福岡が全国に誇るソウルフードと言えば豚骨ラーメンだが、実は今、「新しい味・形態」のラーメン店が九州最大の繁華街・中洲にオープンしている。

電話も住所も非公開 会員制のラーメン店

そのラーメン店は、とある事情で店の外観は映すことができず、くわしい場所も明かすことができない。

店の場所も電話番号も非公開
店の場所も電話番号も非公開
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謎は深まるばかりなのだが、早速、中に入ってみると…

毛利拓也記者:
中は料亭のような内装になっていますね

やさしい明かりで演出された店内の壁には、立派な盆栽があった。まるで一流料亭のようなこの店は、ラーメン店「Gyokotsuya」だ。

立派な盆栽が配され、一流料亭のような雰囲気の店内
立派な盆栽が配され、一流料亭のような雰囲気の店内

河原畑豪二オーナーは、「おこがましいんですけど、会員制というこだわりというか」と話す。

「Gyokotsuya」オーナー、河原畑豪二さん
「Gyokotsuya」オーナー、河原畑豪二さん

この店は、手軽に食べられるラーメン店とは一線を画した、会員制のラーメン店なのだ。

そのため、店の場所も電話番号も紹介するのはNG。会員になるための費用は6,500円だが、現在の会員数はなんと1,000人以上となっている。

タイを白濁させ…会席料理のだしをスープに

会員費を払っても食べたいと思う特別なラーメンとは、一体どんなものなのか?

毛利拓也記者:
ちょっと博多ラーメンより太い麺がスープによく絡んで、とんこつとは違う、濃厚さのある魚介のうまみがしっかりとにじみ出ているようなお味というか

一見すると豚骨ラーメンに近い濃厚な色をしているが、このスープは?

河原畑豪二オーナー:
もともと私が、和食の職人です。その中でタイを白濁させたスープを作ってやっている

和食の職人がつくる魚骨だしのスープ
和食の職人がつくる魚骨だしのスープ

福岡でラーメンと言えば豚骨。
しかし、このお店で使っているのは豚骨ならぬ、店名にもなっている「魚骨」だ。

実は、ミシュラン一つ星を獲得したこともある「割烹 味美」で会席料理を頼んだ人だけが食べられる鍋があまりに好評だったため、そのだしをスープに使ったラーメン店を独立させたのだ。

河原畑豪二オーナー:
うちが会席の最後に煮麺やラーメンを出していた。お客さんから「こういうのでラーメン屋さんがあったらいいよね、お汁も飲めるから」という声があったので、お店を出した。(店を出したきっかけは)お客さんですね

手間を惜しまず…8時間煮込んだ魚骨スープ

いったい、どうやってこの魚骨スープを作っているのか。その秘密は、割烹味美の厨房にあった。

まず目に飛び込んで来るのは、山積みにされた巨大なタイの頭。タイを惜しげもなく使い、野菜などと8時間煮込んでスープを仕上げる。

タイや野菜などを8時間煮込む
タイや野菜などを8時間煮込む

これにより、濃厚な魚のうまみが詰まった魚骨スープができあがるのだ。

河原畑豪二オーナー:
和食は、全部手間をかける料理ですから

おいしい物を食べてもらうために手間は惜しまない。河原畑さんの貫く信条だ。そこには、料理に対する真摯な姿勢と、客への感謝の気持ちがあった。

河原畑豪二オーナー:
周りのお客さんからかわいがってもらって、ここまでしてもらっているから、恩返しというのはおこがましいけど、やっぱり食べて喜んで帰ってもらったら、なんか明るくなるのではないかな。
そういう意味では、コロナ禍でどこがどうだというのではなくて、みんなで盛り上がって、飲食業界がよくなればいいという思いもある

客への感謝の気持ちをしっかりとした料理で伝えたい。
たかがラーメン、されどラーメン。満足のいく料理を出す方法を考え抜いた答えが会員制という形だった。厳しいコロナ禍だからこそ、こだわった料理を納得する形で提供する。そこに中洲の一流料理人の魂を見ることができた。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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