日本人は岸田政権のゼロコロナに満足

11日に行われた岸田首相の会見によるとコロナのオミクロン株は「感染力が高いが多くは軽症・無症状であり、重症化率は低い可能性が高いので過度に恐れることなく、3密の回避など冷静な対応をお願いしたい」ということらしい。

だが首相は同じ会見の中で外国人の新規入国の原則停止を2月末まで延長する方針を表明した。すでにオミクロンは国内で広がっているのに他の先進国がやっていない「鎖国」を続ける必要があるのか。そもそも「多くが軽症・無症状」なのになぜそこまで「念には念を入れる」必要があるのだろうか。答えは簡単。国民、つまり我々がそれを望んでいるのだ。

外国人の新規入国の原則停止を2月末まで延長する方針を表明した岸田首相
外国人の新規入国の原則停止を2月末まで延長する方針を表明した岸田首相
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11日に出たNHKの世論調査では内閣支持率が7P上がって57%、コロナ対応は評価が65%で評価せずが31%、まん延防止措置の拡大は賛成58%、反対29%。国民は岸田政権の「ゼロコロナ」政策に満足しているようだ。

医者の言うことは話半分に

だが今の状況を本当にコロナ第6波と呼んでもいいのだろうか。確かに陽性者数は増えていて、東京都では11日に962人。前週より大幅増だ。ただ入院者数は861人で病床使用率は12%、重症者は4人だけだ。新たな死者はいない。ワクチンや治療薬、ベッドの確保などで今やコロナはコントロールされているように見えるが、医師は「陽性が増えれば重症も増えて医療は逼迫する」と主張する。

それはそうなのだが第5波の時に補助金をもらいながら患者を受け入れていない病院がたくさんあった、などという話を聞いて以来、「医師の言うことは話半分に聞いた方がいい」と思うようになった人は多いのではないか。

過剰なコロナ対策が現実に合わなくなった例も出ている。たとえば沖縄では濃厚接触者になった医療従事者が当初特例を認められずに2週間の行動自粛になったため医療逼迫が起きたのだが、大阪府の吉村知事はこの濃厚接触者の2週間自粛そのものを見直すべきと主張している。

濃厚接触者の2週間自粛そのものを見直すべきと主張する吉村知事
濃厚接触者の2週間自粛そのものを見直すべきと主張する吉村知事

また日本には雇用調整助成金という他国にはない素晴らしい制度があって、従業員への給与が払えなくなった企業の代わりに国が払ってくれる。それはそれでいいのだが、コロナで特例を設け、おかげで失業率は低く抑えられている。飲食店への協力金などで倒産も少ない。ただ助成金の原資は国民の雇用保険料であり、コロナでたくさん使ったために秋から保険料が上がるらしい。これはおかしいぞ。保険料を上げるくらいなら特例はもうやめないといけない。

コロナは「5類相当」にしよう

安倍晋三元首相が言うようにコロナを現在の結核などと同じ「2類相当」から季節性インフルと同じ「5類」に見直すというのは一つの選択肢だろう。「5類」になれば水際措置や外出自粛、保健所による把握もなくなる。ただ安倍氏の発言に対しては「無責任なことを言うな」など非難の声も上がった。やはりゼロコロナを好きな人は多い。

(厚労省HPより)
(厚労省HPより)

ゼロコロナで何でも規制して、困った人は国で面倒見ます、という論理はキレイでかっこいいが1つだけウソがある。困った人の面倒を見るのは国ではなく国民だ。金を払うのは僕たちであって岸田さんたち政治家ではない。しかも僕たちの税金から年収950万円の人の子供にも10万円あげたり、あるいは本来倒産すべきゾンビ企業が協力金で生きながらえているという実態を見ると本当に気が滅入る。

オミクロンで一人の死者も出しません!と頑張るのもいい。でもそんなことしてるのは民主主義国家では日本だけだ。このままではポストコロナの時代に入ると、日本は人手不足や消費停滞で間違いなく世界から置いてきぼりを食うだろう。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。