愛子さまは、12月1日、二十歳の誕生日を迎えられた。宮内庁が、愛子さまのこの1年のご様子を振り返り、コメントを発表した。

11月14日 御所内庭(大池付近)
11月14日 御所内庭(大池付近)
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3月11日の東日本大震災10周年に際しましては、国立劇場で行われた追悼式をテレビでご覧になりました。追悼式にご臨席になった天皇皇后両陛下や出席者に合わせて、 震災により亡くなられた方々のご冥福を祈り、黙祷をなさいました。
本年は震災発生から10周年に当たることから、例年にも増して、震災に関する報道を目にされる機会が多くありましたので、想像を絶する巨大な津波が岸に押し寄せる映像や、その後の痛ましい被害状況、 原子力発電所の事故の様子には、改めて、衝撃をお受けになっていらっしゃいました。
愛子さまには、両陛下が被災地をご訪問になった際のことや被災された方々とお会いになった際のお話などを折に触れてお聞きになっており、震災により、家族や親しい人を亡くされた方々、住み慣れた場所から離れることを余儀なくされた方々の置かれた状況に、大変お心を痛められているご様子でした。

コロナの影響で、愛子さまが、大学に初めて登校したのは2020年10月となった。
コロナの影響で、愛子さまが、大学に初めて登校したのは2020年10月となった。

4月には、2年生に進級されました。初旬には、昨年度に入学した学生のために、1年遅れでの入学式がオンライン形式で行われ、愛子さまもお住まいの赤坂御所からご出席になりました。新型コロナウイルス感染症により制約の多い学生生活が続く中、大学側からの温かい祝意をお受けになるとともに、新入生代表の力強い宣誓をお聞きになり、お気持ちを新たに新年度の始まりをお迎えになりました。
また、在籍されている「文学部日本語日本文学科」は2年生になると2つの系統に分かれ、愛子さまは、古代から現代までの日本語·日本文学を中心とした日本文化を学ぶ「日本語日本文学系」をお選びになりました。
現在は、言語としての日本語を学ぶ日本語学概論、平安時代から近代にかけての日本文学を読みながら、文学を理解する上での知識を身につける日本文学講義、江戸時代の文学を様々な視点から鑑賞する日本文学史概説、くずし字で古典の世界を味わう基礎演習、日本の伝統芸能、日本史、外国語 (英語)などの科目を、オンライン授業により履修なさっています。
愛子さまには、パソコンの画面を通して、講義や演習の授業をお受けになり、課題やレポートを提出されたり、演習の授業では、担当範囲の課題の発表をされたりするなど、先生方やご友人とのご交流もオンラインでなさりながら、お忙しくも充実した毎日を送っていらっしゃいます。

(2020年10月 学習院大学)
(2020年10月 学習院大学)

5月には、両陛下が皇太子同妃両殿下時代(平成6年)にオマーン国をご訪問になった際に、同国のカブース国王陸下から贈られた牝馬 「アハージージュ号」の子供で、平成9年に誕生した「豊歓(とよよし)号」が、高齢のため、近く御料牧場へ移送されることになったことから、お別れのために、皇居内にある既舎を両陛下とご一緒に訪問されました。愛子さまには、ご幼少の頃に御料牧場で豊歓号にお乗りになるなど、触れ合いの機会が幾度もおありでしたので、再会を嬉しく思われるとともに、ニンジンを与えられたり、頭をなでられたりしながら別れを惜しまれました。新型コロナウイルス感染症が収束し、いつか御料牧場にご滞在の機会が訪れた折に再会できるよう、豊歓号には、いつまでも元気に過ごしてほしいと願っていらっしゃいます。

2006年 愛子さま5歳の誕生日
2006年 愛子さま5歳の誕生日

本年も、赤坂御所において蚕の飼育をなさいました。学習院初等科3年生のときに学校から頂かれた蚕を、毎年、累代で大切に飼育していらっしゃいます。 学業の合間を縫って、日に日に大きくなる幼虫たちの成長を楽しみにお見守りになり、厚紙で「蔟(まぶし)」をお作りになるなどして、今年も無事に新たな卵をお取りになることができました。

6月23日、沖縄の『慰霊の日』には、赤坂御所において、ご一家で黙祷をなさり、沖縄戦により亡くなった20万人を超える多くの方々に対し、深い哀悼の意を表されました。

7月下旬からは東京2020オリンピック競技大会、8月下旬からは、東京2020パラリンピック競技大会が開催されました。開催期間中は、天皇陛下がご臨席になった両大会の開会式を始め、熱戦が続いた各競技の模様をテレビでご覧になり、競技の結果や選手の様子を伝える報道を熱心にご覧になっていらっしゃいました。
両大会は、人々が集い、 つながることが難しい中での開催でしたが、ライバル選手同士が国を超えて励まし合ったり、難しい技に挑戦した選手を各国の選手が担ぎ上げて健闘を称えたりする姿や、表彰式の後に様々な国の選手たちが自然に入り交じって記念撮影に臨む姿など、国境を超えて選手同士が交流する様子が随所で見られたことに、感銘を受けられたご様子でした。また、 バラリンピックでは、様々な障害のある選手たちが真剣な眼差しで競技に挑む姿や躍動感あふれる姿、同じ競技の中でも障害の重さの違う選手が互いに助け合う姿や、サポートしてきた周囲の方々と喜びを分かち合う姿などが印象深いご様子でした。

8月6日の広島の『原爆の日』及び9日の長崎の『原爆の日』には、両陸下とご一緒に式典のテレビ中継をご覧になり、赤坂御所において黙祷をなさいました。
また、8月15日の終戦記念日には、全国戦没者追悼式をテレビ中継でご覧になりました。黙祷に際しては、先の大戦において、かけがえのない命を失った多くの方々の冥福を祈られるとともに、戦争の惨禍が繰り返されないようにとの平和への願いを新たにされたものと拝察しております。

