熊本地震からの復旧工事が続く熊本城で、宇土櫓の解体工事がこのほど完了し、8月6日に報道陣に公開された。昭和2年の改修工事で入れられた基礎のコンクリートもすべて撤去され、建物下の地面が約100年ぶりにあらわになった。
約100年ぶりに宇土櫓が全て解体完了
創建当時からの姿をとどめ、第3の天守とも言われる国指定重要文化財の宇土櫓は、2016年の熊本地震で柱が折れたり、傾きが出るなどして、再建のため2023年12月から建物を解体する工事が行われた。

建物がすべて解体されるのは1927年(昭和2)以来、約100年ぶり。そして8月5日に解体工事がすべて終了し、昭和2年に再建工事が始まる直前の姿があらわになった。

解体された瓦は約2万9000枚、柱や梁などの木の部材は約5000点で、そのうち3割程度は江戸期に加工された可能性があるという。また解体時に期待された創建年代の特定につながるものは「見つからなかった」という。
復旧完了は2032年度予定の長い道のり
熊本城総合事務所・復旧整備課の上村祐一課長は「この工事につきましては解体、設計、復旧と過程があって、まずは安全に解体工事が終了したことをほっとしているところ。ただ復旧期間は長いので、調査を含めて設計をしっかり取り組んでまいりたい」と述べた。

熊本城総合事務所によると、解体工事が完了したことにより、毎月1回第2日曜日に行っていた特別公開は8月10日でいったん終了し、再建工事が始まったら、定期的な公開を検討するとしている。

今後のスケジュールだが、2026年度から2年間、復旧のための設計が行われ、復旧工事は2028年度にスタート。復旧完了は2032年度と予定されている。
(テレビ熊本)