FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。

今回は、4月6日から新学期が始まり、入学式が行われている学校も多いだろう。それに合わせて、春の全国交通安全運動も行われるが、このキャンペーンの中で重要な役割を果たすのが「1日署長」。
ところで、この1日署長は何者なのか?経済部・平松秀敏解説委員が「1日警察署長について」伝える。

4月から全国交通安全運動がスタート

経済部・平松秀敏解説委員:
4月6日から、春の全国交通安全運動が始まりました。警察のなかでも一番大きいキャンペーンになります。

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どういうことなのか、簡単に説明すると、交通安全運動の期間中、街中でも交通取り締まりをするお巡りさんを、いつもより多く見かけますよね。警察に限らず、各省庁、各自治体がタッグを組んで、交通事故をなくすために全国で一大キャンペーンが実施される。全国交通安全運動は、春と秋の1年に2回行われます。

私は、この運動が始まるとあることが気になります。それは「1日署長」です。
加藤キャスターもご経験があるそうですね?

加藤綾子キャスター:
そうなんです。私も数年前にやったことがあるんですよ

経済部・平松秀敏解説委員:
この1年間にFNNで取材した1日署長を調べました。
交通安全運動に限らず、特殊詐欺撲滅や地域安全などを訴えるために、有名人に限らず、例えば、地元の子どもやご当地ヒーローなどが1日署長に就任していて、地元のつながりが強い人が多い印象があります。

ももいろクローバーZの皆さんは、1日署長を行う回数が多いですよね。2021年は、東京オリンピックが開催されたので、オリンピック選手が起用されることが多いなと感じます

加藤綾子キャスター:
そういう方が出ると注目を集めますよね

 経済部・平松秀敏解説委員:
では、なぜ今回「1日署長」をお伝えするかというと、これまでに私の知り合いなど色んな人から、「1日署長って何をやるんですか?」「警察官になるんですか?」「犯人を逮捕するんですか?」「誰が選ばれるんですか?」などと頻繁に聞かれます。

なので、今回は「1日署長」について伝えますが、「どういうお仕事をするのか?」事前に警察署に取材をしました。
制服は、普通の女性警察官が着る制服ではなく、式典などで着るフォーマルな「礼服」を着用します。階級章もちゃんと“警視”のもので幹部向けのものを付けるということです。

1日署長のスケジュールは何をやるのかというと、朝10時に1日署長をお願いする「委嘱式」が行われます。
その後、交通取り締まりに向かうパトカーや白バイが出動する出発式に立ち合います。

そして、警察署近くの交差点で新1年生の手をつないで横断歩道の渡り方を教える。これでおしまい。
1日署長といいつつも、半日弱くらいの署長ということなんです。
丸1日、警察官になる訳ではなく、交通安全運動に協力する「広告塔」なんです。
加藤キャスターの場合もこうでしたか?

加藤綾子キャスター:
全く同じですね。1日というより半日くらいで、呼びかけという形でした

経済部・平松秀敏解説委員:
ちなみに、私もこれまでに色んな1日署長を報じてきましたが、広告塔として1番印象に残っているのが、5年前、東京都武蔵野警察署の1日署長に「ガチャピン」が就任しました。
ガチャピンとピーポくんの奇跡のツーショットは驚きました。このツーショットはなかなか見られない。だから、私の中ではとても記憶に残っています。

そして、広告塔ということなので、1日署長は、当然容疑者を逮捕することはできません。

選ばれるポイントは「地元とのつながり」

広告塔ですから、やはり有名人や地元につながりのある人の方がいいです。
私のこれまでの警察取材をもとに「どういう人が選ばれるのか」考えてみると、主なポイントは3つです。
「地元に住んでいる」「地元とのつながり」「署長・幹部の知り合い」

では、「地元に住んでいる」とは、どういうケースがあるのか。
例えば、管内に相撲部屋がある警察署では、その部屋の力士が1日署長を務めることが多いです。

2番目の「地元のつながり」ですが、その警察署の管内に、芸能事務所や映画会社などがあると、その事務所所属のタレントさんや俳優さんが1日署長を務めることが多いです。

これが1番多い気がしますが、3番目の「署長・幹部の知り合い」。これは個人的なツテを使って、タレントさんや俳優さんを呼ぶことです。
大学の先輩のプロ野球選手だとか、警察官は柔道をやる人が多いですから、個人的なツテで柔道のオリンピック選手を呼んだりします。

そして、私のところによせられる最も多い質問が「ギャラはいくらなの?」という質問です。
これは、私のこれまでのお巡りさんとの会話の中から紐解いていくと、実は、有名人の方の中には、ギャラを受け取らずボランティアで協力する人もいますし、受け取ったとしても本当に「謝礼」「お車代」程度です。
警察署の予算では、そんなに高いギャラを出せる訳がありません。

では、なぜタレントさんや俳優さんは1日署長に協力するのでしょうか?
以前、ある警察幹部は、「有名人にとっても、警察に協力するのはイメージアップにつながる」と言っていました。
有名人側にとっても、ギャラ以上にメリットがあるということでしょう

加藤綾子キャスター:
イメージアップにつながると目の前で言われると、ちょっと恥ずかしくなりますね

子どもやドライバーへ注意を促す効果

最後に、これもよく聞かれる質問ですが、厳しい意見も聞かれます。「有名人が1日署長をやって効果があるのか?」ということです。
確かに、1日署長を行ってもその女優さんなどに目が行って、肝心な目的を達していないのではないか。1日署長ばかり目立っているイベントがあるのは確かです。

4月にやるのはなぜか?春の交通安全の1番の目的は、新しい学年を迎える子どもを事故から守るためです。
春先は、子どもが事故に巻き込まれることが多いです。子どもに交通ルールを教えて、運転する人に注意を促します。
そのため、有名人が警察の制服を着てパレードをすることには、それなりの意義があるのではないかと個人的には思います。

加藤綾子キャスター:
気をつけようよいう意識につながりますよね。私もやりましたが、やる側の気持ちも「気をつけよう」と思います

住田裕子弁護士:
イメージアップだけではなくて、自分を律しようと意志を植え付けられますし、子どもにとっては「あの人と手を繋いで横断歩道を渡ったんだよ」と家庭でお話しするだけでも記憶に残ると思います

(「イット!」4月6日放送より)

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