この夏は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、昨年に引き続き、例年お過ごしになっている須崎· 那須の両御用邸へのお出ましをお控えになりました。毎年、駅頭で温かく奉送迎をしてくださる地元の方々や、ご滞在中にお訪ねになる施設などでお会いになる方々が、このコロナ禍にあっても、変わりなく過ごされているだろうかとご案じになり、皆さんにお会いになれる日と、豊かな自然との触れ合いの機会が再び訪れることを願っていらっしゃるご様子でした。
そして、9月に予定されていた皇居へのご移転に向けて、身の回りのお荷物などを整理されたり、両陛下とご一緒にご内庭や赤坂御用地内をご散策になってクワガタやカブトムシの観察をなさったり、職員とご運動をなさるなどして、赤坂の地での最後の夏を静かにお過ごしになりました。ご一家やご友人、周囲の方々と過ごされた赤坂での様々な出来事を思い出され、感慨深いご様子でした。

皇居に引っ越された天皇ご一家(9月6日)
皇居に引っ越された天皇ご一家(9月6日)

9月上旬には、ご誕生から20年近くにわたり慣れ親しんで来られた赤坂御用地を離れ、ご一家で皇居へご移転になりました。ご移転に際しては、長年にわたり赤坂御用地でのご生活を支えて頂かれた多くの関係者や、新たにお住まいになる皇居の御所の改修など、新しいご生活に向けて準備を整えて頂かれた関係者の皆さんに深く感謝していらっしゃいました。

皇居に引っ越された天皇ご一家(9月6日)
皇居に引っ越された天皇ご一家(9月6日)

引越作業が終わるまでの間ご滞在になった宮殿は、ご宿泊を想定した施設ではなく、ご不便やご負担も多くおありと思われ、侍従職職員一同、大変申し訳ない気持ちでおりましたが、愛子さまは両陛下とご一緒に、滅多にない機会として宮殿内各所をご見学になったり、皇居内をご散策になったりされたほか、天皇陛下とご一緒にジョギングをされ、その側を皇后陛下が自転車で伴走されたり、天皇陛下のジョギングに、 皇后さまと愛子さまがご一緒に自転車で伴走されるなどしてお過ごしになっていらっしゃいました。また、宮殿御滞在中に大学の後期の授業が始まりました。
宮殿内では、お三方で、宮中行事や儀式で使用される、正殿、長和殿、豊明殿などの各部屋をご視察になりました。その際、今後、成年皇族としてお出ましが想定される行事の次第や、その際のご所作などにつき、両陛下から直接ご説明をお聞きになりました。
ご成年を間近に控えられた愛子さまには、このような宮中行事等へのお出ましの機会が訪れ、国内外の様々な方にお会いになることをお思いになり、 御身の引き締まる思いを抱かれているご様子でした。
また、宮殿ご滞在中には、両陛下とご一緒に引越作業中の御所を訪れて作業の状況をご覧になるとともに、職員と一緒に作業もなさり、両陛下共々、職員に対してお労いをいただきました。

(11月22日 三の丸尚蔵館)
(11月22日 三の丸尚蔵館)

吹上の御所へお移り後、大学の授業の受講をなさりながら、暫くは、まだ残っている荷ほどきをなさるなどお片付けもなさっていましたが、現在は御所での新たなご生活にも随分と慣れてきていらっしゃるご様子です。

10月下旬には、秋篠宮家の眞子さんがご結婚になり、ご結婚の直前に、お三方でご換拶をお受けになりました。 眞子さんとは、お小さい頃から様々な機会にお会いになっていらっしゃいましたので、これまでの日々を懐かしく思われ、遠く離れることに寂しいお気持ちもおありでしたが、従姉妹として、いつも優しく接していただいたことをとても有り難くお思いになり、お幸せを祈っていらっしゃいます。

(11月22日 三の丸尚蔵館)
(11月22日 三の丸尚蔵館)

愛子さまには、この一年もオンライン形式による大学の遠隔授業をお受けになり、課題やレポートの提出、演習の課題発表に向けての作業などに励まれる中で、両陛下とご意見を交わされたり、アドバイスをいただかれたりすることもおありになります。
授業のない時間や休日には、両陸下のお出ましのお見送りやお出迎えをなさったり、時には、新たなご生活をお始めになった皇居内をご一緒に散策されたり、陛下とご一緒にジョギングをされるなど、ご一家でお過ごしになるお時間をとても大事になさっています。
赤坂御所から一緒に連れて来られた犬の「由莉」、猫の「みー」 と 「セブン」を始め、大事に飼育されている生き物のお世話も引き続きなさっています。 また、ジョギングの他、新型コロナウイルス感染症の感染予防に留意しながら、職員と一緒に屋外でバドミントンやバレーボールといったご運動もなさったりするなど、リフレッシュにも努められています。

愛犬「由莉」をなでられる愛子さま(11月14日)
愛犬「由莉」をなでられる愛子さま(11月14日)

愛子さまには、まもなく成年皇族の一員となられます。当面はご学業を優先しながらのお過ごしになりますが、宮中行事や儀式にお出になったり、様々な催しへのお出ましの機会には、天皇皇后両陛下を始めとする皇室の方々のお姿をお手本とされながら、ご自身のお務めを心を込めてお果たしになりたいとのお考えでいらっしゃいます。

本年も、新型コロナウイルス感染症の影響により、制約を伴う日々をお過ごしの中ではありますが、新たなご経験を積まれ、様々に思索を深められながら、お健やかに20歳のお誕生日をお迎えになろうとしています。

社会部
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