男子バレーボール界のエースといえばこの人・石川祐希(26)だろう。
大学在学中から、世界最高峰のリーグを有する本場イタリアでプレーし、現在もイタリア1部のミラノで活躍。
男子バレーボール日本代表の主将を務めるとともに“世界一のプレーヤーになる”という夢を追いかけている。

そんな高い理想を掲げる石川に、彼が暮らすイタリアの地で“マイルール”を聞いた。
この記事で取り上げるマイルールとは、日々の「習慣」や「ルーティン」にとどまらず、「自分が大切にしている価値観」や「決め事」のことを意味する。
3月26日に放送された番組「アスリートのマイルール」から、世界で戦うアスリートたちが大切にしている秘訣をご紹介して行こう。
「基本スケジュールは同じ」毎日を過ごす
日本とは言葉も国民性も大きく異なるイタリアに身を投じ、トッププレーヤーとして戦いながら生活して早や7シーズン。
その中で、石川が見出した“マイルール”とはどんなものなのか?
その答えは、意外なほど素朴でありながら、ストイックなものだった。

「やることを決めて、そこに対するストレスをなくして余裕を持つようにしています」
「やることを決めて、余裕を持つ」
一見シンプルに映る言葉だが、実際に意味するのはどんな行動なのか。それは一日の過ごし方に秘密があった。

「基本的には大体スケジュールは決まっていて、7時半に起きて、食事して8時半、それで練習して終わるのが11時半くらいなので、そこからシャワーとかしてだいたい夕食の食材を買いにスーパーに行って、家に帰るのが14時で…」
一度自宅に戻ってくつろいだ後、夕方には再び練習に出発。練習を終え20時頃に帰ると夕食、シャワー、ストレッチを済ませ24時頃に就寝。

「そうですね。基本的にはこのスケジュールにはめて生活をしています」
なんと石川は、活動する1日のほぼ全てのスケジュールを“パターン化”しているというから驚きだ。
食事は常に同じ「おいしさとか楽しさは、その次」
さらに自宅のキッチンで、夕食の準備をする石川にこんな事を聞いてみた。

スタッフ:
食事の献立は、どうやって決めているんですか?
石川:
常に一緒です。 スープに入れるメインの野菜に関しては、パプリカ、ブロッコリー、ニンジン。そこを変えることはないですね。(作った)半分はその翌日のお昼だったり夕食で。今ニンジン切ったんですけど、ニンジンの切った数を数えて半分食べます。

スタッフ:
同じ量を食べたいからですか?
石川:
はい、だいたい偶数にしてやってます。

ニンジンの数まで数えているという石川の、手作りメニュー。
色鮮やかなたっぷりの野菜と、たんばく質が豊富な大型ステーキ。そして大盛の炭水化物。フルーツも添えられている。

別の日のメニューと比較しても本当にほとんど同じ献立がならぶ。
いったいどんな意図があるのだろうか?
「食事の最大の目的は、栄養摂取や、栄養補給のためなので、栄養をちゃんと摂れると安心で、おいしさとか楽しさというものはその次で、まずは何を摂っているか、何が摂れたかが、僕の中は一番重要です」
その結果、「自分で作る食事に関しては、栄養補給がメインなので。あまり料理に負担をかけずに簡単に早くというか、時間をかけずに効率よく栄養補給できるようにしている」のだという。

くり返しになるが、食事の目的はあくまで「栄養補給」であり、「おいしさとか楽しさはその次」と言い切る石川は、献立に頭を悩ますことを望んでいない。
だからこそ、身体を最優先に決めた食材を、手間をかけずシンプルに調理して、毎日摂るようにしているのだ。
同じ生活をするはストレスを無くすため
他にも歯磨きとトイレの順番、試合会場に入る時間は90分前など様々なことが決まっているという石川。一体どうしてここまで「同じ毎日」にこだわるのだろうか?

「労力と言ったらおかしいですけど、考え過ぎてしまうと、頭がパンパンというか、ストレスになってしまうので、ストレッチだったり食事だったり、やることを決めて、そこに対するストレスを無くしています。
常に新しい環境が目の前にあるので、そういったものを受け入れながら成長することも必要なので。余裕がないとトップには残っていけないと思っています」
つまり、バレー以外のことを考える時間をなくすことで自分に“余裕”を作り、“余裕”を持つことで、海外でのどんな刺激や変化も、成長として受け止めることができる、心のゆとりが生まれる。

この“余裕”こそが、世界一のプレーヤーを目指すには必要不可欠なのだという。
「その余裕が大事かなと思っています」
男子バレーの未来を担う日本のエースには、世界のトップを目指すためのルールがあった。
あなたが生活にとり入れるとしたら、どんなやり方があるだろうか?