玉城知事が設計変更申請を不承認とした事について、国は対抗措置を講じるとみられ、裁判闘争にもつれ込む公算が大きくなっている。
行政法の専門家は、「辺野古を巡るこれまでの裁判とは異なり、新たな展開になる」との見通しを示す。

辺野古移設巡る裁判 これまで9件で県の勝訴なし

玉城知事:
国が行う法的措置について、県において答える立場にない。取り得る対応をしっかり取っていくという事だけは強くお答えしたい

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国との法廷闘争について具体的な言及を避けた玉城知事。
辺野古移設を巡る裁判は、前の翁長県政を含めこれまで9件。県の勝訴はない。
行政法が専門の成蹊大学・武田真一郎教授は、今回 法廷闘争となった場合にこれまでの訴訟とは争点が異なると指摘する。

成蹊大学 武田真一郎教授:
今までの訴訟では、仲井真元知事が埋め立て承認をしたことが前提になっている。
しかし今回は、玉城知事の不承認が対象となっている。この違いが法的には極めて重要だと思います

これまでの裁判は、2013年に当時の仲井真知事が埋め立てを承認したことについて、翁長前知事や玉城知事が覆すことの是非が争われた。判決で県の不承認や撤回の判断が無効化され、埋め立て工事は継続。
しかし今回、国が玉城知事の不承認を取り消せたとしても、設計変更が認められる事にはならず工事に着手できない。
武田教授が強調するのは、不承認の判断は知事の「裁量行為」であるという点だ。

成蹊大学 武田真一郎教授:
裁判所は、裁量権の逸脱・濫用がある…つまり社会通念上、著しく不合理だと言える場合でないと違法と判断することはできない。知事の不承認が違法だとは考えられない。
仲井真元知事の承認の呪縛から逃れられるわけですから、主張を尽くしてほしいと切に思います

専門家「民意を強調すべき」と指摘

武田教授は、不承認の理由の中で、埋め立て反対が多数を占めた2019年の「県民投票」などの民意を強調すべきだと指摘する。

成蹊大学 武田真一郎教授:
地元の県民がこれだけ明確に反対の意思を示している。埋め立てが国土利用上、適正かつ合理的であるはずがない。戦没者の遺骨が入った土砂を使わないでほしい。こういう県民の民意が非常に重要だと思う

一方、様々な分野の専門家から計画の不備を指摘されても、辺野古移設にこだわり続ける国の危うさを指摘する。

成蹊大学 武田真一郎教授:
国策だったら、地元の民意は無視していいんだと考えている。他の先進国と比べると地方自治・住民自治の次元が違う。そこに根本的な問題がある。
そういう風に考えるのは、独裁国家であり後進国ですよね。日本は、もうちょっと民主主義国家としての立ち位置を考え直さなければいけないと思います

辺野古移設の鍵を握る、軟弱地盤の改良工事。
玉城県政と国との対立によって、民主主義や地方自治の在り方が問われることになりそうだ。

(沖縄テレビ)

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