お盆休みの3連休に九州を襲った豪雨。
各地で冠水や崖崩れなどの被害が発生しました。

そうした中、被災地の市長のSNS投稿が大きな物議となりました。
ソレってどうなの?13日のテーマは、「市長が動画を“フェイク”と発信」です。

物議を醸しているのは、福岡市の高島宗一郎市長のSNSの投稿です。
大雨が降る中、市内を流れる“香椎川が氾濫した”と市民が動画とともにXに投稿しました。

その投稿に対して11日、高島市長は自身のSNSで「虚偽情報動画はやめてほしい」と指摘しました。

ところがその日の夜、高島市長が「私の情報のほうが誤っており、その映像は実際に発生していた事象を撮影したものであることが分かりました。心よりおわび申し上げます」と、SNSを更新。
フェイク指摘から一転、「川の氾濫は事実だった」と謝罪する事態になりました。

ネット上では市長に対し、「命に直結するから慎重に」など批判が相次ぐ一方、「市民のことを考えての行動だから仕方ない」といった擁護する意見もありました。

では、高島市長はなぜ“偽物の動画”だと判断してしまったのでしょうか。

「川が氾濫した」という動画投稿があったことを受けて、現場へ行った職員の目視の確認や、近くの水位計でも氾濫は確認できず。

加えて、多くの通報がなかったことや、投稿者アカウントがすぐに削除されたことを不審に思い、川の氾濫は誤った情報だと判断したということです。

では、フェイク判断から謝罪までには何があったのか。
市長が虚偽だと指摘した日の夕方、別の職員から「偽情報と言い切れない可能性がある」と報告が入りました。

改めて現場を確認すると、動画に映っていた実際の車両や流木などの痕跡がありました。
投稿者とも連絡を取り、川の氾濫が事実だったと判明。
訂正し、謝罪に至ったということです。

誤認の要因となったのが、現場確認のタイミングでした。
動画撮影の約30分後に職員が最初の現場確認をしたものの、その時にはすでに氾濫が終わっていました。
「情報の精査に誤りが生じた」と説明しています。

結果的に市長の投稿が混乱を招いたことについて、高島市長は「冷静に情報の真偽を確かめることが重要です。近年のAIフェイク動画や、botの増加に対する私自身の過度な警戒心も、今回の判断に影響したと考えています」とコメントしています。

市長が混乱を招いた今回の出来事。
災害時の情報収集について街で聞いてみると、「一番最初はX検索を必ずします」「今、Xが一番情報が早いので、内容よりも誰が発信しているか結構見ます」「やはり市長なので、市のためによくやってるはずなので信用はします」との意見が。

災害時のSNS発信を巡っては、熊本市長も話題となっています。
市内の被害状況を投稿するよう、自身のXで市民らに呼びかけた大西一史市長。

これに300件近くの反応があり、多くの浸水箇所の画像や動画などが寄せられました。

熊本市では、公式LINEによる「市民通報システム」もありますが、自身のSNSで呼びかけたことについて、大西市長は「発災直後、時間のない中では限界がある。(SNSの呼びかけは)私の判断でさせてもらったが、善意で提供されたデータを、市役所として現状把握の中で最大限活用している」と発言。

この熊本市長の対応について、ITジャーナリストの三上洋さんは「災害時は間違いの情報だったり、フェイクニュースが必ず出回る。市長や知事だとしても、あくまで個人のアカウント。チェックが甘い場合もある」と、懸念も指摘しました。

では、災害時の市長のSNS投稿について、私たちは何に気を付ければいいのでしょうか。

ITジャーナリストの三上さんは「市長のアカウントから投稿されているものだから、私たちは信じるしかない。それだけ公人のSNS発信は慎重になってほしいということ。私たちの対策は、市長の個人アカウントだけではなく、県や市の公式アカウント、災害のアカウント、ほかにも災害対策アプリなど、複数の情報をチェックすることが重要」だと話します。

災害時に役立つSNS情報ですが、複数の情報を見比べるなどして、可能な限り冷静に判断することが大切です。

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