兵庫県の斎藤知事に今、「市長・町長とのコミュニケーション不足」を指摘する厳しい声が相次いでいる。
中でも明石市の泉市長が「1対1での話し合い」を強く求めているのだが、一体なぜなのだろうか。

斎藤知事に市長から異論相次ぐ

兵庫県の斎藤知事が就任して初めて開催された、知事と市長・町長との意見交換会。
斎藤知事が示した方針に異論が相次いだ。

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川西市 越田謙治郎市長:
卵を割って味付けを始めてから『どうや』と言われても手遅れ

相生市 谷口芳紀市長:
見直しにかかる協議の場を設置していただく

2021年12月、斎藤知事は「借金の残高の計算方法を他の自治体と同じ形にしてみると、思っていたより厳しい財政状況だった」と強調し、防災や福祉事業を含めた補助金の一部カットを発表したのだ。

明石市 泉房穂市長:
まず(令和)4年度は県単独事業について見直しをなさり、県市連携事業は(令和)5年度まで1年延期して、しっかり協議をいただきたい

兵庫県 斎藤元彦知事:
協議は前向きに進めていきたい。かなり専門的・実務的な問題なので、実務者同士で協議を重ねていって内容を詰めていくことが大事だと思っていて、それはご理解いただけると思いますけど…

明石市 泉房穂市長:
理解しません!独任制だから、井戸前知事も明石市とずっと協議していた。大方針を決めるのは、地方自治においては首長。その方向に基づいて実務をやるから、最初にトップ同士が話をしないと、実務者の協議に意味はない

「樹木の伐採」めぐり…明石市長がトップ協議熱望も実現せず

協議は「実務者同士」で行いたい知事と、「知事と市長」で行いたい市長。
明石市が知事と協議したい理由はこれだけではない。
その1つが、兵庫県が進める「樹木の伐採」だ。

記者リポート:
県立明石公園です。この辺りはたくさんの木が生えていたんですが、今はほとんどが伐採されています。

石垣の間に樹木の根が入り込んで崩れるのを防ぎ、さらに景観も良くしようと、伐採は2018年から始まった。
伐採はこれまでで約1600本。
最近になって、市民から「切りすぎではないか」との声があり、泉市長が計画の見直しを求めている。

公園を訪れた人:
自然も割と残っている、この公園って。根こそぎ切っているから、もうこういう木は生きられない

公園を訪れた人:
人気が少ないところがある。昼間でも暗いところがあるので、それが明るくなったのはいいと思う

兵庫県は担当部局が会見を開き、「伐採は明石市も許可していて、去年3月のアンケートでは来園者の8割近くが伐採に賛成した」としている。
泉市長は市民団体のオンライン集会に参加。
県のアンケートは、範囲を広げて「切りすぎ」になる前のものだとして、知事とのトップ会談を望んでいる。

明石市 泉房穂市長:
まずはいったん立ち止まることじゃないか。県と一緒にこのテーマを考える必要はある。いつまでも大阪府の財政課長と違う。兵庫県の代表だから。自覚を持ってほしい

大阪府との連携進むも…県内は?

斎藤知事が就任して半年。
かつて吉村知事とは上司と部下だったこともあり、「大阪府との連携」は公約通り、どんどん強化されている。

兵庫県 斎藤元彦知事:
携帯電話でやり取りしていて、コロナの対応など含め、よく情報交換させてもらっている。今回のまん延防止措置の時も電話を掛け合って、どういう方向性で行くかとか意思疎通はしている

一方で、兵庫県内の市長や町長との意思疎通について聞いてみると…

兵庫県 斎藤元彦知事:
コロナもあるので、なかなか直接対面でお会いする場がちょっと…。家庭もあるし、限られた中でどうワークライフバランスしながら、色んな方と人間関係を作っていくかというのは、一定の時間が掛かってしまうというのはある

市長たちと会うことを避けているとの見方を、「印象論だ」と明確に否定した斎藤知事。
大阪府との連携が進んでも、県内の自治体との連携が薄まれば、本末転倒だ。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年2月8日放送)

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