岡山・倉敷市の美観地区で長年愛された老舗民芸店の女性店主が、2021年暮れに高齢のため引退した。店を引き継ぐのは、元写真家の男性だ。2月の再オープンに向けた思いを取材した。
老舗民芸店の後継者は元写真家の男性
1971年創業の「融民芸店」。倉敷市美観地区で約半世紀にわたり、陶器などの民芸品を販売してきた。

店主の小林融子さん(78)は、高齢のため2021年末に引退した。

後継者に選ばれたのは、元写真家の山本尚意さんだ。

融民芸店 新店主・山本尚意さん:
(小林さんは)ただモノを売るのではなく、使ってくれる人と作る人をつなぐということを長く続けてこられた方。お客さんを見ていても、それは感じる。信頼して、お客さんが来る

融民芸店 前店主・小林融子さん:
お客さんがどう感じるかが1番。本当に口当たりがよければ、また使ってみようという気持ちになる

作り手たちの思いも伝える店
小林さんは創業以来、日常で使える美しいものを家庭へ届けたいと、全国各地、時には海外の作り手の元に直接 足を運んで仕入れてきた。

商品の企画展などを通じて、民芸界を支える活動にも長年取り組んだことが評価され、2012年には、小林さんと店が倉敷民藝館賞を受賞している。

融民芸店 前店主・小林融子さん:
(山本さんには)使い手(客)の気持ちになってやってもらいたい。使い手と話し合えるような店にしてもらいたい

山本さんは写真家のキャリアを生かし、オンラインでの販売も始め、ここを拠点に民芸の魅力を発信したいと意気込んでいる。
融民芸店 新店主・山本尚意さん:
この店は、配り手(店)・作り手・使い手、この3つを大事にしている。その中から欲しいという人だけでなく、作りたいと思う人が出てくる、そんな店にしていきたい

商品だけでなく、作り手たちの思いも伝えてきた「融民芸店」の再オープンは2月5日。老舗民芸店の新たな出発が注目される。
(岡山放送)