沖縄初のプロ野球球団「琉球ブルーオーシャンズ」が2022年の新体制を発表した。始動から3年目を迎えたが、新型コロナの影響で観客を入れての試合はできず、県内での知名度も思うように上がっていないのが現状だ。

今後どのようにして野球チームとしての存在意義を示していくべきなのか。ローカル球団の可能性と課題を考える。

有観客試合なし、クラスター発生で20人以上が退団

2月8日、新シーズンの活動方針を発表した琉球ブルーオーシャンズ。2022年は「育成」をテーマに掲げ、NPBファームや社会人チームとの試合を県内外で開催。また海外の若手選手を中心に50人ほどを受け入れるアカデミーを設立し、秋には県内でトップチームとアカデミー生を中心としたリーグ戦を行う方針だ。

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琉球ブルーオーシャンズ 北川智哉代表:
今期の琉球ブルーオーシャンズのテーマは、地に足をつけた事業展開という事を主眼に置いています

NPB参入を目指して2019年に誕生したブルーオーシャンズ。

野球熱の高い沖縄からの挑戦は、1年目から新型コロナにより興行を一度も行うことができないなど、難しい舵取りを強いられた。

さらに2021年の夏、一部選手とコーチによる規律違反が発端となり、チーム内で新型コロナのクラスターが発生し活動休止状態に。

その後、フロントと選手の間で契約を巡って意見の相違が発生し、20名以上と選手のほとんどがチームを去った。

元選手「地域に根付ていない」 野球を離れるか悩んだことも

北谷町出身の日隈モンテル選手もその一人だ。

元琉球ブルーオーシャンズ(現・徳島インディゴソックス)日隈モンテル投手:
ドラフト前に活動ができなくなってしまって、野球道具も見たくなくて…。実際、道具も全部見えない所に隠して一回野球を離れようと思って。それくらいまで自分の心はきていましたね

地元でNPB入りを目指した2年間。指導者やチームメイトへの感謝を口にしながらも、思うような活動ができず知名度の低さも感じたと振り返る。

元琉球ブルーオーシャンズ(現・徳島インディゴソックス)日隈モンテル選手:
沖縄の野球をやっていない人に何をやっているの?と聞かれて、琉球ブルーオーシャンで野球をやっていますと言ったら、イマイチ分かっていない人もいたので。地域に根付ていないなという印象が自分の中でもありました

大きな課題となっている認知度の向上。

琉球ブルーオーシャン 北川智哉代表:
まずは興行をしていく、野球教室などで社会貢献をしていく。この1点だと私は思っています。本業でまずはしっかり活動している姿を見せていく

プレー半分、野球教室や農家手伝いの地域貢献が半分

一方、九州では地域密着で野球との関わりを作り出す独立リーグに注目が集まっている。福岡では実業家の堀江貴文さんが新球団「福岡北九州フェニックス」を設立し、九州アジアリーグに今シーズンから参入。

提供:テレビ西日本
提供:テレビ西日本

また熊本県の「火の国サラマンダーズ」は2021年のドラフトで、投手1人が独立リーグ唯一の支配下指名を受けた。

提供:テレビ熊本
提供:テレビ熊本

設立1年目ながら、独立リーグでは2位の1試合平均550人を集客。初年度の決算では1600万円の純利益を計上し黒字運営にも成功した。

火の国サラマンダーズの神田康範代表は、地域の子どもたちのための野球教室の開催や、高齢のみかん農家に行き収穫をサポートするなど、様々な地域貢献活動で野球に興味がないライト層を取り込めたことが大きいと話す。

火の国サラマンダーズ 神田康範代表:
僕らレベルの野球を見に来てもらうには、野球が入口ではダメだと思っている。地域貢献で会ったお兄ちゃんを見に行きたいとか。うちは選手に翌年の給与をいう時に通知表を出すんですけど、プレー半分、地域貢献半分で点数を出してそれを月給に充てる。それくらい「野球半分、地域を支えること半分」という教育を選手・コーチにしています

地域に密着した活動で、NPBとは違った価値を生み出すローカル球団。沖縄にプロ野球チームを根付かせることはできるのか。ブルーオーシャンズの3年目のシーズンが始まる。

(沖縄テレビ)

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