新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種が進む中、医療従事者はより多くの人に、より安全に接種ができるよう尽力を続けている。ドライブスルー方式でのワクチン接種を採用した病院の1日に密着した。

予約受付に注射器の準備…看護師らが管理

宮崎県日南市にある春光会記念病院。ここで2021年8月から行われているのが、ドライブスルー方式でのワクチン接種。

この記事の画像(15枚)

院内での密を避けられるほか、車の乗り降りの必要がなく高齢者などへの負担も少ないため、利用者からも好評だという。

利用者(高齢男性):
接触しないというのが一番。せっかく予防接種するわけですからね。

この方法でこれまでに行われたワクチン接種は約4500回。この取り組みの裏には、ワクチンを1人でも多く、より安全に届けようと尽力する医療従事者の姿があった。

春光会記念病院の看護部長で、看護師歴46年の田中茂子さん(68)。ワクチン接種業務を取りまとめている。

看護部長・田中茂子さん:
きょうは2月25日で、モデルナ接種の日ですね。115人と聞いております

朝のミーティングでは毎日、各部の代表など8人で、情報の共有やワクチン接種の段取りの確認を行う。

接種の予約は看護師など3人が電話やFAXで受付。1日約100件の電話を受ける。

急な連絡にもスタッフが素早く対応
急な連絡にもスタッフが素早く対応

ワクチン接種に関する案件は看護部が一括で管理し、急な接種依頼やキャンセル対応など、素早く柔軟に対応している。

看護部長・田中茂子さん:
役に立つということに対しては、すごく前向きになれる。これは災害だと思っているので、スタッフもこの2年間すごく頑張ってくれています

 
 

ワクチンは、当日に必要な分を院内薬局の薬剤師から受け取る。

細心の注意を払い、2人で116回分のワクチンを瓶から注射器に移す。

看護部長・田中茂子さん:
1人だと、勘違いだったり間違いがあっても気付かないので、2人で必ずしますね

細心の注意をはらい、ワクチンを瓶から注射器に移す
細心の注意をはらい、ワクチンを瓶から注射器に移す

エアが入っていないか、異物が入っていないか。第三者が必ずダブルチェックを行い、注射の不備がないよう徹底。約1時間かけてワクチンの注射器を準備する。

週5日、夕方まで実施 利用者からの感謝が励み

午後1時30分、ドライブスルーワクチン接種開始。週に5日、平日に実施している。この日は医師や看護師など14人が対応した。

医師は5人が1日交代で担当を務めるなど、1人に負担がかからないよう工夫。利用者は受付、医師の問診などを終えると、二手に分かれてワクチン接種を行う。

看護部長・田中茂子さん:
乗り降りしなくていいから、利用者にとって一番いい方法。私たちは暑くても寒くても、ちょっとだけ頑張ればいいかなということで続けています

ワクチン接種は連日、午後4時過ぎまで続く。

利用者(高齢女性):
大変ですよね。ご苦労様です本当。私たちのために一生懸命してくれてありがとうございます。これでまた長生きしないと。頑張ります

利用者(春から看護師):
いろいろな人が、こうやって裏で頑張ってくれていたりする。そういう人に自分がなりたいと思いますし、心に寄り添えるような看護師になりたいと思っています

看護部長・田中茂子さん:
車の中から感謝のコメント、本当に励みになりますね。(コロナ禍で)みんなのスキルや意識が変わったのも感じていますし、組織力、人材育成ができたからとても良かったなと。今後もそれを続けていきたいというのが目標です

コロナ禍でスタッフのスキルや意識が変化
コロナ禍でスタッフのスキルや意識が変化

地域住民の健康を守るため、医療従事者は今日も奔走する。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
テレビ宮崎

宮崎の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。