瞬間接着剤を先端のノズルで塗り広げたことはないだろうか。実はこれ、間違った使い方だという。
大手メーカーのセメダインがTwitterの公式アカウントで指摘したのだが、その意気込みが尋常ではなかったのだ。
お客様!!あーっ!!困ります!!お客様!!あーっ!!瞬間接着剤で!そのような塗り方は!!あーっ!!ノズルで塗り広げては!!ノズルが詰まる!原因に!!!お待ちくださいっ!!!!!塗り広げないで!!!!お客様ぁぁあーっ!!
この「お客様!」から始まる流れはネットミームで、何かを訴えたい時によく使われる。投稿は話題となり「よくやっちゃう」「すまない…やってしまった…」などの反応が相次ぎ、4.8万いいねがついている。(12月22日現在)

こうしたユーザーの気持ちも分かる。瞬間接着剤を垂らすのは難しく、早くしないと乾いてしまいそうだし、液体を広げないとくっつかない気もする。
使えるのに「中身が出てこなくなる」
では、ノズルが詰まるとどうなるのだろう。“してはいけないこと”は、他にもあるのだろうか。セメダインの担当者に聞くと、ハイテンションな投稿とは変わり、落ち着いて説明をしてくれた。
ーー瞬間接着剤のノズルが詰まるとどうなる?
中身が出てこなくなります。中身はまだ使えるのに、先端から出てこない状態です。無理やり出そうとして、力いっぱい容器を押してしまうと中身が飛び出す恐れがあり危険です。
ーーノズルが詰まるのはなぜ?対処法はある?
塗り広げた際に接着するものの表面にある、湿気を含んだ微細なごみやほこりがノズルに付着し、硬化反応がおこりやすくなります。ごく先端であればピンなどで開通させられる場合もありますが、内部に及んだ場合は対処が難しいです。

塗り広げないのが正解…目安は「10円玉サイズに一滴」
ーー接着の効果は垂らしてからどれくらい持つ?
瞬間接着剤は空気中の湿気に反応して固まります。表面に薄く広がることで瞬時に硬化するので、垂らして球状のままならしばらくは硬化しません。したがって、塗り広げてしまうと、硬化を早めてしまう逆効果になります。
ーー瞬間接着剤を広げたいときはどうすればいい?
貼り合わせることで広がりますので、そのまま貼り合わせてください。10円硬貨のサイズに一滴が目安です。広い面積を接着するときは点状に多点塗付してください。

ーー正しい使用方法の流れを教えて。
塗る前に接着面をきれいにします。見過ごされがちですが、ほこりや油分、水分が残っていると本来の接着力が得られない場合があるので、塗布前の処理は非常に重要です。
接着面の汚れを落とし乾燥させたら、接着したいものの片面に少量塗布します。すぐに貼り合わせて押さえれば、数秒から数分で接着できます。

ーー使用量の適量は?塗りすぎはよくない?
瞬間接着剤は一滴で5~6平方センチメートル(10円硬貨大)が接着できます。塗りすぎは硬化が遅くなるほか、白化(はみ出し部分が白くなる現象)が起こる場合があります。

紙や布に染み込むと「やけど」の恐れも
ーー使用時に勘違いしがちな注意点はある?
「たっぷり塗った方が強度が出る」と思われがちですが、かえって硬化が遅くなる場合もあります。少量塗布を意識いただけるとうれしいです。

また、瞬間接着剤は布やティッシュなどの繊維状の材料に染み込むと急激に硬化し、高温の反応熱が生じます。90度近い高熱を発する恐れがあります。ティッシュペーパーでの拭き取り、軍手を着用しての使用などは非常に危険ですのでおやめください。
素材によっては100度近くまで上昇する場合があり、大変危険です。衣服の修繕やストッキングが伝線した際、応急処置で瞬間接着剤を使われる方がいますが、やけどをする恐れがありますので絶対にやめてください。発熱した場合は慌てて衣類を脱がず、大量の水で冷やして下さい。
ーー瞬間接着剤の種類はどう使い分ければいい?
垂直面やコンクリートなど染み込みやすい素材には、タレにくい・しみにくい「ゼリー状」の瞬間接着剤がオススメです。また、通常の瞬間接着剤では接着できない、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックには、難接着材料専用の瞬間接着剤のご使用をお勧めします。

ーー注意喚起が話題となったことをどう思う?
反応の大きさに驚くとともに、多くの方が塗り広げて使用していることを実感しました。これからも一層、啓蒙活動に努めたいと思います。
お客様!!あーっ!!困ります!!お客様!!あーっ!!瞬間接着剤で!そのような塗り方は!!あーっ!!ノズルで塗り広げては!!ノズルが詰まる!原因に!!!お待ちくださいっ!!!!!塗り広げないで!!!!お客様ぁぁあーっ!! pic.twitter.com/3Lipifo2BY
— セメダイン (@cemedinecoltd) December 17, 2021
瞬間接着剤はつい隅々まで塗りたくなるが、塗り広げることで早く乾いてしまうことにもつながることがわかった。適量は10円玉サイズに一滴で、広い面積をくっつけたいときは多点を意識してほしいとのことだ。
場合によってはやけどの恐れがあるとのことなので、今後は一層、注意して使ってほしい。
(画像提供:セメダイン)