最近よく耳にする言葉“SDGs”。
SDGs(持続可能な開発目標)とは、国連が策定した2030年までの国際目標で、貧困の撲滅や気候変動への具体的な対策など、17の目標が掲げられている。

日本酒の酒蔵、日本一を誇る新潟県内では、日本酒づくりで発生する“酒かす”の利用方法が課題となっている。
行き場を失った酒かすを新たな商品に変えて、活路を見いだす取り組みを取材した。

“乾燥酒かす”は1年保存可能…廃棄ほぼゼロに

次々と瓶詰めされていく日本酒。

阿賀野市の「越つかの酒造」で次々と瓶詰めされていく日本酒
阿賀野市の「越つかの酒造」で次々と瓶詰めされていく日本酒
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需要が高まる年末年始を前に、阿賀野市の「越つかの酒造」でも、日本酒の生産と出荷が最盛期を迎えている。
この日本酒を造る過程で必ず出てくるのが、大量の“酒かす”。

日本酒を造る過程で出る大量の“酒かす”
日本酒を造る過程で出る大量の“酒かす”

越つかの酒造 井上誠所長:
機械の力で圧搾することで、日本酒と表面に出てくる“酒かす”を分ける。弊社では1年間で40トンくらいの酒かすが出る。それがすべて廃棄となると、(費用は)100万円ではきかないんじゃないかなと思う

松尾和泉アナウンサー:
かすむきによって取り除かれた酒かす。水分を含んでいるため、とても重たく感じます

生の酒かすは水分が多いため保存がききづらく、これまでは産業廃棄物として処理するしかなかったという

この課題を解決するために、越つかの酒造が2020年1月に始めたのが、酒かすを乾燥し、販売する事業。

越つかの酒造 井上誠所長:
(乾燥させた酒かすは)おせんべいのような感じ。これくらい水分を飛ばさないと、保存がきかない

15時間ほど食品乾燥機で乾かした酒かすは、1年ほど保存がきくように。
こうしてできた“乾燥酒かす”を飼料や肥料、そして料理に使える粉末として販売を進めたことで、廃棄はほぼゼロになったという。

越つかの酒造 井上誠所長:
酒を造って出た酒かすを、蔵元が独自に加工してお届け・販売させていただくほうが、製造も見えるし、より安心していただけると考えている

ニワトリの肥料に活用 “うれしい変化”も

この“乾燥酒かす”を実際に使っているのが、村上市にある養鶏場「オークリッチ」。

村上市にある養鶏場「オークリッチ」
村上市にある養鶏場「オークリッチ」

県内外問わず、卵の販売を行っているオークリッチは、2020年5月から飼育しているニワトリ約2500羽に乾燥酒かすを食べさせている。
その結果、食べさせる前と比べると、うれしい変化があった。

オークリッチ富樫直樹代表取締役:
見た目は当然、非常に毛づやもよく、とさかも真っ赤になって健康状態が良くなった。(酒かすは)ニワトリの力をできるだけ引き出そうとするので、もっと良いニワトリになって、そこから生まれる卵も、もっと良い卵になるのではないかと思う。それを非常に楽しみにしている

酒かすの評判は上々のよう。

越つかの酒造 井上誠所長:
製品の品質が上がったり、付加価値をつけてブランド化を図ることができたり、そういうお手伝いができるような商品に今後なっていってもらえれば

酒かすでシェイク…飲みやすさの理由は“醸グルト”にあり

一方、酒かすを気軽に味わってもらおうと、再利用しているお店もある。

松尾和泉アナウンサー:
酒かすを使ったサブレやクラッカーなどのスイーツが売られています。さらに、酒かすを使ったシェイクも楽しめます

新潟駅に2021年3月にオープンしたのが、酒かすを使った飲み物などを提供する「Haccotogo!」。食品加工などを手がける長岡市の企業「FARM8」が運営している。
「発酵シェイクプレーン 518円(税込み)」を飲んでみると…

発酵シェイク プレーン 518円(税込み)
発酵シェイク プレーン 518円(税込み)

松尾和泉アナウンサー:
思っていた以上に飲みやすいです。お米のうまみと甘みを感じられますし、あとから酸味がきいてくるので、さっぱりと飲むことができます

「思っていた以上に飲みやすい」発酵シェイクを手にする松尾和泉アナウンサー
「思っていた以上に飲みやすい」発酵シェイクを手にする松尾和泉アナウンサー

飲みやすさの理由、それはシェイクのもととなっている酒かすに秘密があった。

FARM8 石橋てるみフードアドバイザー:
(シェイクは)“醸グルト”という、酒かすで作られた植物性ヨーグルトが主原料になっている

どの世代でも楽しめるよう、酒かすのアルコールをとばし、乳酸菌を加えることで誕生したこの“醸グルト”。

廃棄ゼロ→おいしく再利用 酒かすを主役に

開発のきっかけとなったのは、県内の酒蔵を助けたいという思い。

FARM8 石橋てるみフードアドバイザー:
酒かすがなかなか利用できない、利用できずに廃棄されているという相談を受けたことがあった。酒蔵さんから直接酒かすを購入して使っている

さらなる酒かすの消費を促進するために、石橋さんが定期的に行っているのが新商品の開発。
冬にぴったりのホットメニューを充実させ、酒かすのニーズ拡大を狙う。

FARM8 石橋てるみフードアドバイザー:
なるべく酒かすを主原料にとか、酒かすをなるべく表舞台に出してあげる商品づくりを続けていきたい。酒かすが全て利用される、廃棄がない世界をつくっていけたら一番良い

食品加工などを手がける長岡市の企業「FARM8」の石橋てるみフードアドバイザー
食品加工などを手がける長岡市の企業「FARM8」の石橋てるみフードアドバイザー

捨てるはずだった酒かすを、おいしく役立つように再利用。
廃棄ゼロにするだけでなく、県内で広がる取り組みが、酒かすを主役に押し上げる日も近いかもしれない。

(NST新潟総合テレビ)