コロナ陽性が増えている東京や愛知など13都県に「まん延防止重点措置」が適用される。これを受けて自治体が具体的な「人流の抑制」を決めるが、東京は酒の提供は午後8時まで、人数は4人以内ということになりそうだ。それから旅行や会合はなるべく自粛しましょうねということにもなるのだろう。

本当にウンザリだ!

安倍元首相がコロナの感染症の分類を2類相当から5類への変更を提案し、松井維新代表も続き、驚いたことに小池百合子東京都知事も「5類」を支持した。だがなぜか小池氏は「まん延防止」を国に要請し、慎重な岸田首相は適用を決めた。

首相は5類への変更には消極的である。5類に変更するということは、すなわちコロナが2類の結核とは違って5類の季節性インフルエンザに近いということを認めることだ。つまり「コロナはただの風邪」という認定である。

「5類」への変更へは消極的な岸田首相
「5類」への変更へは消極的な岸田首相
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感染症に政局を絡めるな

僕は小池氏が5類発言した時に「さすが百合子」と感心した。オミクロンは感染力は強いが重症化しにくい。どうやらこれをもってコロナは一区切り、すなわちコロナへの「勝利宣言」を出せるかもしれない。機を見るに敏な小池氏はだから「5類」と言ったのだろう。だが国民はまだそこまで頭が切り替わってないのでとりあえずまん延防止を出したのか。どうでもいいが感染症に政治的な思惑を絡めるのはやめてほしい。

確かに国民はまだオミクロンを怖がっている。週末の読売の世論調査では「会食旅行を控えるか」という問いに88%が「控える」と答えている。岸田政権のコロナ対策を52%が評価し、内閣支持率は66%でかなり高い。

個人的な事を書くと、3週間の「まん延防止」期間中、僕は2件の会食と1件の旅行の予定があるのだが、たぶん会食は1件が延期になり、旅行は規模が縮小される。また対面の取材がいくつかキャンセルになり、オンラインに変更されるものもある。

ワクチンや検査パッケージも一時停止へ
ワクチンや検査パッケージも一時停止へ

人流抑制の方が都合がいい人たち

家族との外食には行くが8時前には終わる。つまり僕個人に関しては、まん延防止になってもさほど困るわけではない。実はこの「さほど困らない」という人はとても多い。岸田政権の事実上のゼロコロナ政策が支持されるのはこれが理由だ。公務員、年金生活者、かなり多くの会社員は「人流抑制」で損害を受けない。困るのは飲食、旅行など直接客が減る業種に関わる人たちだ。彼らは職を失い、店を失い、家を失うリスクがある。一方で困らない人たちは人流抑制を望んでいる。

だから小池さんは「5類にしましょう」と対コロナ勝利宣言をにおわせつつ、「気をつけて」とまん延防止も要請するという2つの矛盾することを同時にやっている。さすが百合子だ。だがもうそういう話には飽きた。

昨日会った若い友人とこういう会話をした。
若者「年末にちょっと熱出たら、周りにパーッとうつっちゃってびっくりした」
平井「それ感染力強くて症状軽いからまさにオミクロンじゃないの」
若者「そうだったのか!」

彼は検査をしてないので陽性の数には入っていないし周りに重症化した人もいない。これがオミクロンの実態なのかもしれない。

日本のコロナの死者が欧米各国に比べ桁違いに少ないのは医療と行政がきちんとしていて、国民の衛生意識も高いからだ。日本の医師は「コロナで一人の死者も出さない」という気持ちで働いていると思う。ただ「ゼロリスク」というのは無理なのだ。そんなこと言ったら飛行機にも車にも乗れなくなる。リスクは科学的事実に基づいて最小化するしかない。岸田さんにはそろそろそのことに気づいてほしい。

全国の新型コロナ感染者数は過去最多に
全国の新型コロナ感染者数は過去最多に

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】