民法の改正で2022年4月1日から、成年年齢が18歳に引き下げられる。これに伴い「成人式」が注目されている。成人式は大人への仲間入りを祝福、激励する行事として行われてきた。

これまでは年度内に「満20歳」となる人を、「成人の日」(1月第2月曜日)ごろに祝うことが多かったと思うが、これからは成年の定義が18歳に変わってしまう。

高校3年生の1月は受験シーズンでもある(画像はイメージ)
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法務省によると、成人式の時期やあり方に法律による決まりはなく、各自治体の判断で実施されているという。そのため、法改正をきっかけに対象年齢や実施時期が変わることもありえる。

2市町が“18歳での実施”を予定

法務省が2022年1月に公開した調査結果では、全国の自治体の8割以上が法改正後の方針を決めていて、94.7%が「20歳に達する人」、5.1%が「21歳に達する人」と、ほとんどが「20、21歳に達する人」を対象にしていた。

主な理由は、「18歳の1月に実施すると、受験と重なり、出席者が減少するから」「18歳で成人式を実施すると、実行委員会の活動時期と受験などの準備期間が重なり、新成人らが実行委員会に参加することが難しくなるから」「対象者が集まりやすいから」などだった。

20歳・21歳を対象とする理由(出典:法務省)

実施時期もこれまでと同様、成人の日の付近に行うところが大半。こちらの主な理由は「現在の実施時期を変える必要がないから」「成人の日が1月に設定されているから」などだった。

こうした中、18歳での実施を決めたのは、北海道別海町と三重県伊賀市のみ。どのような経緯で判断し、従来の成人式と違いは出てくるのだろうか。それぞれの自治体に実情を聞いた。

伊賀市は成人式がGW前に…反対署名も

伊賀市では、2023年1月に満20歳、3月に満19歳、5月に満18歳と時期をずらして式典を行い、2024年以降は毎年5月4日に、満18歳で実施する。民法の成年年齢にならっての判断だという。

伊賀市のウェブサイトより

その一方で、地域からは反対意見も出ている。地元の高校生や保護者でつくる市民団体は、これまで通り満20歳にしてほしいと、8000人分を超える反対署名を集めて市側に手渡している。

市民団体に話を聞くと、主な反対理由は(1)高校卒業後に県外に出たら、約1カ月で戻ることになる、(2)学校の友人関係でも伊賀市の人だけ、戻る時期がずれてしまう、(3)5月だと振袖などの和服が暑くて着られない。卒業後すぐは金銭的に用意できないこともある、(4)久しぶりに地元に戻り、ふるさとの良さを再確認できる可能性をなくしている。このようなことを訴えていた。

振袖は5月だと確かに暑いだろう(画像はイメージ)

では伊賀市はどのように受け止め、対応するのだろう。担当者に聞いた。

――成人式の対象を18歳にする理由を教えて。

民法改正に伴い、18歳成年を対象に開催し、成人本人が社会的責任を持ち、一人の大人として自覚するとともに、祝福する場としたいと考え、実施することとしました。新たに成人になられた方に、しっかりと市民社会の一員となったことを自覚し、行動していただく節目となるよう開催したいと考えています。

また、民法改正後も20歳を対象とした成人式を望まれている人は、20歳で集まってワイワイやりたいとの想いからで、18歳を成年とする考えとは異なります。18歳成年が世界標準となったという観点で、今後大きく未来へ羽ばたいてほしいという想いからでもあります。

伊賀市の成人式の様子(提供:伊賀市)

――これまでの式典と違ってくるところはある?

成年年齢が引き下げられることで、未成年者取消権を行使することができなくなるため、悪徳商法などによる消費者被害の拡大が懸念されていることから、今後犯罪に巻き込まれないよう、社会教育の観点からも、契約の重要性、消費者の権利と責任などを伝える場が必要であると考えています。


――反対意見も出ているが、対応などはするのか。

18歳を対象に成人式を実施しますが、激変緩和のため、実行委員会形式などにより「20歳の集い」を行いたいと希望があった場合、会場となる公共施設の使用料を市が負担することや、個人情報保護を考慮した上で参加対象者への案内の発送など可能な範囲で支援をしたいと考えています。

別海町は“地域ならでは”の理由も

一方の別海町では、2022年度~23年度をかけて対象年齢を18歳としていく。22年度は20歳になる人、19歳になる人の式典を行い、23年度は19歳になる人、18歳になる人の式典を行う。23年度の18歳の式典は、春分の日(3月20~21日)に行い、それ以降は毎年、春分の日に18歳を対象に行っていくという。

別海町の担当者に話を聞くと、2022年3月時点で反対意見などは寄せられていない。対象年齢についてはこちらも成年年齢にならったというが、地域ならではの理由も関係していた。


――成人式の対象を18歳にする理由を教えて。

成人式には祝祭や同窓会的な要素が多分にあることも承知しています。しかし、成人式を開催するにあたり最も重要なことは、参加者に新成人としての自覚を持ってもらうことだと当町は考えており、成人年齢が引き下げられるのであれば、式典の対象年齢も同様に引き下げ、進学や就職前に成人としての自覚をもって社会参加をすることが望ましいとの思いから、成人式対象年齢の引き下げを決定しました。

成人として自覚を持ってほしいという(画像はイメージ)

――18歳にすることで影響は出てこないか。

当町には大学や専門学校など、高校卒業後の進学先がないため、進学する高校生は必然的に町を巣立つことになります。就職においても、より人口の多い自治体で就職先を見つける若者も少なくありません。18歳の3月に式典を開催することにより、町を離れる新成人たちが直前にお互いに激励しあったり、名残を惜しむ場としても定着していく可能性もあると考えています。ただし、引っ越し日程の都合などにより、やむを得ず参加できない新成人も一定数いると思われるため、参加者数の減少も想定されます。


――成人式の内容には違いなどが出てくる?

同窓会的な色はやや薄くなり、成人としての自覚を持つよう促す意味合いが強くなると考えています。名称の変更は現時点で想定しておらず「別海町成人式」の名称を継続して開催する予定です。特に18歳の成人式については、進学・就職に影響が少ない春分の日を開催日とし、これから町内外で活躍する新成人たちへの激励の色も強くなるかと思います。

卒業後の激励という集いになるかも(画像はイメージ)

成人式は人生の晴れ舞台でもあり、伊賀市の市民団体のように反対する気持ちもわかる。式典間近となって混乱を招かないよう、自治体にはしっかりとした説明や準備が求められる。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。

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