フィギュアスケートの四大陸選手権が1月20日に開幕を迎える。

日本からは昨年末の全日本選手権での代表選考会を経て、男女シングル各3名、アイスダンスから1組が代表として選出された。

アフリカ・アジア・アメリカ・オセアニアの4つの大陸の選手が出場資格を持ち、北ヨーロッパに位置するエストニアの首都タリンに入った選手たち。開幕を直前に控えた男子シングル代表3選手の、現地からの声をたっぷりお届けする。

【三浦佳生】16歳の4回転ジャンパー・初のチャンピオンシップ挑戦

ーー四大陸のリンクで初の練習が終わって、今いかがですか?

そうですね。まだちょっと氷の感触をつかむのに時間がかかっていますけど、調整して本番では
うまくいくようにしていきたいです。

ーー全日本から1ヵ月もないくらいで試合になりますが、練習はどんなことを積んできましたか?

年末から1日、2日ぐらいまではちょっと怠けていたので、急ピッチで体に鞭を打ってやってきました。

現地で練習をする三浦佳生
現地で練習をする三浦佳生
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そう語るのは、ジュニアながら年末の全日本で4位に入り、初の四大陸代表の座を掴んだスーパー高校1年生・三浦佳生(16)だ。

最大の武器はトップスピードの助走から繰り出される4回転ジャンプ。次世代のエース候補の筆頭だ。

2021年の全日本選手権
2021年の全日本選手権

全日本のショートプログラムでは1番滑走の中、2本の4回転ジャンプを成功し、初の90点台に到達。シーズン当初からの目標であった“フリー最終グループ入り”を叶えた。

さらにそのフリーでも五輪代表選考会の緊張感漂う中、ループ、サルコウ、トゥループ×2と4回転3種類4本構成を大きなミスなく滑り切り、ガッツポーズを披露した。

ーーチャンピオンシップと名の付く大会は初めてですが、どんな気持ちで迎えていますか?

四大陸選手権というのは、もう夢の先の先くらいの大会なので、そういった大会に出れることがまずまだ実感湧いていないですけど、楽しんで滑れたらいいなというのが1番です。

ーー楽しむためにはどんなことが必要でしょう?

あまり結果とか気にしないようにして、できることをやるということをしたら自然に楽しく、リラックスしてできると思うので、ちゃんとリラックスしてできるようにしたいです。

ーーちなみにショートもフリーも全日本と同じ構成で挑む予定でしょうか?

そうですね。ほぼ一緒ですね。

ーーほぼ?

ほぼ、大体一緒です(笑)。ショートもフリーもできることをしっかりやって、ちゃんとやれば、あとから結果とかはついてくるので、結果は考えずに、まずは自分のできることをしっかりやるということを第一に頑張っていきたいです。

とどまることを知らない勢いで成長を続ける16歳が、初めての大舞台でどんな演技を見せるか注目が集まる。

【友野一希】3度目の正直で初の表彰台へ。シーズンベスト1位

ーー本番のリンクで滑ってみて感触はいかがでしたか?

すごい滑りやすかったです。ヨーロッパのリンクはちょっと相性が良い気がするので(笑)。自分にとってすごい滑りやすいリンクで感触も良かったし。まだ1日目なので、全然全力で動けてないですけど、でもその中でも良い練習ができたかなと思います。

練習初日の手応えを語るのは、全日本のフリーで3本の4回転を成功させ、5位の成績でこの舞台への切符を手にした友野一希(23)だ。

Jr.時代の演技を見た髙橋大輔が“観客の心を置いてけぼりにしない演技”と思わず口にしたほど、魅せる力は抜群のエンターテイナー。四大陸は3度目の出場となる。

現地で練習をする友野一希
現地で練習をする友野一希

ーー全日本から1カ月もないくらいの期間でしたが、練習はどんなことをやってきましたか?

そうですね。正直に言うと全日本終わってから少し気持ちも落ちてしまって、モチベーションを保つのが最初の方はすごく難しかったです。それでもしっかり後半の方は切り替えて、自分のやるべき練習はしてきました。

この大会は自分でもチャンスだと思っていますし、しっかりそのチャンスをモノにできるように、全日本よりも良い演技ができるようにショートとフリーしっかり揃えて、自分の納得いく演技ができればいいなと思います。

ーーブラッシュアップしてきた部分は?

やっぱりフリー後半ですね。後半をしっかりやってきたのと、あとはもう、しっかり自信の付く練習をしてきました。ただそれだけです。全日本まではしっかり練習してきましたし、あとはもうそれを繰り返してどんどんどんどん仕上げていくだけなので、毎日毎日納得のいく練習が出来るように練習していました。

2021年の全日本選手権
2021年の全日本選手権

ーー3度目の四大陸は、これまでと気持ちは違いますか?

