お祝儀袋などで目にする、人と人との縁を結ぶ意味を持つ「水引」。福岡の街でも伝統の「博多水引」が知られているが、今も結い続ける女性職人を取材した。

発注の少ない色が生産中止に

細部に至るまで手の込んだ細工が施された福岡の伝統工芸、「博多水引」。その伝統の技を受け継いでいるのが福岡市博多区にある「ながさわ結納店」の2代目、長澤宏美さん。

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ながさわ結納店・長澤宏美さん:
しっかり結びついて一体となっている。博多祇園山笠のイメージですね。1本1本、こんなに細いのに結い上げると迫力がでる、そこに魂が不思議と入る

水引の芯の部分の素材は和紙。その上に絹などを巻いて1本の糸となっている。作業は160本前後の水引を束ねて力を入れてねじる工程から始まる。

ながさわ結納店・長澤宏美さん:
これをきつくやらないと博多水引になりません

長澤さんが特にこだわっているのが「強度」と「デザイン性」。
「解いたら捨てられる水引を主役にしたい」そんな思いから、ワインボトルを飾るリボン風の水引をはじめ、伝統にとらわれない新しい形の博多水引を次々と生み出し、全国的に高い評価を受けてきた。

しかし長澤さんは、いま「ある問題」を抱えている。

ながさわ結納店・長澤宏美さん:
これは水引の見本帳ですが、こういう×がついているのが廃盤で、手に入らなくなった水引がこんなにあるんですよ

年々、水引飾りが使われる場面が減る中で、発注の少ない色が次々と生産中止になっているのだ。新型コロナによる結納や結婚式のキャセンルの影響が今後、さらに広がることも懸念されている。

博多水引の可能性を広げるため長野へ

長澤さんは福岡を飛び越え、新たな取り組みを始めている。足を運び続けたのは長野・飯田市。国内有数の水引の製造企業に新しい水引の生産を直談判。

水引の需要が減るなかでの新商品の開発に、最初こそ後ろ向きだった企業も長澤さんの熱意に負けたと話す。

神明堂・荒尾光宏さん:
すごく情熱があって、私たちもお手伝いできればと。こんな表現ができることを、作る人が引き出してくれるっていうのは、今回感じた

こうして完成したのが「珠の緒」。長澤さんが持つ色のイメージを最大限、取り入れた、これまでに無い宝石のような輝きを放つ水引だ。

この新たな素材を使って伝統工芸・博多水引の可能性を広げる作品作りに、長澤さんは挑み続ける。

ながさわ結納店・長澤宏美さん:
(珠の緒は)私の魂であり、子どものようなもので、この子たちを良い作品として世に送り出したい。(博多水引)これは無くなってはいけないし、無くならないという確信は持ってます

(テレビ西日本)

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