツではない事業に「多角化」・ターゲットは「女性」
…2つのキーワードで、新たな顧客層獲得を狙います

井上文那
井上文那

フジテレビ報道局社会部記者。国土交通省、海上保安庁、観光庁担当。
記者を5年以上経験し、これまでに経済部記者として流通・物流・エンタメ業界、経産省、環境省、消費者庁、復興庁などを担当。