スピードスケート女子団体パシュート。日本は強豪カナダに対し、常にリードを保つも、最終コーナーで髙木菜那選手が転倒。涙の銀メダルとなりました。

しかし、そこからは3人の一糸乱れぬ滑りのレベルの高さやチームの絆が見えてきました。

パシュート涙の銀メダル 最終コーナーで何が?

4年前の平昌オリンピックで、金メダルを獲得した日本。前大会の決勝戦と同じメンバーで連覇に挑みました。

15日日本時間、午後5時28分。

決勝の相手は今シーズンワールドカップ3戦全勝の強豪カナダ。

“最後の一騎打ち”の幕が開けました。

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スタート直後、日本は得意の美しい隊列を披露。

一糸乱れぬ動きをし、3人がまさに“ひとかたまり”になって走っているのが分かります。

リードを保ったまま突入した、最終コーナー。

しかし、後方にいた髙木菜那選手が、バランスを崩し転倒。

ゴールまで、残り60メートルのところでした。

金メダルのカナダは2分53秒44。オリンピック記録を樹立。

実況
日本の隊列この象徴が崩れた…

ただ最後までゴールしました。

うなだれた様子で戻ってくる、菜那選手。そこへ静かに近づいていったのは、妹の美帆選手でした。

実況
今、髙木美帆がお姉さんの髙木菜那を迎えに行きます

髙木菜那の目には涙。

髙木美帆がお姉さんの髙木菜那の肩を抱きました。

謝る素振りを見せる姉を、抱きしめる妹。

そして、共に走った佐藤綾乃選手や、控えの押切美沙紀選手も。

実況
声は掛けずに、そっと近くに寄り添いました。言葉はなくても姉妹ですから、十分にお姉さんの気持ちは分かっています

リンクを後にするその時まで、涙が止まらなかった菜那選手。

“チームワークは世界一”涙の表彰式

表彰式では笑顔が戻ったものの、出場した3人全員が見せた涙、この時の思いは…

――みんなで肩を組んで声を掛け合っていましたが、どんな声があったのでしょうか?

髙木菜那選手
…でもやっぱり最後は、もう転ばなかったら優勝できたかもしれないタイムだったので、やはり悔しいです

自分を責める髙木菜那選手。

何年も共に戦い続けてきた2人の仲間が口にしたのは…

髙木美帆選手
本当に、どの銀メダルも違う思いがあって、また1500メートルとは違った悔しさって言うものはあります。私の中では最初の方で何か出来たと。後半の戦いになる前でチームにリズムを作ることが出来たのではと…

佐藤綾乃選手
チームワークというところではやっぱりどの国よりも一番だと思っているので、3人で滑っていても1人が滑ってるように見えるだとか、足の合わせ方だとか本当にどの国よりも世界一だと思っているので、そういったところは大切だと思いますし、銀メダルではありましたけど、チームワークは世界一だなと思っています

“選手間隔約80センチ” 世界一美しい隊列のリスク

涙の銀メダルとなった今回の女子パシュート決勝。

平昌オリンピックに髙木選手たちとともに女子パシュートに出場した金メダリスト・菊池彩花さんに話を聞きました。

菊池彩花さん
私も見ていて本当に心が痛くなるシーンなんですけども、決して一人の責任ではないですし、自分を責めないでほしい。本当に立派な銀メダルだったと思います

最終コーナーで転倒をしてしまった髙木菜那選手。

この時どういう状況だったのかでしょうか?

今回、ゴール手前のカーブで髙木菜那選手は、このように手を腰に持って行っていて“プッシュ作戦”を実行しました。

菊池彩花さん
バランスを崩すワンモーション手前のところで、押していた手が一瞬離れることろがあるんですけども、足の疲労などもたまる中、一瞬バランスを崩してしまった。立て直そうとしたが、耐えきれずに転んだのかなというふうに見えました

それだけ体力も気力もギリギリの戦いとなった決勝。

ただ、今回前の選手との接触がない状況だったといいます。

日本チームの世界一美しいといわれる隊列をカナダチームと比較してみました。選手と選手の距離が明らかに近いのがよく分かります。

菊池さんによると、日本チームの場合選手の間隔は約80センチほどだといいます。

この至近距離で2400メートルを滑ることになります。

この距離感で滑る場合なにが難しいのかというと、後ろの選手は足の動きを前の選手と同時に持ってくる、これが一瞬でも乱れてしまうと接触のリスクが高くなるといいます。

最後までベストを尽くしたが故の転倒だったのかもしれません。

しかし、まだリベンジのチャンスがあります。

髙木美帆選手は17日の1000メートルに出場予定。

髙木菜那選手、佐藤綾乃選手は19日のマススタートに出場予定です。

(「めざまし8」2月16日放送より)