今のところすごく落ち着いていて(笑)。なんだろう、だいぶビクビクしなくなったなと思うし、なんか日本勢で1番年上というのも不思議な感じで、結構僕がいうのもおかしいですけどフレッシュな2人を見ると(笑)、僕も頑張ろうという気持ちになるし、下を引っ張らないとという気持ちになるので、そういう選手になれるような演技ができたらいいなと思います。

ーー今回の出場者の中で、シーズンベストは1位という形で迎えますが?

えっ!(驚く友野)

ーーその辺りはプレッシャーにはなったりしませんか?

でもメンバー的にも、自分より全然上に行くポテンシャルを持っている選手はたくさんいますし、あとは自分に打ち勝った人がこの試合には勝つのかなというふうに思っているので、僕もしっかり自分自身に勝ちたいなと思います。

ーー改めて、最後に目標を教えてください。

目標はもちろん優勝を狙っていきたいですし、こんなことを言って挑む大会は初めてなので、良くても悪くても良い経験になると思いますし、一番はしっかり最後楽しんでコレオができるように(笑)。それができるように集中して納得のいくショート、フリーともにしっかり揃えてやりたいなと思います。

今大会は国際大会のシーズンスコアが出場選手の中でトップという状況で挑む一戦。このチャンスをものにし、今後に繋がる飛躍を期待したい。

【三宅星南】四大陸デビューに“ワクワク”。大舞台で再び“何かを掴む”

ーー本番のリンクで滑ってみて、いかがでしたか?

そうですね。リンクの雰囲気もすごく素敵で、ちょっと今からワクワクしている感じです。

ーーワクワク感が強いですか?

まだ調整しなければいけないところもはたくさんあるなと感じたんですけど、楽しく練習できそうなので、まぁ楽しんでこの大会期間中楽しみたいです。

現地で練習をする三宅星南
現地で練習をする三宅星南

期待感に満ちた言葉を語ってくれたのは三宅星南(19)だ。

今季シニアデビューを果たした大学2年生。176cmの長身を活かしたスケールの大きい滑りで、初の四大陸代表入り。去年の全日本では“何かを掴みたい”と挑んだ大会で、ショートプログラム初の90点を突破した。

フリーでは転倒が1つあったものの、演技をまとめきり、自己最高の6位。スピンとステップはショート、フリーともにオールレベル4の評価。これを出場選手で達成したのは絶対王者・羽生結弦と三宅だけだ。

2021年の全日本選手権
2021年の全日本選手権

ーー1月上旬のインカレから2週間程でしたが、四大陸に向けてどんな練習を積んできましたか?

いろいろ体の事だったり、靴の調整とか、あとはジャンプとか、インカレではトリプルアクセルを両方失敗してしまったので、その部分を一番練習してきました。

ーー「かっこつけない練習を」とおっしゃっていましたが、その練習はできましたか?

そうですね。全日本の前と同様、少し追い込んで来れたのかなという部分はあるので、あとこちらでも、もう少しだけ追い込んで本番に臨みたいです。

ーー初めての四大陸ですが、どんなことを目標に頑張りたいですか?

とりあえず全日本と同様で、自分のできることを精一杯、全部出し切るというのを頭に置いて、周りの選手もたくさん上手な選手がいるんですけど、そこはあまり意識せずに、自分のやることを全部やって帰りたいです。

ーーそれを達成すれば、全日本とはまた違う景色が見られそうですよね?

そうですね。全日本でも“何かを掴む”という目標にしていたんですけど、四大陸選手権でもこういう世界との戦いに出させてもらえるのは本当に滅多にないというか、初めての機会なので、頑張ってというか、とりあえず出し切ってまた何か掴んで帰れたらなと思っています。

全日本での大きな自信を手にして臨む初の舞台。

その手に確かなものを掴む瞬間を世界に示せるか、注目が集まる。

最大のライバルとなるのは、韓国のエース チャ・ジュンファン。韓国選手権6連覇、韓国男子史上で初のGPファイナルメダリストでもある(2018年3位)。

羽生と同門で、ブライアン・オーサーコーチに師事。長い手足を生かしたダイナミックな演技とともに端正なルックスにも注目が集まり、母国では”フィギュア王子”とも言われている。

1月の韓国選手権では4回転を武器に283.31のハイスコアを記録、2度目の五輪を前に四大陸のリンクに立つ。

接戦の優勝争いが予想されるこの大会。

次世代を牽引する2人の10代と、シーズンスコア・トップの3選手でのぞむ日本勢。その戦いを、じっくりと見届けたい。

四大陸フィギュアスケート選手権2022
フジテレビ(※関東地区ほか)にて3夜連続放送
■男女ショート・アイスダンス
1月21日(金)深夜1:40~3:40
■女子フリー
1月22日(土)深夜1::45~3:45
■男子フリー
1月23日(日)深夜1:55~3:30
 

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班