自民党の茂木幹事長が党所属の新人議員らが返納した去年10月分の「文書通信交通滞在費」(調査研究広報滞在費)を、日本赤十字社のウクライナ人道危機救援金に全額寄付したことを明らかにしたことで、野党が反発を強めている。

文通費を巡っては、去年10月末の衆院選で当選した新人議員が、在職1日にもかかわらず全額100万円を受け取ったことに批判が集まり、「日割り支給」に変更することとなったが、与野党はさらなる改革に向けて協議会で話し合いを続けている。協議会では、新人議員が受け取った去年10月分の100万円の扱いについては、結論が出た上で対応すると確認していた。

しかし、茂木幹事長が19日の記者会見で、返納された新人議員の去年10月分の文通費100万円を、再選議員は衆院解散後の日割り分として55万円をウクライナ支援のため寄付したことを発表。その上で、「まだ返納の手続きをしていない党があると聞いている」として、「文通費の問題に真剣に取り組むと言うのなら、まずこの問題の発端となった10月分を返金していただきたい。言行一致を求めていきたい」と述べた。

この発言を受けて、野党4党の国対委員長が国会内で会談。立憲民主党の馬淵国対委員長は「各党との確認に対して全く違う行動をとり、さらに野党に対して揶揄するような発言は断じて許すわけにはいかない」と批判した上で、謝罪を求めた。

また、日本維新の会の遠藤国対委員長は、「決まっていたことが何故こんなことになったかと言えば『連絡ミス』ということ。寄付したことは、事実として信義則違反を犯している。各党間の紳士協定が破られた。自民党として信頼回復をするための方策を見出してもらいたい」とした一方で「これをもって、文通費改革の議論が頓挫するということはあってはならない」と強調した。

自民党の高木国対委員長は、新人議員が受け取った去年10月分の100万円の扱いについて「幹事長サイドに私がしっかり伝えていなかった」として、各党の国対委員長に謝罪し、引き続き与野党の協議会を続けていく考えを明らかにした。

しかし、立憲民主党の馬淵国対委員長は、発言をした茂木幹事長の説明と謝罪を要求しており、新たな火種となる可能性がある。

政治部
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