韓国の次期大統領に当選した尹錫悦氏は10日、国会で当選後初の演説をした。
内政面では公正と正義を強調するとともに、保守と革新陣営、慶尚道と全羅道の地域対立を解消し、社会融和を訴えた。また、外交面では北朝鮮の核の脅威に対抗するための国防力の強化や、米韓同盟の再建に取り組むと述べると共に、日本とは未来志向の日韓関係を築くと表明した。
以下、記者会見全文と、日韓関係に関する質疑をまとめた。

この記事の画像(5枚)

尹錫悦氏:
偉大で誇らしい国民の皆様! ありがとうございます。もう一度、心から感謝します。

厳粛な気持ちと無限の責任感を持って、第20代大統領当選者として国民の皆さんの前に立ちました。公職辞退後、これまで国民の皆様が送ってくださった支持と声援があったからこそ、政治の初心者である私がここまで来ることができました。
政治を始めてから様々な困難がありました。その度に、なぜ国民が私を呼び出したのか、何が国民のためなのかを考えました。これからもひたすら国民だけを信じて、国民の意思に従います。公職者が権力に屈服すれば、正義が死に、力のない国民はさらに危うくなる。国民の皆様は26年間、公正と正義のためにいかなる権力にも屈しなかった私の所信に希望をかけて、私をこの場に立たせてくださいました。正義とは何かについて悩む前に、日常で正義を感じられるようにするという国民との約束を守るようにという意思です。

この国の公正と常識を正す改革の声であり、国民を二分せず、統合の政治をせよという国民の切実な訴えです。新しい希望の国を作れという厳しい命令です。私はこのような国民の意思を決して忘れません。
政治的有利·不利ではない国民の利益と国益が国政の基準になれば、私たちの前に進歩と保守の大韓民国も、慶尚道と全羅道の区別はありません。私、尹錫悦は、ただ国民だけを見て歩みます。

国民の皆様、今、第4次産業革命への対応、コロナ·パンデミックの克服、そして韓国経済の長年の低成長と両極化という前代未聞の巨大な挑戦に直面しています。
尹錫悦政権は、自由民主主義と市場経済を立て直し、危機を克服し、統合と繁栄の時代を開きます。自由民主主義を脅かす度が過ぎた理念を離れ、国民の常識に基づいて国政を運営していきます。これにより、国民一人ひとりに公正な機会が保障され、自律と創意を思う存分発揮できるダイナミックな国、労働の価値が尊重され、働く人がより豊かに暮らす国を作ります。
政府主導でなく民間中心の経済に転換し、雇用を創出し、中産層をさらに厚くします。我々にとって、必要な温かい福祉も成長なくして持続できません。持続可能な発展は、成長と福祉が公正に好循環しなければなりません。
先端技術革新を大々的に支援し、科学技術をリードする国家として成長し、超低成長の危機に瀕している韓国経済を再び成長軌道に乗せていきます。成長の結実により恵まれていない隣人と社会的弱者をより暖かくサポートし、一人一人の国民も一人で遅れを取らないように努めます。
デジタルプラットフォーム政府を具現し、公共の意思決定がデータに基づき、科学的かつ合理的に行われるよう邁進します。政府と国民との双方向性コミュニケーションの活性化を通じて、デジタル民主主義の発展はもちろん、真の個人に合わせた福祉の時代を切り開きます。
そしてコロナに追い込まれている自営業者と小商工人のために痛みの分担に積極的に取り組み、未来への準備も徹底して行います。これからのもう一つのパンデミック危機に先に対応できるよう、この社会の制度改革も並行してまいります。
民主主義を脅かす不正腐敗は、敵味方を問わず、国民の側に立って厳しく処罰し、国民すべてに公正に適用される法治の原則を確固に守っていきます。何よりも国民の生命と安全を最優先に守る安心できる大韓民国を作ります。

国民の皆様、韓国は日増しに増大する北朝鮮の核の脅威と米中戦略競争の緊張の中で、グローバル外交力を強化していかなければならない課題を抱えています。国民の安全と財産、領土と主権を守るため、いかなる挑発も確実に抑えることができる強力な国防力を構築します。
北朝鮮の不法で不合理な行動に対しては原則に則って断固として対処しますが、南北対話の扉はいつでも開けておきます。堂々たる外交と堅固な安保に基づき、自由、平和、繁栄に寄与するグローバル中枢国家に生まれ変わります。
韓米同盟を再建し、自由民主主義、市場経済、人権の核心価値を共有し、包括的戦略同盟を強化していきます。相互尊重の韓中関係を発展させ、未来志向の韓日関係を作ります。 地域別に特化したグローバル協力ネットワークを構築し、経済安保外交を強化します。大韓民国を国際社会で役割と責任を果たす尊敬される国にします。

国民の皆様、国民のための政治、民生を活性化させ、国益を優先する政治は、大統領と与党の努力だけでは不可能です。議会とコミュニケーションをとり、野党とガバナンスを行います。国政懸案をめぐって国民と率直にコミュニケーションを取ります。参謀の後ろに隠れないで、政府の過ちは率直に告白します。現実的な困難は率直に打ち明けて、国民の皆さんに理解を求めます。

尊敬する国民の皆様、私は本日、この場に立つ瞬間にも時代を貫く公正と常識の自由民主主義の精神と法治という憲法精神を再確認しています。より自由でより公正な大韓民国、子供たちが幸せになり、若者が夢見ることができる国を皆様と共につくります。

尹錫悦政権は、国民の苦痛と心に応えることができず、国民の信頼に応えることができなかったら、厳しい声で叱ってください。初心を忘れず、謙遜な姿勢で国民だけを見ていきます。いつも国民の味方になります。国民を騙さない正直な政府、国民の前で正直な大統領になります。
ありがとうございます。

Q. 日韓関係についてこれからどのように対応するか、日本の岸田総理とどんな関係を作りたいか?

尹錫悦氏:
他のすべての国との関係も同じだと思いますが、特に韓日関係は過去よりも未来にどのようにすることが両国の利益になり、両国の国民の利益になるのか、それを我々が見つけていくことが重要だと思います。そうすることで、韓日両国が未来に向け、お互いに共同の協力を構築していく過程で、また我々の過去の部分についても真相を究明し、お互いが整理し、解決する問題について膝を交えて話し合う必要があります。
だから重要なことは、韓米両国共同の未来の両国の利益であり、また我々韓日の未来世代、そして若者と未来世代が目指すべきことは何か、そのような点に重点を置き、韓日関係を考えていきます。

国際取材部
国際取材部



世界では今何が起きているのか――ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリ、モスクワ、イスタンブール、北京、上海、ソウル、バンコクのFNN11支局を拠点に、国際情勢や各国の事件・事故、政治、経済、社会問題から文化・エンタメまで海外の最新ニュースをお届けします。