通報は約30件 火災や事故など確認されず

2月17日、福岡県久留米市を中心に「爆発音」騒動が起こった。取材班は謎の爆発音の正体を突き止めるべく、追跡取材に乗り出した。

問題の日の夕方、久留米市内に鳴り響いた爆発音。各地の防犯カメラに、その音は録音されていた。

爆発音は各地で録音された
爆発音は各地で録音された
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爆発音を聞いた人:
ドォーンですね。低い(音)。風圧がかかったみたいに建物が揺れた

 
 

爆発音を聞いた人:
バフっと、一瞬だけでしたけどね

この音が聞こえた直後、久留米市内の警察や消防には合わせて約30件の通報が寄せられ、警察が市内をくまなく調べたが火災や事故などは一切なし。人的な被害はもちろん、物が壊れるなどの被害も確認されなかった。

その後の取材で、この音は久留米市だけでなく、隣接する大刀洗町や朝倉市でも確認されていたことが分かった。

“超音速の物体”が通過して衝撃波が発生?

この謎の爆発音の正体は、一体何なのか。発生の瞬間、久留米市周辺に設置された地震計がその衝撃波をとらえていた。

 
 

残されたデータを解析した結果、ちょうど音が発生した2月17日の午後4時過ぎ、久留米市の上空を“音速を超える物体”が横切っていたことが分かったのだ。

京都大学防災研究所・山田真澄助教:
地震というのとは全く違います。これは上空を何かが音速よりも早く動いている。何らかの物体が音速よりも速い速度で進行すると、衝撃波が生まれてそれが音になったり、揺れになったりして感じる

 
 

同時刻に自衛隊機が飛行も…

さらに専門家の分析によると、午後4時過ぎに久留米市上空に広がった衝撃波に加えて、午後5時半頃、別の場所でも衝撃波が確認されていた。それは久留米市から50km以上北東に離れた築城基地周辺。

航空自衛隊 築城基地
航空自衛隊 築城基地

航空自衛隊に問い合わせたところ、「築城基地に所属するF2戦闘機2機が午後4時10分頃、久留米市付近を飛行していた」との回答が得られた。それを裏付けるように、SNS上にも次のような書き込みがあった。

「多分ソニックブーム。直後ジェット機の音したし」(ツイッターより)

衝撃波について書かれたTwitterの投稿
衝撃波について書かれたTwitterの投稿

ソニックブームとは、飛行機が音速を超える速度域に達した際に起きる衝撃波のこと。

築城基地の戦闘機が、久留米市上空で音速を超える飛行をしたのか。基地の広報担当者は、自衛隊機が謎の爆発音の原因であることをはっきりと否定した。

築城基地の担当者:
音速は出していないし、着陸後の点検でも異常はなく、部品の落下などもなかった

さらに国土交通省の福岡航空交通管制部も、取材に対し「自衛隊機を含め、航空機の異常な飛行はレーダーに捉えられていない」と回答している。

飛行機ではないとすれば、久留米市の上空を音速で移動した物体は何なのか?福岡市科学館にも照会したが、当日に火球や隕石が確認されたという情報はないという。

周辺で何が 謎の爆発音は各地でも

実は、こうした謎の爆発音は全国各地で確認されている。

長崎市の住民(2009年3月):
ドカンと、ダイナマイトの爆発かと思った

2009年3月、長崎市などでも似たような爆発音が発生。「ドンという音がした」「家が少し揺れた」といった通報が相次いだものの発生源は分かっていない。

さらに北海道でも。

北海道の住民(2021年4月):
えっ! 地震! 地震

2021年4月、札幌市などで大きな爆発音が確認されている。通報で駆け付けた消防隊が付近を調べたが、異常はなし。この音についても発生源は分かっていない。

久留米市周辺で一体、何が起きたのか?

SNS上では「まさかミサイルでは?」とまでささやかれていて、突然響いた爆発音の謎は深まる一方だ。 

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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