渡部暁斗選手、弟の善斗選手、山本涼太選手の長野県勢3人が出場した北京オリンピック・ノルディック複合団体。銅メダルを獲得した。団体のメダルは28年ぶりの快挙だ。
激闘のシーズンを終えた3選手がNBSのスタジオへ。北京の舞台裏や応援への感謝、また、今後について話を聞いた。

メダルは「今までの中でも、より重く」

アナウンサー:
北京オリンピック・ノルディック複合団体で見事、銅メダルを獲得しました、渡部暁斗選手、渡部善斗選手、山本涼太選手にスタジオにお越しいただきました。改めまして、おめでとうございます。まずは、首から掛けているそのメダルを見せていただけますか
渡部暁斗選手:
団体の喜びと個人戦の苦しさだったり、くやしさだったり、もちろんうれしさも含めて、今まで以上にいろんな気持ちを抱いてのオリンピックだったので、今までの中でも、より重く感じました
渡部善斗選手:
団体戦のメダルというのはジュニアのころから言われていて、長い間みんなで目指していたものなので、それに手が届いたので、すごくうれしいです
山本涼太選手:
こうして日本チームとしてメダルを獲得することができて、次につながる大きな一歩だと思います
前半ジャンプで4位につける
アナウンサー:
前半ジャンプ、トップバッターを務めたのは暁斗選手でしたが、今シーズン、ジャンプに苦しんでいた印象がありました
渡部暁斗選手:
自分がチームに勢いをつけるためにと思って飛んだんですけども、なかなかいいジャンプにならなくて、本当に申し訳ないなという気持ちと「善斗、次頑張ってくれ」と祈るような気持ちでいました
渡部善斗選手:
その姿をそのまま引きずるわけにはいかないので、僕で流れを変えようっていう、そこでまた逆に気合を入れた。そこでいいジャンプが出せたので、少しほっとしました

山本涼太選手:
納得いくジャンプではなかったですね。飛び出した直後の、自分がいつも思い描いている飛行曲線にならなかったので、「ちょっと失敗したな」というのが正直なところです
アナウンサー:
ただ、今大会、山本選手はジャンプで見せ場をつくって、かなり光るジャンプを何本も見せてくれたなという印象があります
山本涼太選手:
自分のとりえのいい部分が少しでも出せたらいいかなという気持ちで臨んだんですけど、一番いい部分が全部の試合で出たんじゃないかなと、すごくよかったです
後半は全員が粘りの走り
アナウンサー:
そしてジャンプで4位に日本がつけて、後半のクロスカントリーの1走は善斗選手でした
渡部善斗選手:
1走の役割は、メダルを取るには、メダル圏内でしっかり次の走者に渡すのが絶対的な仕事なので、それだけに集中できた
渡部暁斗選手:
自分が3走に置かれることによって、集団で涼太に渡せばなんとかなるというのと、集団を形成していく中で1チームでも振るい落とすことができれば、メダルの可能性が上がってくるというところを自分が任されているんだと、それが自分の仕事なんだと、それに集中した
山本涼太選手:
あそこでスプリントをかけて、目の前にドイツの選手がいるのが分かってたんですけど、後ろの選手がどれくらい離れているかとか、離れているのかすらも分からない状態で入っていって、ストレートのゴールで約100メートルくらいですか、そのところに入ってきたときに、先輩方が並んで待っていてくださったので、後ろは離れているんだ、じゃあメダルは獲得できているなという感じですごくうれしかったです

渡部暁斗選手:
久しぶりにあんなにゴールエリアではしゃいだなと。それが喜びを爆発できたなと
幼い子どもが支え

アナウンサー:
その首にかかっているメダルは息子さんには見せましたか
渡部暁斗選手:
見せました。見て「なんだろうな?」、ポイっていう感じでしたね(笑)。おー投げるな、投げるなって言って。ほとんど毎日のようにビデオ通話して、そのときぐらいは笑顔でというふうにやっていたのが、意外と笑顔を作るとそこから気分がよくなってきたりするんで、そういうところで気持ちを保っていられたところもあるのかな
亡き父に報告「見守っていてほしい」

アナウンサー:
山本選手は(複合の日本選手権で2度優勝した元選手の)父親の直鋭さんにまずは報告をしたいとも話していました。何か報告というのは
山本涼太選手:
まずは取ることができたという報告と、まだ次も目指すという自分の中の気持ちを伝えました。背中を押してくれたのかなっていうのが正直あるので、まだ見守っていてほしいですし、次もいいところで登場してほしいですね
信州からの応援が「一番の後押し」

アナウンサー:
信州からのいろんな応援は何か届きましたか
渡部暁斗選手:
もちろん、それが一番大きいです。地元というのもありますし、メッセージをもらったり、横断幕を作ってもらったり、本当に信州の皆さんの応援というのは一番後押ししてくれてるなと感じながら、オリンピックで戦うことができました

山本涼太選手:
いざ出場してメッセージを読み返すと、とてもつまるものがあったので、それをまだ会社に正式には報告に行けていないので、メダルを持っていけたらいいかなと思います
オフの過ごし方…家族との時間、おいしいものも
アナウンサー:
今後のオフには何をしたいですか
渡部暁斗選手:
僕は息子とできるだけ時間を過ごしたいなというのがあります。エネルギーを発散させるというか。あとは家事をやって、妻への負担を減らすとか。洗濯は遠征中も自分でするので、そこはもう量が増えるだけなので任せてほしいですね
アナウンサー:
取り込むのとか…
渡部暁斗選手:
全然、早いです。パパパパパッと(笑)

渡部善斗選手:
いろんなものを保存して、これ食べるとリストで決めてあるので、まずはおいしいものを食べて回りながら、スキーを楽しみながら、落ち着いてきたら次のシーズンへ向けての練習のプランをそろそろ
今後は…? 渡部暁斗選手「次の目標へ」、山本涼太選手「金メダル」
アナウンサー:
今後はどう考えていますか
渡部暁斗選手:
まだやめるつもりはないんですけど、応援してくださる皆さんに背中を押してもらいながら、一歩踏み出して次の目標に向かっていきたいなと
山本涼太選手:
競技を始めたころから個人で金メダルを取りたいというのをずっと掲げてやってきて、今回その団体として日本チームとしてメダルを獲得することができて、やっぱりその目標はぶらさずにいきたいという気持ちはあるので、4年後のイタリアのオリンピックに向けて金メダルを目指して、頑張っていきたいです
温かい声援に感謝

アナウンサー:
それではメッセージをいただければと思います
渡部暁斗選手:
ノルディック複合の渡部暁斗です。信州の皆さん、いつも応援をありがとうございます。皆さんの本当に優しい一言、温かい声援が背中を押してくれて、こうしてメダルを獲得することができました。本当に皆さんの応援がなければ今回、戦いきることができなかったなと思うほど正直、弱っていた部分もありました。ただ、そこで力を振り絞って戦い抜くことができたのは、皆さんの声援のおかげだったと思います。本当にありがとうございました
(長野放送)