復旧工事の様子や東京電力・福島第二原発も見渡せる福島・富岡町。避難指示が続いていた6年前から、ワインの材料とするブドウを栽培してきた。

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ワイン造りに心強い仲間「被災地の後押しをしたい」

山梨県でワインの醸造に携わってきた細川順一郎さん(49)。
2021年にこの畑を訪れて、景色の美しさに心を奪われ、富岡町に移住した。ブドウの栽培とワインの醸造、両方のとりまとめ役を務めている。

富岡町に移住した細川順一郎さん:
「衝撃」以外の言葉が見つからなかったです。何でもっと(被災地を)知ろうとしなかったんだろうと、後悔を覚えた記憶があります

2021年、避難指示が続く地域も訪れた細川さんは、10年以上たっても自宅に帰れない現実に衝撃を受けたという。「いまだに苦しむ被災地の後押しをしたい」…そんな思いが移住を決めたもう1つの理由となった。

富岡町に移住した細川順一郎さん:
元々、山梨県で独立してワイナリーを立ち上げようと、いろいろ模索をしていたんですけど、自分自身のためにだけじゃなく人のために何かできる事、今・10年後・20年後にできる事、今から考えながら行っていかなければいけない

被災から「新たなチャレンジ」へ…故郷でのワイン造り

とみおかワインドメーヌ 代表・遠藤秀文さん(49):
本当に少しずつ広げてきた。年輪のように、ちょっとずつ育てるように。家族と路頭に迷った日もありましたけども、前を向いて走り続けた11年間だったなって思います

東日本大震災の津波に自宅を流され、避難を続ける中で、故郷の復興への思いが高まっていたころ、ある考えが思い浮かんだ。

とみおかワインドメーヌ 代表・遠藤秀文さん(49):
こういう状態になっちゃったので、逆に「新たなチャレンジ」ができると

遠藤さんの「新たなチャレンジ」が、故郷でのワイン造り。

とみおかワインドメーヌ 代表・遠藤秀文さん(49):
荒れているけど、地道にやれば景色も変わる

2020年には、初めてブドウを収穫。試験的なワインの醸造も成功するなど、これまでの活動が実を結びつつある。

とみおかワインドメーヌ 代表・遠藤秀文さん(49):
辛抱強く信じて行うことが一番だと思っている

ワインが次世代に引き継がれる復興のシンボルに

JR富岡駅の近くに広げた畑に、ブドウの苗を2400本植える。

とみおかワインドメーヌ 代表・遠藤秀文さん(49):
常磐線のすぐ近くですので、車窓からの景色。やっぱり駅前というのは、町の顔になりますので

遠藤さんの目標は、「町の新たな魅力を生み出して次世代につなぐ」。

とみおかワインドメーヌ 代表・遠藤秀文さん(49):
ワインというのは、30年位たってから本当にいいワインになっていくんですよね。われわれは、どちらかというと基盤を作る。その次の次の世代にどういうふうに引き継ぐかが、大事になってくるかなと思っています

ワイン造りに取り組む細川順一郎さん:
ワインは1年で終わる仕事じゃなくて、人生をささげてもいい仕事だと思っています。あと現役で頑張れて15年位。次の世代へつなげていきたい

同じ思いを持つ遠藤さんと細川さん。

震災で変わり果ててしまった土地が、次の世代に引き継がれる復興のシンボルに生まれ変わっていっている。

(福島テレビ)

福島テレビ
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