伊勢湾台風時…避難場所として市民4000人にスタンド開放したことも

「土古(どんこ)競馬」の愛称で親しまれた、名古屋市港区の「名古屋競馬場」が3月11日で閉場した。73年間、苦境も乗り越えファンに愛されてきたその歴史と、半世紀近く勤めた職員を取材した。

白井一男さん(71)。名古屋競馬で48年働いてきたベテラン職員だ。

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現在は記録写真の撮影などを担当。2021年11月、国内の女性騎手初の通算1000勝を達成した宮下瞳騎手の姿もカメラに収めた。

白井さんが長く見守ってきた熱狂の舞台、名古屋競馬場。
オープンは73年前の1949年。当時の地名から「土古競馬」の愛称で親しまれた。

伊勢湾台風時は馬場が水没したが、スタンドは避難場所として市民約4000人に開放。

1960年代半ばから70年代は「黄金期」。白井さんが就職した74年には入場者数292万人、発売額735億円とピークを記録し、熱気にあふれていた。

白井一男さん:
あの頃は本当にお客さま多かったですね。スタンド上から見ると立すいの域がないというか、人の頭で真っ黒っていうか

しかしレジャーの多様化もあり、入場者数も発売額も右肩下がりに。累積赤字は膨らみ、たびたび廃止が議論されるように…。

馬券のインターネット販売が始まり赤字は解消したものの、施設の老朽化が進んだことなどから遂に閉鎖が決まった。

ファンA:
最後にもう一回来たいなと思って。寂しいですね、やっぱ

ファンB:
お遊びが無くなって困ったもんだ。今からでも撤回して、もっと続けてくださいよ

閉鎖後は、トレーニングセンターがある愛知・弥富市に移転。4月8日には新たな「名古屋競馬場」でレースが始まる。

(Q.閉場を初めて聞いた時は?)
白井一男さん:
「いよいよ弥富へ」っていう感じはありましたね。弥富トレーニングセンターをつくる時には、ある程度競馬場ができるような格好でつくったと聞いていましたので

この場所に勤め、半世紀近く。寂しさを感じているが、新しい競馬場に期待も抱いている。

白井一男さん:
色んなことがありましたけど、良かったなぁと思いますね。色んな意味でね。やっと盛り返して次の人にバトンタッチできるっていうか。新しい所での新しい競馬ということで、今の時代変わっていくのかなと。変われれば、変わっていってもいいのかなと

(東海テレビ)

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